令和元年台風第 15 号により大島や新島で電柱の倒壊や電線の破断を引き起こしました。生活インフラに大きな影響を及ぼした事により、東京都は島しょ地域での無電柱化の推進が必要との判断がなされました。

  1.「東京都島しょ地域無電柱化整備計画」策定の目的
  2.  島しょ地域の無電柱化の現状と地域特性
  3.島しょ地域における無電柱化の整備方針
  4.無電柱化を推進するための方策
  5. 島しょ地域の整備計画
  6.「電柱のない島」を目指して

 ※その他、調査の概要は、下記のリンクから
https://www.kensetsu.metro.tokyo.lg.jp/content/000056257.pdf

 

1.「東京都島しょ地域無電柱化整備計画」策定の目的

 令和元年台風第 15 号は、島しょ地域において停電や通信障害などの被害を発生させ、島民の生活に大きな影響を与え、大島では緊急的に整備を行った。2021(令和3)年2月に策定した「無電柱化加速化戦略」では、7つの戦略の一つとして、島しょ地域の無電柱化の推進を掲げ、今後激甚化することが予想される台風などの自然災害が発生しても停電・通信障害が発生しない島しょ地域を実現することとした。

 

2.  島しょ地域の無電柱化の現状と地域特性

 八丈島大里地区の都道を「拡幅整備に併せて無電柱化を実施するモデル路線」として選定し、 電線管理者とともに整備手法の検討を行い、2019(令和元)年7月に大里地区の無電柱化事業に着手した。2019(令和元)年9月の令和元年台風第 15 号により島しょ地域で停電・通信障害が発生したことを受け、新たに大島町波浮港地区の都道を「既存道路で無電柱化を実施するモデル路線」として選定。また、台風の強風などにより被害のあった大島町差木地地区(都立大島海洋国際高等学校周辺)の都道を緊急的に整備することとし、同年 10 月にこれら2箇所の無電柱化事業に着手し、2021(令和3)年8月には波浮港地区、同年 10 月には差木地地区の電柱を撤去した。

 

3.島しょ地域における無電柱化の整備方針

 島しょ地域には約 240 ㎞の都道のうち、生活地域や公共施設への電力供給、通信の確保に必要な区間、約 170 ㎞の都道を整備対象とし、防災性向上を早期に実現する観点から、「緊急整備区間」「優先整備区間」「一般整備区間」の3つに分類し、計画的に整備を進めていく。

 災害発生時においても、島民の避難や緊急物資等輸送に必要であり、多くの来島者を惹きつけ、より一層のにぎわいを創出するため、島しょ地域の港・空港のうち、島の玄関口として、定期船が発着する 18 港と5空港を整備対象とし、整備を推進していく。

 2030(令和 12)年度までに、各島の主要な港、12 港と5空港の無電柱化を完了させる。令和元年台風第 15 号による被災状況等を踏まえ、このうち大島元町港や新島空港など4港2空港の無電柱化を 2025(令和7)年度までに完了させる。その他の6港は 2030 年代の整備完了を目指す。

 

4.無電柱化を推進するための方策

①島しょ地域の特性に応じた構造の採用

 特殊部は、電線類の維持管理を行うとともに、電線類を分岐・接続させ電力や通信サービスを各需要家に供給するための構造物である(図4-2、図4-3)。特殊部の間隔については、区部のように需要が多く、引込箇所が多い箇所では一般的に約 30m~40m で設置している。また需要が少なく、供給が少ない箇所では、最大 100m の間隔で設置することが可能である。

  <整備手法>

沿道の需要が低く、収容する電線が少ない箇所曲線が多い箇所

コンクリート舗装の箇所

②施設整備に併せた無電柱化

 

5. 島しょ地域の整備計画

 

6.「電柱のない島」を目指して

 島しょ地域における防災性の向上や良好な景観の創出による観光業の発展など、無電柱化の効果を更に高めていくため、都道や港・空港のみならず町村道等(民有地なども含む。)に設置されている電線類についても地中化を促進し、「電柱のない島」を目指していく。