~北海道らしい無電柱化を考える~
◆日時:2017年10月19日(月)14:30~17:30
◆場所:かでるホール(かでる2.7) 1階
◆基調講演:石田 東生
講演:神田 太朗
話題提供:山下 彰司
コーディネーター:佐々木 葉
パネリスト:浜田 哲、石田 東生、室谷 元男、奥村 敦史
◆主催:NPO法人電線のない街づくり支援ネットワーク
◆協力:国立研究開発法人土木研究所寒地土木研究所
◆後援:一般財団法人日本みち研究所、無電柱化を推進する市区町村長の会、一般社団法人無電柱化民間プロジェクト実行委員会、公益社団法人土木学会北海道支部、NPO法人「日本で最も美しい村」連合、北海道放送、NHK札幌放送局、STV札幌テレビ放送、HTB北海道テレビ、北海道文化放送、テレビ北海道、北海道建設新聞社、北海道市長会、北海道町村会
主催者あいさつ ※当NPO理事 伊津元博が代読
髙田昇 NPO法人電線のない街づくり支援ネットワーク 理事長
「無電柱化推進法」成立記念シンポジウムへのご出席の皆さん!
私たちはこの大切な法律施行を生かし、無電柱化を強力に進める動機にしたいと考え、東京を皮切りに、大阪、沖縄と各地でシンポジウムを企画、開催してきました。
そして今日「北海道らしい、無電柱化」を考えるために、これほど多くの方がお集まりいただいたことに、まず強い感銘を受けています。本当にありがとうございます。
全国での「無電柱化」を考える多くの集まりで、最大規模であります。
早くも冬の訪れとも聞く冷たい北海道が、ここでは熱気に満ちています。
そのご期待に沿うべく、第一線でご活躍、そして英知あふれるゲストをお迎えして、充実した成果をお持ち帰りいただけるものと確信しています。北海道は,「訪れたいところ」として全国でも群を抜くトップの座にある,日本の宝ともいうべきところです。
今日のシンポジウムが、その魅力にさらに磨きをかける新しい第一歩となることを強く願って、主催者を代表しての挨拶とさせていただきます。
来賓あいさつ
和泉晶裕 北海道開発局長
本日は「北海道らしい無電柱化を考える」と題して、満席に近いお客様がお集まりいただいた中で開催されることを心よりお祝い申し上げます。
今回のシンポジウムは「北海道らしい」がキーワードになると思われます。
私が無電柱化に関わったのは、平成3年からですが、当時は、地中化するエリアが限られていて電力供給が多い所で主に行われていました。あれから25年が経ち、昨年12月に無電柱化推進法が成立したことによって、ようやく北海道らしい無電柱化を地方部でもできるのかなという期待感が生まれてきました。ただ、北海道での現実は国道で約50km程度しか進んでいませんし、地方部も含めた無電柱化の普及率はまだ1%程度となっています。このような中で今後は地方部の景観が注目されます。外国人観光客も増えてきています。例えば稚内に向かう利尻島の見える稚内・天塩線の抜海港を通過するエリアに関しては、道路そのものが観光地化、ドライブ観光を含めた沿道景観づくりが期待されている。
平成14年からシーニックバイウェイというプログラムを実施。農業のほうでは「わが村は美しく-北海道」運動という景観と農業を組み合わせた取り組み、本日参加されている浜田町長が取り組まれている「日本で最も美しい村連合」という景観をキーワードとした取り組みが行われている。
無電柱化法の制定によって、新しい枠組みの中で進められ、北海道のインバウンド観光を進めていく上での道路という景観と防災上という視点も含めて、無電柱化が関係機関を巻き込んで進められることはうれしく思っています。
来賓あいさつ
小笠原春一 登別市長
本日は「北海道らしい無電柱化を考える」と題して、満席に近いお客様がお集まりいただいた中で開催されることを心よりお祝い申し上げます。
無電柱化を推進する全国市区町村長の会の北海道ブロックの幹事をしています登別市長の小笠原と申します。皆様もご承知の通り、昨年12月制定の無電柱化推進法では、災害の防止、安全かつ円滑な交通の確保、良好な景観等の形成をはかるという無電柱化を推進する上での基本理念が掲げられています。
この「無電柱化を推進する全国市区町村長の会」は、平成27年10月に全国青年市長会が発起人となり設立。現在、295市区町村が加盟しています。無電柱化に対する意見・要望を国会議員や国会に要請するなどの活動をしています。本日、北海道を代表して美瑛町の浜田町長がシンポジウムに参加されています。北海道では先日美唄市が加盟し、11市町になりました。今後もっと推進していきたいと思っています。他の179市町村の皆様がたにもご理解・ご協力をお願いしたい。
また、本日のシンポジウムの前に、全国市区町村長の会・北海道ブロック会議が当登別市で行われ、無電柱化の展望や技術開発などの情報共有を行いました。NPO法人電線のない街づくり支援ネットの皆さんにもご参加いただき、大変勉強になり、実りのあるものとなりました。
今回のシンポジウムは「北海道らしい無電柱化を考える」ということであります。私どもの登別市は昨年の宿泊者延べ数が128万人、インバウンド(訪日外国人旅行者)の宿泊者数が48万人と、札幌市に次いで2位でした。すぐ隣りの白老町では象徴空間の建設がされています。今後は、函館市も伸びてくると予想されます。国では2020年の目標として全国で4000万人のインバウンド、北海道で500万人のインバウンドを目標にしています。今後、無電柱化を進めながら観光を活性化していかなければなりませんが、皆さんもご承知の通り、実施においては、膨大な経費がかかります。より一層の整備コストの縮減、調査・研究をしていかないといけません。
本日は各関係団体(電力・通信、公的機関、無電柱化に携わっておられる企業)の皆様が多数出席されています。皆で知恵を絞っていきながら北海道の無電柱化を進めていきたい。無電柱化の風が全国にどんどん広がることをお祈り申し上げます。
祝 辞 「無電柱化の推進に関する法律」成立記念シンポジウムに寄せて
高橋はるみ 北海道知事
「無電柱化の推進に関する法律」の成立を記念するシンポジウムが、全道各地から多くの皆様がお集まりの下、盛大に開催されますことを心からお祝い申し上げますとともに、開催にご尽力いただいたNPO法人電線のない街づくり支援ネットワークの皆様に敬意を表します。
近年、地震など頻発する大規模災害への備えや、安全で円滑な歩行空間の確保、美しい景観の形成といった観点から、無電柱化の推進を求める機運が高まっていますが、積雪寒冷である本道に特有の凍上・凍結や施工コストの問題など、その推進に当たっては克服しなければならない様々な課題があります。
こうした中、「北海道らしい無電柱化を考える」をテーマに各界のご専門の方々による講演やパネルディスカッションが行われることは、道民の皆様の理解を深める契機となり、本道における無電柱化の推進に大きく寄与するものと期待しています。
道といたしましても、関係の皆様と連携しながら、自然災害に備えた強靭な社会資本の整備や、景観を活かした観光をはじめとする北海道ブランドイメージのPRを進めるなど、安全で美しいまちづくりに取り組んでまいりますので、今後ともご理解とご協力をお願い申し上げます。
結びに、お集まりの皆様のますますのご活躍とご健勝を祈念し、挨拶といたします。
講 演 無電柱化推進法案の現状とこれから
神田太朗 北海道開発局 道路維持課 課長補佐
無電柱化は、道路の防災性の向上、安全で快適な通行空間の確保、良好な景観形成や観光振興の観点から推進しなければならない。防災面では災害のリスクを低減し、安全・快適面では本土より10年早い高齢化が進んでいる現状を踏まえ、景観・観光面では、インバウンド観光の後押しをする。しかしながら、北海道全域での無電柱化率は1%と低い。現在の電柱の状況は北海道の国道6800kmに電柱が約17万本立っている。80mおきにある感覚。電柱が立っていることが当たり前の風景の状況。世界の主要都市では、無電柱化率が100%もある一方、道内で最も進んでいる札幌市でも2%と低い。
北海道開発局では、昭和61年以降、直轄国道における無電柱化を進め、これまでの整備延長は約50km。
平成7年の電線共同溝法施行で電線管理者主体から道路管理者主体へ事業手法が変わったことにより、単独地中化から電線共同溝へと大幅に整備方法が変わった。
北海道における無電柱化の課題は本土と違い、冬季に地盤が凍結するため、その影響を考慮し、深く管路を埋設しなければならず、施工コストがかかってしまう。特に特殊部の施工コストが高く、本州のように蓋を開けて維持管理するタイプではなく、マンホールを使って深く、長く掘るタイプを使わざるを得ない。
平成28年12月、無電柱化の推進に関する法案が成立し、電柱の設置抑制や撤去等に係る事業者の責務が明記された。更に、国等による道路法37条を活用した占用の禁止・制限等の実施や、道路事業等に併せた事業者による新設抑制・撤去が規定された。
平成29年8月、無電柱化推進のあり方検討委員会の中間とりまとめが発表された。
大まかにまとめると、課題として、限りある予算の中での推進では、防災面では緊急輸送道路、安全・円滑面では、バリアフリー法に基づく特定道路等、景観・観光面では、世界遺産周辺の道路等を優先して整備していく。その他、電線共同溝方式以外の事業手法による取組の大幅な拡大が必要、占用制度の運用の見直し、地方ブロック等の協議会において、地域ニーズを適切に反映する必要がある。
更に具体的な施策として、多様な整備手法の活用(PFI)でコスト縮減を促進する。例えば、無電柱化だけではなく、軒下・裏配線(北海道では国道276号倶知安町の「八幡ビューポイントパーク」が好事例)、既存ストック活用(特に北海道では事例が多い)、コスト高や事業調整が困難、無電柱化事業を理解した職員がいないなどの課題を解消するため、割賦払いによる予算の平準化をすることなどを行っている(中国・四国地方整備局が先行して進めている。北海道でも検討している)。
低コスト手法の普及拡大においては、管路の浅層埋設や小型ボックス方式、直接埋設方式がある。直接埋設方式は海外事例のみで、我が国では事例がない。浅層埋設に関しては、「電線の埋設に関する設置基準」が緩和された(北海道では積雪・凍結の関係で緩和が今のところ生かせない)。小型ボックスに関しては、電力ケーブルと通信ケーブルの離隔距離の縮小に向けた試験や検証で、難燃性の防護材被膜等のケーブルや管等により離隔距離が従来の30cmから0cmになった(電力線が222V以下の場合)。
新設電柱の占用制限の場合、緊急輸送道路以外への拡大が図られている。道路法37条の活用拡大で、交通が著しくふくそうする道路や幅員が著しく狭い道路への適用も検討する。
地元関係者、電線管理者を含む協議会の体制強化も図られている。現在の取組みとして、中央の無電柱化推進検討会議、各地方ブロックの無電柱化協議会に地元代表者のメンバーを加え、地域の声を取り入れる取組みを検討している。
国民世論の形成においては、平成27年10月20日に発足した「無電柱化を推進する市区町村長の会」がある。積極的に政府や民間等との連携・協力を図り、無電柱化のより一層の推進により、安全で快適な魅力ある地域社会と豊かな生活の形成に資することを目的としている。平成29年10月現在で全国295市町村、北海道内の会員数は11市町に及ぶ。
基調講演 無電柱化と道路政策のイノベーション
石田東生 日本大学特任教授・筑波大学名誉教授・(一財)日本みち研究所 理事長
2017年8月22日に道路分科会の建議において道路・交通イノベーションが提唱された。「みち」の機能向上・利活用の追求による豊かな暮らしの実現へ。道路・交通から社会経済を変革する。道路・交通とは、道路・港湾・空港・鉄道を含めての道路・交通であり、その道路・交通から社会経済を変革することによって、美しい国土、災害に強い安全な国土をきちんと進める。いわゆるインフラから社会を変革する。その道路施策の具体的提案として無電柱化が建議された。無電柱化は、道路政策の具体的提案の一つとして項目化されただけでなく、総合的な交通安全手段、ニーズに応じた道路空間の利活用、「観光先進国」の実現など、豊かな、安全・安心な観光立国に資する道路空間に大きく関与・貢献するシンボリック的な役割をしている。道路政策のイノベーションの象徴の一つとなっているが、的確な評価もしていかないといけない。
「イノベーション」を日本語訳すると、「技術革新」。ICTやハイテクの分野のことを指しがちで、「道路は関係ない」という印象。1958年の「経済白書」で「技術革新」と訳されたためか。でも、イノベーションの初出はオーストリアの経済学者のシュンペーターに遡る。「経済発展の理論(1911)」で新結合を提唱。そもそも経済システムの革新と発展の話である。われわれの意味する発展の形態と内容は新結合の遂行(生産とはわれわれが利用しうる色々なものや力の結合)という定義によって与えられている。イノベーションは技術革新だけでない、経済・社会システムの改革を意味し、経済・社会システムにとって道路は最重要な要素であり、無縁ではない。
先日の中国共産党大会において習主席が「創新」という言葉を使っていた。これを日本のマスコミは「技術革新」と訳していたが、ニュアンスが違う。彼は、アジア・中東・ヨーロッパを結ぶ一帯一路政策を提唱。東アジアとヨーロッパを結ぶ鉄道の整備・交通システムの一大改革を示していたが、まさに道路が革新をもたらすという一例になる。
社会資本概念の拡大というイノベーションで紹介すると文化勲章を受勲されたことでも知られる宇沢弘文先生の「社会共通資本」という概念がある。それは、豊かな経済生活を営み、優れた文化を展開し、人間的に魅力のある社会を持続的、安定的に維持することを可能にするような自然環境や社会的装置を言う。例えば、社会インフラというと、土木施設(社会的インフラストラクチャー)を社会資本と意味しがちだが、それだけではなく、自然環境やコミュニティとか教育(制度資本)までを社会資本という。
従って社会・経済システムのイノベーションには社会資本政策は必須である。中でも、道路・交通イノベーションは、「みち」の機能向上・利活用の追求による豊かな暮らしの実現に欠かせないものである。
その道路政策の象徴と一つとして無電柱化が位置付けられ、道路政策の他の具体的提案に関しても大きな関与・貢献を果たしている。
無電柱化の期待と課題としては、なかなか進まない現状がある。以前、私はインドネシアのジャカルタの総合都市交通に携わったことがあった。現在、ジャカルタ市街は、無電柱化の普及率が30%で、並木道の綺麗な道路で形成されている。無電柱化に関しては、今では日本がすっかり抜かれてしまっている。
無電柱化の推進方法に変化も出てきた。平成7年の電線共同溝法により、管理の主体が電線管理者から道路管理者へ移行された。それに伴い、電線共同溝の整備を各種特例で推進したり、電線・電柱の占用を制限するようになった。共同溝本体は国が1/2、地方自治体1/2。地上機器・電線は電線管理者となる。
無電柱化の促進のためには、制度を整え、事業費を増やし(そのためには国民の理解と支持を得ないといけない)、低コスト化を図らないといけない。
事業費に関しては、電力会社の努力だけだは担い切れない費用がかかる。予算に関する過去の失敗例・苦い経験を紹介すると、2004年~2014年にかけての高速道路利便増進事業がある。高速道路の建設・維持費は、皆さんも周知の通り、国債で賄われている。過去に最大40兆円あった国債は現在、30兆円にまで順調に減ってきているが、この2004年から行われた高速道路利便増進事業は、政府による高速道路の休日1000円、通勤割引政策で、債務の積み増し・総額3兆円をかけて行われた。この制度によって2年半で2.5兆円を使い切ってしまい、結局何も残らなった。
2.5兆円あれば、高速道路の車線増強やそれこそ無電柱化の推進に使うことができ、ジャカルタにひけをとらない無電柱化をはかれたかもしれない。無電柱化の推進では、間違わないようにお願いしたい。
北海道の無電柱化について、2016年3月28日に閣議決定された北海道総合開発計画では、キャチフレーズを「世界の北海道」としている。ちなみに「人が輝く地域社会」「世界に目を向けた産業」「強靭で持続可能な国土」を目標としている。食と宿泊施設においては世界最高の水準と言えるが、世界水準の観光地の形成では不足である。北海道だけの最高水準の魅力、感動を与える風景が最高の水準でないといけない。
2003年からになるが、「シーニックバイウェイ北海道」を提唱している。景観(美しい景観づくり)、地域(活力ある地域づくり)、観光(魅力ある観光空間づくり)の三つの連携要素が地域の想いとして結びついている。その想いとは、例えば「美しい地域にしたい!」「ドライブ観光を振興したい!」「訪れる方によろこんでもらいたい!」と「地域経済を元気に!」「愛着と誇りのもてる地域に!」などである。そこには「ひと」と「みち」が関連している。
現状の課題としては、中山間部の無電柱化による自然環境の改善が重要となっている。風光明媚な羊蹄山の見える道路や知床連山が見える風景などで、残念ながら電柱・電線がかかってしまっている。スイスの山並みが見える街並みには、当然電線・電柱は存在しない。
最近ようやく電線を無くして景観がよくなった場所(ビューポイント)が出来始めた。八幡ビューポイントパーク倶知安(くっちゃん)が代表例として挙げられる。無電柱化事業は、残念ながら遅々として進まないところがあるが、遅々というスピードに諦めてはならない。楽しい・美しい・いい共感を得るためにも無電柱化を進めていかなければならない。
話題提供 北海道からみた無電柱化に必要な技術開発~自然・田園地域及び寒冷地における方策~
山下彰司 国立研究開発法人土木研究所 寒地土木研究所 特別研究艦
もはや電線電柱のある景観が当たり前の日本の景観ですが、電線電柱さえなければ、自然・田園地域での景観がよくなるのではないか。多くの外国人が訪れるニセコエリアのビューポイントパーキング、羊蹄山の眺めを例に紹介。
本研究は、主に電線共同溝事業の対象となりにくい自然・田園地域等において、地域特性に応じた効果的な景観対策手法を提案することを目的に実施。電線地中化を含む「多様な景観対策手法」により景観向上という効果が得られます。主な工夫として、①地中化、②配線ルートの変更および裏配線、③片寄せ、④セットバックと樹木による遮蔽、⑤電線電柱の工夫などが考えられる。③の片寄せの事例としては、大空町ビューポイントパーキング(メルヘンの丘)がある。低コストで景観向上の効果がある。
続いて凍上地域での浅層埋設ですが、国土交通省では、平成28年4月1日より、電線類を従来の基準より浅く埋没するため「電線等の埋設物に関する設置基準」を緩和した。これにより交通量の少ない生活道路で、電線頂部と路面の距離が、これまでの80cmから最大35cmまでに浅層埋設できるようになった。しかし、寒冷地においては、凍結の影響により、ケーブルに与える懸念などから、浅層が進んでいないのが現状。そこで弊所では、電線地中化整備コストの大幅な削減を左右する、凍上凍結が光ケーブルに与える影響の有無を把握することを目的に実証実験を実施した。結果は通信管路内の水を凍結させても、光ファイバーの通信損失による支障は生じないことを証明できた。
自然・田園地域の無電柱化の現状として、日本は、配電線の延長は世界の中で最も長いが、地中化の延長は最も短い。また、弊所では、専用機械を導入し、掘削作業の大幅なコスト削減を目指している。電線類を埋没する際に使用する掘削機械について、日本国内の主要機械はバックホウであるが、無電柱化が進んでいる諸外国では、電線類埋設用の掘削作業に、電線類埋設用掘削専用機械(トレンチャー)を使用している。弊所では、海外の電線類埋設用トレンチャーの実態調査を行うとともに、電線類地中化の低コスト化に向けた技術開発を目的に実証実験を重ねている。
パネルディスカッション 北海道らしい無電柱化を考える
パネラー講演 まちづくりと景観育成
浜田哲 美瑛町長
十勝岳の麓にある町で、十勝火山群では、約150万~120万年前に複数回の大規模噴火があり、今日のような「美瑛の丘」が形成されている。噴火で噴出した火砕流は、周辺に広く分布し、写真撮影スポットとして広く知られている。明治27年、本州より開拓者が入植し、街がつくられた。まちがつくられて118年になる。面積は東京23区とほぼ同じ。人口は、平成29年現在、10,335人。産業は、農林業、商工業、観光業。美瑛開基100年のとき、町長に就任。以後、十勝岳の活動に由来する地域資源を最大限に生かす取り組みを進めている。それには、まちのブランド化が必要だと感じ、景観をまちのブランド化の柱にすることにした。
2003年、「日本で最も美しい村連合」をスタートさせた。フランスの「美しい村連合」から発想し、更に、一つの村だけでは、何もできないので全国で同じような境遇を持つ自治体を募り、組織化をはかった。「日本で最も美しい村」連合加盟町村・地域数は、2016年現在、63町村・地域におよび、サポーター会員は88企業、年間1000万~2000万円の支援を受けている。
美瑛町独自の地域資源としては、①丘の景観、②美瑛軟石、③青い池などがある。また住民による美しい村づくり活動も盛んである。
市街地の電線地中化に関しては、風景としての景観も当然あるが、そこに住む住民がメインの住む街としての景観も重要と考えた。美瑛町としての修景事業としては、100m~200mの工事に2000万円かかる多額の費用ではあったが、美瑛町の景観が持つ魅力の保全・向上に一役かっている。それは、住民・来訪者の満足度向上や、企業進出・ツーリズムの進展などの経済的発展につながっている。この考えはフランスから教訓を得ている。フランスはツーリズムを産業にしている。
良好な景観が徐々に効果をもたらしている。例えば、5,000人が参加するマラソン大会、フランスでも盛んな自転車のロードレース、東京の企業が工場を誘致し、地域に溶け込んだブランド商品を作ったり、美しい風景を撮るために来訪する人も増えている。
最後に無電柱化を推進するにあたり、住民・事業者との理解・協働を今後もはかっていかなければならない。
パネラー講演 歴史資源を生かした交流の町づくり 無電柱化のいにしえ街道
室谷元男 江差町歴まち商店街協同組合監事 江差町いにしえ資源研究会
江差町は、2017年7月末現在、人口7,964人の都市である。北海道の南部。函館空港から2時間、新函館北斗駅の木古内駅から1時間、函館フェリー乗り場から1.5時間の位置にある。
江差町は北前船の交易で栄えた港街。北前船とは、江戸時代から明治にかけて栄えた廻船での交易で、江戸時代後期の廻船業者、高田屋嘉兵衛が有名で嘉兵衛の淡路島から江差港までを下関経由で日本海に出て日本海沿岸の港に停泊しながら江差まで航行、交易することが盛んに行われた。
昭和に入り、北前船大回航というプロジェクトが行われた。いにしえの北前船の航路をたどるべく昭和61年5月5日、兵庫の淡路島を出港し、6月14日、江差港に入港するまでの50日間、2500kmの間に延べ20の港に立ち寄り、延べ120万人の人出を集め、江差入港時の8日間20万人の人出を集めた。このイベントは身近にある歴史的遺産の価値を再認識させた。
平成に入り、北海道戦略プロジェクトの町に小樽・函館と並んで江差も選ばれ、平成元年、歴史を生かす町づくりの「モデル地区」に指定される。その際、街路事業の導入が図られ、道幅7mを13mに(歩道6m)、延長1.1kmの無電柱化工事を実施(いにしえ街道)。以降、無電柱化された通りを活かしたイベントや他地域との交流を行っている。紹介事例として、ちんどん屋興行、町民野外劇『江差幕末物語』。壱番蔵として、古い土蔵を借りてイベントを開催。寄席やジャズコンサート、民謡・会議・宴会など、住民一人ひとりが来訪者と交流する「百人の語り部のマチ」、北前のひな祭りとして、全国各地から送られた200組のお雛様を古い蔵を利用して展示する催し(2~3月)、花嫁行列と長持ち唄として、いにしえ街道を江差追分名人の歌う長持ち唄にのせ、新婦が地元に残る人力車に乗ってねり歩きます。本州からは青森県五所川原市の立佞武多(たちねぷた)の交流があります。
三方を海に囲まれた半島という地勢を利用して「人あつまる」交流と連携を今後も
はかっていきます。
パネラー講演 無電柱化の取り組み
奥村敦史 北海道電力株式会社 流通本部 配電部長
電気設備の構成には、電気の流れを入切する多回路開閉器、6,600Vを100V~200Vに降圧する多回路変圧器、引込線:ご家庭に電気をお届けする低圧分岐装置がある。電線に設置されている電気設備はそれぞれ地中化する際に多回路変圧器に置き換えることができる。地中設備の際に使用する高圧線は、高圧ケーブルが使われている。高圧ケーブルの構造は複雑で、地上の電柱で使われている高圧線の10倍の費用がかかる。
北海道の無電柱化は、北海道無電柱化推進協議会にて対象路線を決定し、道路管理者や自治体、電線管理者が連携して取り進めている。1986年からスタートし、現在、第7期まで進んでいる。今年度は9市4町25路線の無電柱化計画を進めている。距離にして6.7km。
主な無電柱化の事例としては、札幌市。オフィスビル、商業施設、マンションなどが密集。ビル店舗の建て替えにより低圧受電から高圧受電に変更となるケースがある。
小樽市。JR小樽駅から歴史的建造物や石造倉庫が立ち並ぶ小樽運河に抜ける「3・2・1 中央通」を無電柱化。「沿道区画整理型街路事業」により、店舗の共同化、再開発事業などにより、新たな街並みが誕生し、都市景観を創出。その他、伊達市の「伊達物語回廊街路整備」→街並みのイメージに合わせて地上機器の外観を装飾。札幌市の街路灯(共用柱)に変圧器を設置することで、地上機器(多回路変圧器)の設置が不要。函館市の歴史的環境の保全や個性あふれる街づくりを目的として、まちづくり支援街路事業を計画。地上機器の数を最小限にして景観に配慮。
無電柱化の課題として、建物が密集している商業地区などで、歩道部が車両の出入口となっている場合、地上機器の設置場所に十分配慮するとともに、地域の理解が必要。
あと、北海道特有の課題として、冬道(路面圧雪等)のスリップ事故による地上機器への車両衝突や冬期間の積雪による地上機器の埋もれなどがある。例年の冬道・雪道での被害件数は電柱で20~30本、変圧器で4基の被害がある。電柱のほうが数は多いが変圧器は1基当たりの被害額が大きいので、ポールを立てて分かるようにする工夫をしている。
最後に無電柱化の推進に向けて、昼間工事の拡大、冬期間工事の縮小などによる工事費の縮減。地上機器の設置等に関わる地域の理解と協力。電線管理者としての取り組みとして、更なるコンパクト化、低コスト化に向けた地中資機材の開発、工期の短縮・効率化に資する施工方法の開発が求められる。
パネルディスカッション 北海道らしい無電柱化を考える
佐々木:皆様の発表を終えて、石田先生、一言お願いいたします。
石田:まず二町のお話から。二人のお話は、随分違うけど、二人の話で共通することはあります。
どのような街にしたいか。地域の皆さんが自分ごととして考える、どうブランド化・特徴化していくか。その延長線上にツーリズム・産業化・活性化がつながっていく。その意味で、共通することがわかって非常によかったと思っている。
次にほくでん。このような場に来て下さったことに敬意を表したい。完全アウェーの立場ながら、専門の方の話を聞くことはすごく重要である。知識もなく、ただ無電柱化と言っているだけでは、次に進まない。お互いの立場を一緒に聞くことはすごく重要である。
佐々木:分からないことでイメージだけ先行していても、はっきりしないので、こうして一緒の場で議論することは、とてもよいこと。浜田町長、ご意見いかがですか。
浜田:フランス・イタリアの方とお話しをすると、電線は無いのが当たり前だ。しかも、安上がりな工事で済ませている。大丈夫かと思うが、全然問題なく暮らしている。日本のように、こんな過剰な工事をする必要があるのか。基金を募って、1000万、2000万かけて、町長の好みでやってるんじゃないの?と言われる必要のないような、住民に負担を強いても問題なく、十分できる無電柱化はできないのか。
佐々木:私も建築デザインの仕事をやっている立場ですが、時々、この橋、こんなにごっつくなくてもいいのではと思うときがある。時代やニーズに合わせてもっと柔軟に考えてもいいのではと思う。次に、室谷さん、ご意見いかがですか。
室谷:江差町も一昨年、「日本で最も美しい村連合」に加盟させていただいた。また、北海道発の日本遺産にも選ばれた。これも、いにしえ街道のおかげだと思います。いにしえ街道によって、街の人の意
識が変わりました。他の人が「江差はいい街だ。好きだ」と言ってくれる。人が来て褒めてくれることによって、住民が誇りに感じ、街が活気づく。
津軽海峡を挟んだ青森県の佐井村(人口2,000人ほどの村ですが)で、昔から続く漁村歌舞伎が復活しました。この村も「日本で最も美しい村連合」に加盟し、わが町との交流によって、地域に残る伝統行事を守ることが出来ました。江差町も江差追分を初めとする伝統芸能が見直されている。
佐々木:ほくでんの奥村さんにご質問ですが、無電柱の過剰な費用高をどのようにお考えですか?先の寒地土木研究所の実証実験からも、もう少し簡素化できるような話もあったが、そんなに心配しなくていいんだよという話はないでしょうか。
奥村:おっしゃる通りだと思います。冬場の停電、災害時の復旧の問題など、安全・安心な電気の供給を考えるとやはりきちんとした配電設備が要求される。復旧に時間がかかることに慎重にならざるを得ない。特に無電柱化だと掘り返す必要がある。札幌で例えると、昨年4回台風が来た。北海道で特に気になることが冬場の停電である。生死にかかわる状態になることから苦情の多い案件なので慎重にならざるを得ない。
佐々木:50年前のことを考えると、今のような設備は無かったので、バックアップの形を変えるとか、頑張れるところとそうでないところの棲み分けを考える、ライフスタイルを考えるなどで無電柱化を進めることができるのではないだろうか。
浜田:最近では、農家の方々、農協までもが「景観が金になる」という意識が高まっている。『「美瑛」というブランドで野菜が売れる』などの意見も出ている。以前、フランスやイタリアでの話の意識との違いを考えると「これでは(無電柱化は)100年はかかるな」と思っていたが、今回の話を聞いて、開発局やほくでんの無電柱に対する方向性をみることができて、非常に希望が湧いてきている。「景観が地域づくりの柱になり得ること」を、皆で知恵を絞っていって仕上げていくことができるのではないかと確信している。
石田:停電の防止は当然必要である。その有難さを忘れてしまっている感すらする。その有難さを電力会社に全責任を負わせるのではなく、「自分達で電力を守る」という意識が必要である。
自社ビル内とかコミュニティ内で電力を作るなどの意識をもつ必要がある。代替電源をどうするか。コミュニティでやる意識、例えば、家庭では、HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)など、ビルだったらBEMS(べム)というシステムを組み合わせてく。方向性を変えていかなければならない。
街づくりの中で裏配線や軒下配線などを利用する。それには住民との同意が必要となってくる。
佐々木:室谷さん、通りの無電柱化をされた際に、どのようなご苦労がありましたか。
室谷:無電柱化に異論はなかったが、道路を拡幅することについては議論が激しかった。結果、ベストではないかもしれないが、ベターな方向を考えた。人口が減少している小さな町にこのような巨額な費用をかけてもらったことに責任を感じている。江差に住んでいる住民の環境を整え、江差に住みたい人を募ることをしていかなければいけない。
道路は、時が経つと痛んでくる。道路・景観をどうするかと、街の将来や活性化をどうするかを常に考えながら今後も進めていかなければならない。
佐々木:浜田町長、ある区間は無電柱化されているが、他のところで無電柱化は進んでいるのか。
浜田:地域での無電柱化は、町に移転してきた企業からの依頼が多い。外国人の観光客で、美しい風景を撮影するとき、どうしても畑に入っていく。その一番の原因が電柱だ。
中国から来る観光客は駅から数百メートル離れている飲食店でも平気で歩い
てやってくる。そして毎日行列を作っている。歩くことを楽しみにしているようだ。地元の人を相手にする商売から外国人の旅行者を相手にする時代になっている。昔から商売する街の店は、どんどん客を減らしている。地元の人は、案外インターネットを利用したりしている。店にお金を落とすのは外国人観光客。街のリメイクが今後進んでいくのではないか。
佐々木:石田先生が紹介したビューポイント、1か所、ほんの少しでもいいが、誰もがインスタ映えするところ。美瑛町でもそのビューポイントをFaceBookやホームページで紹介する。地中化するところをビューポイントに絞って北海道の魅力を強調する、それほどではないところは、後回しにする。まずは、費用対効果の高い場所に絞る・探すというのはいかがでしょうか。どうでしょうか。石田先生。
石田:これは非常に重要な問題です。
全国で3500万本の電柱。直轄国道だけでも17万本。
北海道の面積は全国土の10%。それに比例するとして350万本。
北海道の中で、数式ではじいて、ポイントを選ぶというのは、個人的にはやらない方がいいと思っています。なぜかというと、色んな人、色んな思いが込められていて、それを議論するプロセスが大事になってくるからです。
佐々木:目障りだから排除するというのではなく、ここがもしなかったらいいことがあって、そのいいことが何になるか、何につながるかという三点セットがあって、よりよい街づくりができるのではないでしょうか。それを探していく議論があればいいと思います。室谷さん、いかがですか。
室谷:これからは引き算で考える必要があるのではないでしょうか。私が子供の頃に比べると、かもめ島のあたりが埋められてしまって、幼い頃の原風景が無くなってしまっている。今でも他の場所に比べたら風光明媚なところなので電柱・電線を移設するとよりよい風景になると考えている。
このように、これからは、なんでも造ったり、埋めたりするのではなく、昔ながらの原風景を見直す。引き算の考えをしていかないといけない。
佐々木:ほくでんの奥村さんに。無電柱化が今後も一つの柱になってくるが、電力会社にとって、こういう条件だったら無電柱化しやすいなどの情報やメニューがあったら教えていただけないでしょうか。
奥村:まずは、無電柱化の教育レベルから始めています。どこに箱(トランス)を置くか。などの問題が発生します。具体的に地中化を進める段になったとき、「ガレージの前に箱を置くな」とか、裏道に置こうとすれば「恩恵がないのになぜここに置くのか」などの話になってきます。個人個人によってデリケートな問題が発生してきますので、条件をまとめることは難しいです。特に市街地のレベルでは、街づくりの景観の段階から私達が入っていって、どういったやり方があるか、なんでも地中化とか言うのではなく、裏配線、軒下配線、または、ソフト地中化という方法、街路灯は絶対必要なので、それを利用する方法など、色々な選択肢も含めて、地域・自治体を交えて考えていきたい。国や自治体の方針で無電柱化を進めるなど、大きな観点から無電柱化を進めなければいけないこともあります。
佐々木:本日、ほくでん、寒地土木研究所から電線地中化だけではない多くの方法を教えて下さいました。その方法が一般の方には知られていない状況なので、このことをNPOの方々にご尽力いただいて、世の中に広めていってほしいですね。
無電柱化というと、観光のことだから関心がない、他人事のような感じかと思いますが、景観という問題、これからの街づくりを考えていく上でかなり重要な問題だということが確認できたと思います。
最後にパネラーの皆様、一言ずつお願いします。
奥村:今日の美瑛町・江差町の資料を見て、率直に「街、きれいだ
な」と思いました。私自身、実際に行って、施工にも携わってみての感想も含めての話です。今後は、如何にしてコストを下げていくことができるかを考えていきたい。
室谷:電線地中化されたいにしえ街道、1.1kmの街並みは、とてもきれいになりました。それによって住民の意識が変わり、自発的に街の美化に努めていただくようになりました。江差町は、下町・上町とまだまだ進めるところはあります。これからもほくでんの協力を得て、進めていければと思っています。
浜田:電力は、供給をきちんと守るという社会的な役割を担っていることは十分理解できる。美瑛町のような広い町、多くの道路を抱えている町ですと、メインとなる電柱、ここは単線でいいなど、町が入って協議を進めていきたいが、札幌市などの大都市と違って協議が進みづらい現状がある。結局、それで自前でやらざるを得ないことになる。それでもいいが、これからは、電線の配置について地域と一緒になって地域づくりをやりたい。そういった時に、もっとほくでんに絡んでもらって景観のよい街を進めていきたい。
石田:本当に今日は、来さしていただいてよかったなと思いました。「無電柱化」は、本当に奥が深い気がする。単に電柱がない、電柱が見えないという話だけではなく、地域の皆様の想いをかきたてる。「きれい」というキーワードは素敵な言葉だと思います。
こういうことをどうつなげていくか、先ほどの建議の話でもふれましたが、無電柱化を社会資本にどうつなげていくか。本日、北海道開発局の和泉局長も来ていただいていますが、無電柱化事業が、国土交通行政の中で最重要事項の一つであることが再確認できたと思います。これからは、日本をきれいにする、美化する、それでもって日本を元気にする。その想いで一杯です。そうしないと日本はよくならない。
佐々木:私も、本当にこのディスカッションが始まる前までは思いもよらない視点をいただきました。石田先生の基調講演の中に社会資本概念の拡大というテーマがありましたが、自然環境、道路とか、橋とかいう人間がつくるインフラストラクチャー・ひと・地域のひとが関わってきた気持ちとか、知恵とか、三つ全部が揃わないと社会が回っていかない。社会資本整備がどうしても「もの」にフォーカスしてしまいがちだったところをもう一度もっと広い視点で幅広く議論していかなければならない。しかし、そのことは、とても面倒臭い、難しい作業になってしまいます。今までのようにタテ割りで物事を進めることのほうが楽なんですが、同じ土台の中に様々な議論が入ってくる。どうなるかわからない議論が入ってくる。ただそれに踏み込んでいかないと先が進まない。それを避けてしまっていると地域がどんどん馬鹿になっていってしまう。それが最大の問題で、色々な立場を含めて我慢強く議論を戦わせていかないと駄目になってしまう。無電柱についてそれをやっていけば、その結果、無電柱化すると、はっきり目に見える、誰にでもはっきり効果が見える、その効果はやった人だけでなく、共有財産として子供達にも伝えることができる、そのようなややこしい議論をこれからしていかないといけない。
北海道では、そのような議論ができる土壌だと思います。人と人とのつながりが強い場所なので、是非、これからも議論を進めていただいて、北海道らしいスタイルを築いていただきたいと思います。
協賛企業・機関による展示物の出展 かでるホール1階、展示ホールでの展開
今回、シンポジウムでの初めての試みとして、北海道でご活躍されている企業様・関係機関様のご協力を得て、展示会の設営を致しました(1階・展示ホール)。シンポジウムが開場する前や、合間の休憩時間に、多数の方にご観覧いただきました。今後のシンポジウム会場でも機会をつくらせていただけたらと考えております。
【協賛企業・機関】
国土交通省北海道開発局、HRS株式会社、株式会社アスコ大東、株式会社長栄通建
富安株式会社、パナソニック株式会社、ジオ・サーチ株式会社、日鐵住金溶接工業株式会社、
古河電気工業株式会社、未来工業株式会社、国立研究開発法人土木研究所寒地土木研究所