次期無電柱化推進計画 骨子案(2025年12月 発出)
1.無電柱化の推進に関する基本的な方針
1.取り組み姿勢
・依然として電柱が毎年増えている状況を踏まえ、新設電柱の抑制や既設電柱の削減にこれまで以上に積極的に取り組み、電柱は増やさず、確実に減らす
特に、緊急輸送道路については無電柱化を加速化する
・地域や現場の実情に応じて、多様な整備手法を活用するなど、徹底したコスト縮減を推進し、限られた予算で無電柱化延長を延ばす
・事業の更なるスピードアップを図る
2.適切な役割分担
無電柱化の目的に応じ、適切な役割分担のもと、関係機関が連携して無電柱化を推進する
(防災・強靱化目的)
・市街地の緊急輸送道路など道路の閉塞防止を目的とする区間は、道路管理者が道路啓開等の観点から優先順位を明確にし、占用者が一者で電線共同溝方式が困難な区間等を除き道路管理者が主体的に実施する
・長期停電や通信障害の防止を目的とする区間、占用者が一者で電線共同溝方式が困難な区間は電線管理者が主体的に実施する
(交通安全、景観形成・観光振興目的)
・安全・円滑な交通確保を目的とする区間、景観形成・観光振興を目的とする区間は、地域の関係者が協同して面的な対策を計画するなど、道路管理者、地方公共団体が主体的に実施
・道路事業、市街地開発事業等が実施される場合は、道路管理者、電線管理者及び関係する事業者が連携
3.無電柱化の手法
(事業手法)電線共同溝方式、自治体管路方式、要請者負担方式、単独地中化方式
(構造形式)管路直接埋設、小型ボックス、屋側配線、迂回配線、ケーブル直接埋設、地上配線、側溝配線
2.無電柱化推進計画の期間
2026年度から2030年度までの5年間
3.無電柱化の推進に関する目標
1. 防 災
市街地の緊急輸送道路など道路の閉塞防止を目的とす区間、電力 や通信のレジリエンス強化の観点で必要な区間
[指 標]
道路啓開の観点から優先的に整備する区間の無電柱化整備完了率
道路啓開の観点から優先的に整備する区間の無電柱化計画策定率
市街地等の第一次緊急輸送道路の無電柱化整備完了率
市街地等の第一次緊急輸送道路の無電柱化計画策定率
2.安全・円滑な交通確保
バリアフリー法に基づく特定道路、通学路 等
[指 標]
特定道路における無電柱化計画策定率
ゾーン30プラス区域内の通学路における無電柱化計画策定数
3.景観形成・観光振興
世界遺産周辺、重要伝統建造物群保存地区 等
[指 標]
世界文化遺産周辺の無電柱化計画策定地区数
重要伝統的建造物群保存地区の無電柱化計画策定地区数
歴史まちづくり計画における重点区域の無電柱化計画策定区域数
以上の目標を達成するため、電線管理者が単独地中化で実施する
区間も含め、〇kmの整備を実現する。併せて、〇kmの計画を策定
※指標・延長は算出中
そのほか、市街地開発事業等における無電柱化を進める
切迫する巨大地震へ備えるため、30年程度の中長期目標を定め、 無電柱化を推進
本計画で定めた目標値を踏まえて、レベニューキャップ制度の第二規制期間の無電柱化の目標値を策定
4.無電柱化の推進に関し総合的かつ計画的に講ずる施策
1.緊急輸送道路の電柱を減少
・「第1次国土強靱化実施中期計画」により緊急輸送道路の無電柱化を推進
・高速道路ICから広域防災拠点間を結ぶ路線など、道路啓開の観点から優先的に整備する区間の無電柱化を推進
・道路閉塞のリスクを取り除くため、電線共同溝の事業中区間は原則として既設電柱の占用制限を指定
・沿道民地の電柱について、道路啓開の観点から優先的に整備する区間において、電線共同溝や、要請者負担方式、単独地中化など多様な手法を用いて無電柱化を進めるほか、沿道区域届出勧告制度を積極的に活用
2.新設電柱の抑制
・道路事業・市街地開発事業等の実施に際し、電柱新設の原則禁止の徹底を図るとともに、市街地開発事業等において、施工事例等を整理した各種ガイドライン等の策定・更新や、地方公共団体における無電柱化推進の取組を収集・横展開等により、事業に合わせた無電柱化を 着実に推進
3.コスト縮減の推進
・新たな整備手法や施工現場の改善等に関わる知見を踏まえ、「コスト縮減の手引き」を改訂し、普及促進を図る
・効率的に無電柱化を推進するため、屋側配線や迂回配線、地上配線や側溝配線など、地域の実情を踏まえた多様な整備手法を活用し、ピンポイントで電柱を撤去することも含め、地域の協力を得て推進
・宅地開発で整備される道路の規模・性質も踏まえた宅地開発用の設備設計マニュアル等を策定
4.事業のスピードアップ
・包括発注等の契約手続き、調整方法等をまとめた手引きを作成し、地方公共団体への講習等を通じて、普及促進
5.占用制限の拡大
・交通安全の観点で、バリアフリー法に基づく特定道路や通学路等での新設電柱の占用制限を拡大
・既設電柱の撤去を加速するため、事業中区間においては原則として既設電柱の占用制限を指定 (再掲)
6.点検及び維持管理
・埼玉県八潮市における道路陥没事故を踏まえ、電柱などの占用物件の安全性や維持管理の状況を定期的に確認
・電柱の老朽化の状況も踏まえて無電柱化を検討するなど効率的に無電柱化に取り組む
5.無電柱化の推進に関する施策を総合的、計画的かつ迅速に推進するために必要な事項
1.広報・啓発活動 2.地方公共団体への技術的支援 3.フォローアップ
現行計画(R3~R7)の進捗状況
(1) 着手延長の目標と実績
| 目標値 R7年度末 |
実績値※ R7年度末見込み |
|
| 計画協議着手延長 (工事着手延長) |
4,000km | 3,733km (1,573km) |
〇着手延長の目標は概ね達成
3,733km 〈防災2,288㎞、安全・円滑316㎞、景観・観光79㎞、その他1,336㎞〉
1,573km 〈防災1,092㎞、安全・円滑220㎞、景観・観光68㎞、その他 406㎞〉
〈 〉の数値は施策が重複
(2) 施策別の工事着手率の目標と実績
| 目標値 R7年度末 |
実績値※ R7年度末見込み |
初期値 R1年度末:防災、交安 R2年度末:観光・景観 |
||
| 防 災 | 52% | 48%(63%) | 38% (43%) | |
| 安全・円滑 | 38% | 34%(50%) | 31% (43%) | |
| 景観
・ 観光 |
世界文化遺産 | 46地区 | 44地区(49地区) | 37地区 (47地区) |
| 重要伝統的建造物群保存地区 | 67地区 | 60地区(69地区) | 56地区(67地区) | |
| 歴史まちづくり法重点地区 | 58地区 | 58地区(67地区) | 46地区 (65地区) | |
|
※ 左:工事着手ベース 右カッコ:計画協議着手ベース |
||||
〇全体として、防災について優先的に取り組んでおり、安全・ 円滑については、歩道拡幅など用地買収を伴うケースが多く、工事着手まで時間を要する等の理由により進捗が低い状況
(3) 整備上の課題
〇 現行計画の目標は工事着手延長で設定しているため、工事の早期完了よりも事業化に向けた調整に重点がおかれる傾向にあり、 事業箇所数が増え、予算・人員などのリソースが分散化した結果、 整備完了延長のペースが低下するとともに、離散的な整備により纏まった効果が得られにくい状況

〇着実な整備完了を図るため、特に防災に関して「整備完了目標」を 新たに設定

国土交通省「次期無電柱化推進計画(骨子案)」資料による
(4) レベニューキャップ制度の導入(令和5年度~)
〇電力事業者において、予算を確保しながら、単独地中化も含め、必要な無電柱化を計画的に実施する体制を整備
〇第1期期間(R5~R9)に、1,891km分の費用を託送料金に計上し、電線共同溝及び単独地中化を推進
〇国が定める推進計画(R8~R12)の目標値を踏まえて、レベニュー キャップ制度の次期目標値(R10~R14)
【次期計画】防災分野の方針(案)
(1) 現 状
① 能登半島地震で、約3,480本の電柱倒壊などにより道路が閉塞
※無電柱化を実施した8市町約20㎞では発災直後から緊急車両が通行できた
※日本海溝・千島海溝地震、首都直下地震、南海トラフ地震など 今後30年で高い確率での発生が予測されている

令和6年1月。国土交通省資料による

令和7年9月。国土交通省資料による
② 市街地の緊急輸送道路を中心に無電柱化を進めてきたが、 まだ約65%の区間で電柱が残っている
※電柱が残っている区間のうち約26%は道路区域外(沿道民地)

国土交通省「次期無電柱化推進計画(骨子案)」資料による
③ 国土強靱化実施中期計画により重点的に進めている第一次 緊急輸送道路に絞っても、完成までに36年かかる
④ 道路啓開の観点から高速IC周辺など、市街地以外の無電柱化も進める必要
⑤ 既設電柱の撤去に向けた占用制限の指定が約43㎞と取組が広がっていない
※新設電柱の占用制限は100%指定予定(R7年度)

(2) 今後の方針案
① 道路啓開の観点から高速ICから主要拠点間等を優先整備区間に設定して重点整備

国土交通省「次期無電柱化推進計画(骨子案)」資料による
② 着実な整備進捗を図るため、整備完了目標を設定
③ 切迫する巨大地震へ備えるため、今後30年程度の中長期目標を設定
④ 優先整備区間における沿道民地の電柱について、多様な手法※ により無電柱化を推進
※電線共同溝、要請者負担、単独地中化など
⑤ 優先整備区間において、道路の沿道民地に新たに電柱が 建たないよう、沿道区域届出勧告制度を積極的に活用
※R6年度末:29km指定済
⑥ 早期に道路閉塞リスクを取り除くため、事業中区間は原則、 既設電柱の占用制限を指定
※R6年度末:43km指定済
① 埼玉県八潮市における道路陥没事故を踏まえ、道路管理者として 占用物件の維持管理状況の把握が必要
② 高度経済成長期に整備された電柱の老朽化が進行

国土交通省「次期無電柱化推進計画(骨子案)」資料による
① 維持管理状況を道路管理者と占用者の間で定期的に共有
② 電柱の老朽化の状況も踏まえ、無電柱化を検討するなど、
【次期計画】「安全・円滑」「景観・観光」分野の方針(案)
(1) 現 状 「安全・円滑」
① 通学路やバリアフリー特定道路など、歩道のない区間や、 歩道が狭い区間では電柱が障害となり、 安全な歩行空間が確保できていない

国土交通省「次期無電柱化推進計画(骨子案)」資料による

国土交通省「次期無電柱化推進計画(骨子案)」資料による
② 学校周辺の面的な対策として、ゾーン30プラスを展開
※全国で263箇所を指定
※ゾーン30プラス内の通学路の約7割に電柱が存在
※バリアフリー未対策区間の約4割に電柱が存在
③ 交通安全の観点で新設電柱の占用制限の指定 が約65㎞と取組が広がっていない
④ 狭隘な道路では、管路埋設や地上機器設置の空間確保が困難

(2) 今後の方針案 「安全・円滑」

国土交通省「次期無電柱化推進計画(骨子案)」資料による
① 特定道路において、電柱撤去により安全な 歩道幅員を確保できる区間を優先的に整備
② 通学路について、ゾーン30プラスを対象に新たに指標を設定し、速度抑制策と合わせて安全を確保
③ 新設電柱の占用制限を特定道路・通学路に拡大
④ 地域の実情に応じて、側溝配線や屋側配線など多様な手法を活用し、ピンポイントで電柱を撤去する事も含め無電柱化を推進

国土交通省「次期無電柱化推進計画(骨子案)」資料による
(1) 現 状 「景観・観光」
① 観光の振興を図るため良好な景観形成が必要
※訪日外国人観光客が3,687万人と過去最高(R6年)
② 市町村の無電柱化推進計画策定が進まない等の理由から、 景観・観光関係者と道路管理者間の連携が、十分に図られていない事例が存在

③ 歴史的街並みの保全や修景整備など、景観に配慮した 整備手法の適用が求められる

(2) 今後の方針案 「景観・観光」
① 市町村における無電柱化推進計画策定を働きかけるとともに、 地域の景観・観光・無電柱化に関する計画の一体化等による 面的な無電柱化の推進
② 地域の実情に応じて、側溝配線や 屋側配線など多様な整備手法を活用
※地域の景観と一体となった無電柱化の工夫:立上げ管路の色彩や、地上機器の目隠し版 など

屋側配線(上)・立上げ管路(下左)・地上機器の目隠し版(下右) 国交省「次期無電柱化推進計画(骨子案)」資料による
【次期計画】占用制限・コスト縮減等の方針(案)
(1) 現 状 「占用制限等」
① 緊急輸送道路では、新設電柱の占用制限を100%達成(予定) する一方、その他の道路の指定は約65㎞にとどまっている
② 既設電柱の占用制限や沿道区域届出勧告制度が進んでいない
③ 管路整備後、長期間にわたって電柱が撤去されていない場合がある
※うち約5割は4年以上が経過
④ 市街地開発事業等において、コスト等の課題により無電柱化の取組が徹底されていない
※市街地開発事業において整備する幹線街路における無電柱化実施率78%(R4~6年度)

(2) 今後の方針案 「占用制限等」
① 新設電柱の占用制限を特定道路・通学路に拡大 (再掲)
② 優先整備区間において、道路の沿道民地に新たに電柱が建たないよう、沿道区域届出勧告制度を積極的に活用 (再掲)
③ 既設電柱の撤去を加速するため、 事業中区間は原則、既設電柱の占用制限を指定 (再掲)
④ 電柱撤去を考慮した工事ロットの設定や管路の施工工程の見直しなど道路管理者と電線管理者の連携を強化
⑤ 施工事例等を整理した各種ガイドライン等の策定・更新や地方公共団体における無電柱化推進の取組を収集・横展開することにより、 市街地開発事業等に合わせた無電柱化を着実に推進
⑥ コスト削減に向け、宅地開発で整備される道路の規模・性質も踏まえた宅地開発用の設備設計マニュアル等を策定
(1) 現 状 「コスト縮減等」
① 浅層埋設や低コスト管材の使用により設計上は、2割程度のコスト縮減が可能
※現地の状況により、一部適用ができない区間も存在
② 低コスト手法の周知が徹底されておらず、地方公共団体においてコスト縮減策の適用が十分に進 んでいない

国土交通省「次期無電柱化推進計画(骨子案)」資料による
③ 契約手続きの進め方が分からない等の理由から、事業のスピードアップに資する包括発注方式の普及が進んでいない※包括発注等の活用実績:12自治体



(2) 今後の方針案 「コスト縮減等」
① 更なるコスト縮減に向け、地上配線や側溝配線など新たな手法も含め、多様な整備手法を活用
※側溝配線は全国のモデル地区(10箇所)で検証中
② 品質確保や労働環境改善等の観点を含め、 施工現場における課題の改善に向けた検討体制を構築
③ 新たな整備手法や施工現場の改善等に関わる知見を踏まえ、 「コスト縮減の手引き(R6.3策定)」を改定し、普及促進を図る
④ 包括発注等の手引きを作成し、地方公共団体への講習等を通じて、普及促進を図る

側溝配線の活用によるコスト縮減検討事例 交通省「次期無電柱化推進計画(骨子案)」資料による
骨子案を見ての考察(個人的見解)
- 「防災」を目的とした緊急輸送道路の無電柱化を積極的に行う方針を打ち出している
- 緊急輸送道路の無電柱化以外に、「良好な歩行空間の確保」を目的とした無電柱化も強調している
- 電線共同溝での無電柱化はしつつも、電線管理者による単独地中化を促す方向を示している
- 無電柱化が進んでいない現状認識(緊急輸送道路の無電柱化が、計画の段階や、管路工事のみの状態でとどまっている)までは示しているものの、抜本的な解決を示すまでには至っていない
- 「電柱を増やさない」具体的な解決策までは見出せていない
→無電柱化が進まない理由の一つとして民地に踏み込めない→新設電柱の抜け道になっている
→「電柱の未抜柱が多い。特に近畿地方」という検証が示されている - コスト縮減の方策として、浅層埋設→低コスト管路材の採用を示しているが、それ以外での方策が見出せず、現状、新規参入が難しい状態になっている
- 安心・安全を担保にした規制緩和策を見出して、新規参入をはかりたい
→規制緩和によって既成の製品で参入できる場合がないか検証していきたい

