概要

NPO無電柱ネット・インターン生が企画しました。次世代を担う若者の意見を基に、無電柱化実現に向けた最善策を導き出す討論会を行います!
協力:NPO法人 ドットジェイピー

詳細情報

日時 2020年9月18日(金)10:00~12:00
場所 Zoom→Microsoft TeamsでのWEB会議を検討
協力 NPO法人ドットジェイピー
参加条件 ①参加者を、ディスカッション参加(論者)とゲスト参加(ゲスト)で募ります。
→下記の申し込みフォームよりお願いします。
→論者5名~8名 ゲスト10名程度
※申し込み締め切りは8月31日(月)。定員に達し次第締め切らせていただきます。
→定員に達しておりますが、若干名の参加でしたら9/15(火)まで可。
②ディスカッション参加者(論者)は事前に勉強会を2回行います。
・9月7日(月)10:00~11:00(1時間程度)すでに終了致しました。
MicrosoftTeamsで会議←こちらから招待メールを送ります。
司会者が無電柱化についてパワーポイントで説明します。
技術・規制・宣伝からの問題提起を公表、それについての説明を行います。
→論者はその問題提起について、それぞれ意見が言えるように努めます。
その他、注意事項などを説明・確認します。
・9月14日(月)10:00~11:00(1時間程度)
MicrosoftTeamsで会議←こちらから招待を送ります。
9月7日の事前打ち合わせの問題提起をもとに、本番を想定した予行演習を行います。
予行演習の終了後、問題点などを確認します。
・9月18日(金)10:00~12:00(本番・2時間程度)
本番開始5分前までには、入室を済ませてください。
③ゲストは、カメラをオフ、ミュートで参加していただき、意見はチャットで募ります。
④ディスカッション参加者は大学生限定、ゲスト参加はどなたでも参加可能です。学生の参加も大歓迎。

当日のタイムテーブル

9:50~10:00 入室
10:00~10:05 始まりの言葉・確認事項の連絡・自己紹介
10:05~10:15 無電柱化の説明
10:15~10:20 論点の確認
10:20~11:00 無電柱化「賛否」の議論
11:00~11:05 休憩
11:05~11:25 無電柱化「広報」の議論
11:25~11:45 フリートーク
11:45~11:55 NPO無電柱ネット関係者による批評
11:50~12:00 終わりの言葉 (NPO無電柱ネット理事兼事務局長 井上利一)

 

結果報告

討論会を企画した経緯

討論会開催のきっかけは、事務局の塚田さんからの「討論会を企画してみないか」という提案でした。この言葉を受けて、ただSNSで広報活動を行ったり、動画サイトで活動内容を配信したりするよりも、実際に話し合いの場を提供して議論を行う方が無電柱化を深く考える機会が生まれるだろうと考え、開催に向けて準備を始めました。

➢事務局から:まず、学生に「無電柱化」ということばが浸透していない。訴求するにはどうすればよいかを検討してもらった。「無電柱化」の知識を習得し、かつ解決法についてみんなで考えられる学生主体の企画として、討論会の企画が浮上した。

初めは、無電柱化の技術・規制などの少し専門的な部分について数名のインターン生とともにディベート形式で意見を述べ合うことを想定していましたが、参加人数が予想を上回ったことと論点の話しやすさについて再考した結果、本番では、
・無電柱化の是非
・無電柱化の効果的な広報
という論点について、自由討論形式でディスカッションを行うことになりました。
さらに論者・ゲストという二つの参加形態を設けることも決定しました。(この変更理由については次章で詳しく述べます。)

ここで本番に至るまでの経緯を説明すると、
①初めに塚田さんとの話し合いで企画の開催を決定
②インターン生との内容に関する協議(3回)
③参加者の募集
④参加者との事前研修(勉強会と称して2回)
これらを経た後、本番を迎えたという流れです。

このうちインターン生との協議ではどのような論点・目的を設ければ議論が活発になるかを話し合い、無電柱化に対して一概に賛成・反対はできないということと、本番での議論が無電柱化の現状確認にならないように個人の意見を聞き出す必要があることを確認しました。

そして続く参加者との事前研修(勉強会)では、円滑に議論を展開するために無電柱化に関する知識と各参加者が抱く無電柱化に対する意見を共有しました。

企画の立ち上げから本番の振り返りまではおよそ2ヶ月を要しましたが、本格的な部分(インターン生との協議から本番の実行まで)は約3週間と短い期間で行うことができ、これは現実的に計画することができていた証であるため、私自身会議の企画を通して計画性を身につけられたと実感しています。

事務局から:限られた期間中での目標設定・予定となりましたが、その中でも改善できるところやゲストへの意見は、積極的に取り入れていこうと二人で話しあった。
彼とは、リモートでのやりとりながら、30分程度の会議を10回、事前の予行練習2回、参加者を集めての勉強会2回の計14回を重ね、練っていった。勉強会は、討論をする論者の知識を深めてもらうことを意図しながらも、NPO関係者や社会人のゲストのかたにも意見をいただき、軌道修正していった。

無電柱化を考えること

ここからは会議の形式と内容を変更した理由について述べます。第一に形式を変更した理由は、無電柱化に関する議論はディベートに適していないと判断したことです。

そもそもディベートでは、ある議題に対して賛成と反対の意見を持つ者が互いに意見を述べ合い、最終的には妥協案に達する必要があります。今回のディスカッションを振り返ると、たしかに賛成と反対の二つの立場を設けて議論を展開しましたが、妥協案は導いていません。すなわち、(これは私が無電柱化を学んで知ったことですが)無電柱化に関する議論は白黒をはっきり付けるものでも、妥協案を導き出すものでもありません。なぜなら無電柱化に対して一意的に賛成・反対と決めることができない上に、その妥協案を導くとなれば無電柱化そのものを考える意義が失われるからです。

仮にディベートを行って妥協案を導くとなれば、「幹線道路では無電柱化を実行し、そうでない道路は現段階では行わなければ良い」という結論がなされると思います。しかし、この案は無電柱化の現状を表す決まり文句にすぎず、議論の確信を突くものではありません。そのため、それぞれの考えを表明し、それを共有するために今回の形式をディスカッションに変更したのです。

次に、論点について説明します。先述の通り、内容は当初想定していたものよりも抽象的かつ非専門的なものに変更しました。この理由は無電柱化の現状を鑑みたことにあります。もちろん、詳細なデータが不足していたために具体的な議論ができなかったということもひとつの要因ですが、最も大きな要因は無電柱化が社会に浸透していない現状にあります。私は会議を企画して自分が無電柱化について何も知らなかったことに気づきましたが、同時に無電柱化は排他的になっているのではないかという懸念も抱くようになりました。

例えば、環境汚染や少子高齢化という議題は専門家に限らず一般の人々にも認識されていますが、無電柱化はそれに関わる者(すなわち専門家)が議論をするだけで、我々一般人が日常生活でその言葉を耳にする機会はほとんどありません。

私はこの原因は無電柱化に関わる者が実現可能性に基づいた専門的な知見・データに固執しているがゆえに、一般人がその議論の場に受け入れられていないことにあると考えています。そのため、今回の議論ではより多くのシンプルな意見を取り入れたいと思い、「無電柱化の是非と広報」という誰もが意見を述べられる議題に設定しました。

事務局から:この件に関しては、討論会を進めていくうちに、二人ともほんとに悩みました。やはり討論会の中で核となることは論点(話しをするテーマ)だし、彼も相当悩んだと思います。
「無電柱化」に興味があるからインターンにきているのだろうとか、討論会に参加するからには無電柱化の知識をもっと深めてからやればというのであれば、今回の討論会まで行うのは現時点では難しいでしょう。
それほど「無電柱化」という言葉は学生レベルでは浸透していません!
途中のテーマをかえたのも、ゲストで参加いただいたNPO関係者や一般のかたの意見、学生に向けての資料作成を彼がしてくれた時に、「この表現だと誤解を招くかも」と私(塚田)のほうでやりとりなどした結果、細かな無電柱化の知識について話しても誤った見解での議論となり、脱線してしまう恐れがあると感じたからだと思います。
専門家ですら、はっきりしたエビデンスをなかなか表明できていない中、どちらにベクトルを向けて進めばよいかを模索したことは、彼にとってはいい経験になったと思います。

本番の振り返りと課題解決策

ここからは本番を振り返り、その反省点について述べます。まず、今回のディスカッションで私が特に成し遂げられたと感じていることですが、それは学生と専門家の交流の場を確立できたことです。

繰り返しになりますが、社会課題であるにもかかわらずそのフィールドを拡げられていない無電柱化について実際に学生が話し合ったことで、新たに専門家-学生間の架け橋を形成することができたと私は考えています。この架け橋の先駆けとなったという点で私の企画は有意義であったと思いますが、さらに世の中の無電柱化に対する関心を高めるには外部の社会人との架け橋をつなぐ必要があると考えています。

一方、改善すべき点はその規模と内容にあります。規模については、今回は20名弱で開催しましたが、今後第2回、第3回と繰り返していく中で30名、40名と徐々に規模を拡げることが大切だと考えています。規模を拡大しなければその行事の影響力を増すことができないからです。しかし、今夏立ち上げたばかりの学生会議を引き続き数回繰り返すだけでその規模が飛躍的に拡大するとは見込めません。したがって拡大以前に継続して開催すること、そしてその質を高めることが前提として大切になるのではないでしょうか。

内容に関しては、(無電柱化の実体や現行の計画など)より詳細なデータを基に議論することができれば良かったと考えています。ただし、この議論に具体性を持たせる上では二つの問題点があります。

ひとつは「データが不足していること」、

もうひとつは「会議がオープンでなければならないこと」です。

前者は私が企画を立ち上げる際に痛感したポイントで、インターネットやパンフレットから無電柱化の情報を得ようとしてもあまり多くの情報が得られない上に、それらは信憑性に欠けていることが多々あります。そこで、今後会議を開催していく中でインターン生の方にはデータベースの作成にも取り組んでいただきたいと思います。

個人が一定期間で収集できる情報量は限られているため、情報を蓄積することで少しでも多くのデータを議論に持ち込めるのではないでしょうか。

次に二つ目の問題点について、会議の一部始終が具体的でありすぎると会議自体が内輪的なものになり、結果として無電柱化の現状に留まることになるでしょう。そうなれば専門家-学生間の架け橋も崩落し、会議の規模の拡大も実現できなくなるかもしれません。このような事態を招かないためにも、限定的な論点は設定しないことを勧めます。(この点では、今回の論点は評価できるはずです。)

すなわち、会議をより有意義なものにするには、同時に無電柱化の概念を世の中に広める必要があり、そのためにも「無電柱化は誰もが気軽に考えられるものである」ことを前提に議論しなければならないのです。

事務局から:当NPOの事務局では、インターン生に、常々、企画の立案(検討)・運営・実行までが終わりではなく、検証(振り返り)が大事であると。振り返りによって、気付きが生まれる。その気付きによって、次の企画や次回の討論会へと続くかと思います。
彼には今回の討論会のタイトルに「第1回」とつけるように提案した。彼がそれを踏まえた上で、討論会を実行し、その後、検証し、宿題を出してくれたことに感謝します。

企画(インターンシップ)を通して

私が企画を通して学んだことは情報を収集して公平な倫理観を持つことの大切さです。例えば一般の人々が初めて無電柱化という言葉を聞くと肯定派に立つでしょう。実際に私もそのひとりでした。しかし、(これは今回の会議を通して学んだことですが)実際には技術面や経済面の実現不可能性から無電柱化は進んでおらず、私を含め多くの人々がその現実を把握していないからこそ無電柱化が社会課題として認識されていません。すなわち我々は情報を収集してその領域での倫理観を養うことで「何が問題なのか」を学ばなければならないのです。

ただし、再三繰り返しているように無電柱化は専門領域から抜け出せていない現状にあり、この問題を解決するには専門家の方々も外部(一般人)の意見を取り入れ、実現可能性という保守的な考え方だけではなく、「これだったらできるのではないか」という革新的な考え方を持たなければならないのではないでしょうか。

すなわち、無電柱化を解決するには一般人も専門家も双方の意見を知った上で無電柱化を捉えなければならないと私は考えています。

事務局から:今回のこの討論会に関して、企画した彼が「無電柱化」という問題に真摯に取り組み、色々な思いをもって進めていたかがわかる内容だったと思います。
無電柱化はやるほうがいいと分かっているが、それが浸透しない、他の先進国と大きく差をあけられている。
なぜなのか?
それはまだまだ国民への理解が進んでいないからだと感じます。
当NPOとしての役割の重要性を改めて気づかされた。当NPOホームページの役割も重要だ。
今回の運営に際して、リモートで行ったことにより様々な経験を得ることができた。
①場所を得られずに参加していただくことができた。今回は、大阪本部でのインターン企画だったが、関東の学生さんも多数参加していただくことができた。その幅を全国に広めたい。
②本番だけではなく、2回の勉強会をリモートで運営することができた。
③社会人のかたやNPOの関係者にも参加していただき、色々アドバイスをいただいた。
大学生と社会人が混じっての企画は、なかなか今まで思いつかなかったので、今後も討論会や他の企画も考えていきたい。
※社会人の皆様、学生の討論会では、温かいアドバイスやご意見をいただきありがとうございました(下は今回の討論会のポスター)。

彼の原稿で一つ何かが無いことに気付かれましたか…。実は、最終的にもらった原稿の内容に、肝心の議論そのものの内容がなかったのです。このあと、参加していた論者(ディスカッション参加者)とゲスト、NPO関係者の言葉をご紹介させて頂きます。彼の討論会運営に対する気持ちを汲んでいただけたらと思います。

無電柱化を考える学生WEB討論会で寄せられた意見・感想

▶討論会の本番前の勉強会等であげられた意見

◎無電柱化の賛否

反対派の意見

・コストがかかる。無電柱化に予算を使うのであれば、他に大事なことがあるのでは。福祉の予算など喫緊の課題や、国民総意の課題を優先すべき。

・防災のためにするとしても、費用が莫大。災害が起こったときにその都度、復旧するほうが、費用がかからないのではないか。

・将来的に電柱の耐用年数が切れたり、低コスト技術が更に進んで、普及して、低コストが進めば、無電柱化したらいい。いまは時期尚早。

△賛成派の意見

・社会をよくするために経済を回す、経済循環によって、国が豊かになる。新しい市場を生み出す。

・景観などは国民にとって利益が見えづらいが、心の豊かさを生む。

・トータルで考えると賛成。電柱、狭い道路では邪魔。自動車・自転車・歩行者の危険を招く。

・無電柱化は災害に強い。地震・台風などの災害が怖い。地域によっては、何度も災害に会っている。なぜ建てるのか?

・将来を見据えた都市設計をする場合、AIを進めるには、電柱がないほうがいい。

・トヨタが広報しているスマートシティ(裾野市)では電柱がない。具体的な将来の無電柱化のないモデルパターンをうまく使ってはどうか。

→https://www.youtube.com/watch?v=jh7FHx8M3G0

★ゲストの意見

〇賛成派のかたへ

・無電柱化は本当に災害に強いのか?

→前提条件を覆して考えてみてほしい。近年の災害は、風や地震だけでなく、洪水も発生する。無電柱化で使用されている地上機器は1m浸かると使えなくなる。本当に大丈夫か?

・心のゆとりの数値化。無電柱化した際の効果の数値化

→観光地の無電柱化で集客UPなど、数字でエビデンスを

〇反対派のかたへ

・「コストがかかりすぎる」を掘り下げて考える。

1kmあたり5.3億円かかるという。防災を考えて無電柱化していくには、費用がかかりすぎるとあるが、コストの代償に人の命を含めた場合を考えてほしい。

・コストがかかるという意見に対して、諸外国では、日本ほどコストをかけずに無電柱化を進めている。その点も踏まえて検討してほしい。

◎無電柱化の広報の仕方を考える

・総務省の統計では、インターネットの利用時間数がかなり増えている。ユーチューブの発信は有効ではないか。トヨタのユーチューブ動画など影響力のあるところと結びつける工夫をする。

・テレビも捨てがたい。お年寄りはテレビ。

・「レジ袋賛成が6割!」など、数字の裏付けで、世論を味方につける。

・SNSからの発信は、時間がかかる。国からの広報、国が発信。

→電力会社が発信するのが一番影響力が大きいが。

・SNSからインフルエンサーを生み出す。

・子供のときから意識させる。教科書に載せることがいいのでは。

・精巧なシミュレーション画像を作成して、AR・VRで災害・電柱倒壊の危険性を啓蒙する。

・成功体験の街をつくる(試験的につくれないか)。

・メディア戦略も時期を考える。社会問題化される時期をみて、電柱の老朽化の時期など、JRの脱線事故やブロック塀の女子児童の死亡など社会問題化された時、一気に世論が動く時がある。

・地道な啓蒙。出張授業を行っていく。

★ゲストの意見

・レジ袋の有料化に関連して、昔起こったタバコの禁煙運動の歴史などを調べてもらってもいいかもしれない。私の若いころは、いつでもどこでもタバコを吸っていたり、ポイ捨てしたりしていた。テレビドラマでも喫煙シーンは普通だった。他の反対活動の歴史を調べてみるのもいいかも。

・無電柱化のモデル都市についての回答

→国や自治体がモデル都市をつくる計画を立てるのは、難しい。それだけの予算・財源はない。

→国交省の現状は、無電柱化推進の広報をしながら、年間7万本増えている電柱を止めさせることがスタンダード。

▶討論会の本番前の勉強会等であげられた意見

◎無電柱化の賛否

反対派の意見

・事前の勉強会とさほど変わらなかった。

・コストがかかる。低コスト化がはかれる状況が確立されるまで待ってはどうか。

・社会保障に多くの予算がかかる中、上のような状況では優先順位として低いのでは。

・災害に強いと言えども、完全に解消される訳ではない。

・地下に埋設してしまうと、修復に時間がかかるのではないか。

・道路幅の確保により、交通事故や死亡事故が回避されるとの意見だが、電柱により、速度が緩和される面もあるのでは(道路幅が広がることで速度を上げ、事故が増える可能性がある)。

△賛成派の意見

・事前の勉強会から加わった意見をあげる。

・芦屋市の六麓荘など、無電柱化=価値が高いというブランド力をアピールしては。

・災害が起こった時の人命を優先させるには、無電柱化が一番。

・災害での被害や土地の価値化を数値化して、説得力を増すようにする。

◎無電柱化の広報の仕方を

・SNSが有効では。インスタグラムが影響力ある。

・オンラインでパブリックコメントや署名を求めることもできる。若者からの意見を聞く。

・無電柱化の魅力発信が各所にまだまだ分かってもらえていない。

自治体では、人口減少に向けた魅力ある都市づくり、ブランド力をつけるため無電柱化を活用する。地価UP、交通渋滞緩和、安全安心な街づくり、良好な景観、観光客を増やす、外国人にアピールできるなど

・電柱のない街並みに見慣れている外国人にアンケートをとり、その結果を公表する。

・無電柱化のない街づくりをデベロッパーと考える。例えば6億円が安く感じる価値観!

・電線管理者に景観に配慮を自覚してもらう。

・そもそも2016年の無電柱化を推進する法律が成立して、無電柱化を進めることになっているので、国や自治体、電線管理者は、それに向けた努力をするできである。

▶討論会後の感想・意見

◎川上 秀弥 君(論者で参加。学生)

「無電柱化」この言葉を見たときに文字通りを無くすことだろうなとは思ったものの、どの程度無電柱化が行われているのか、どのように無電柱化を行うかなどは見当もつきませんでした。

今回、討論会に参加する過程で無電柱化についての前提知識を学び、学んだうえでどうやったら無電柱化を広めることが出来るかについて検討、討論することで無電柱化について理解を深めることが出来たと思います。

素人目線の意見と専門家目線の意見を交えて討論することで、同じ視点から見ていても自分では思いつかなかった考えや専門家視点からの現実的な意見を聞くことで視野を広げることが出来たと思います。また機会があれば参加したいと思います。

◎北村 良 理事(東京支部)

学生さんたちによる討論があった。「無電柱化を進めるべきか、否か?」賛成、反対の二手に分かれて行うこの討論のシミュレーションは、思索を深めていくには、有効な手法なのだろう。学生さん達は真摯に討論を進めていった。

だが、私は聞いているうちに、次第に辛くなり、最後の方は息苦しささえ感じるようになっていた。「一体、自分の息子よりも若いこの人たちに、なんで今更、こんなテーマで議論をさせなければならないんだ?」会議の企画を批判しているのではない。日本は、今よりずっと経済的にも恵まれた時期を過ごしてきながら、一体、何をしていたんだろう?と思ったのだ。今さらながらに、恥ずかしく、彼らに申し訳ない気持ちがいっぱいだった。

およそ昨今のアジアの主要都市の無電柱化のスピードを見ても、少し国が豊かになれば、電線の地中化など、進めるのが普通の感覚なのだろうと思う。翻って、この国には、電線や電柱にしがみ付いてでも、それを維持したい人達が居るとしか思えない。国が豊かになろうが、台風が来ようが、地震が来ようが、国民が何を思おうが、安全を蔑ろにし、景観を蹂躙し続け、反省すらしない人達が居る。この人達には、考え方を改めて貰わなければならない。

でなければ、私は、無責任にも、学生さん達の世代に、今と同じ日本の景色を引き継ぐことになってしまう。彼らが将来、再び同じようなテーマで、議論する事がないようにしなくてはならない、と強く思った会議であった。

◎髙山 登 支部長(東京支部)

進行役の学生さんと、無電柱化賛成論者、反対論者で企画された今回の討論会、ビックリしました。学生さんの討論会とは思えない印象でした。無電柱化の全般的な問題点や技術も把握され、よくここまで企画されたものだと大変感心しました。

一方、どこかの町が無電柱化を推進したいと説明会を開いた所、賛成派反対派のそれぞれの意見が出された、そんな会場のやりとりのような印象でした。非常に現実的な議論で進められました。

その中で以下のような意見が印象的でした。「素直に賛成できない。1km5億数千万円かかるような工事よりも、介護や福祉関係を優先して取り組むべきだと」。このご意見は、全国の自治体において一般論としては、当然であると思います。他方、無電柱化して魅力のある商店街や観光地に再生して集客をはかり、町の活性化をはかりたいなど切実なニーズも多くあります。

私個人的には、素直な討論を期待しておりました。当NPOが抱えている問題点を、学生さんにも同様に検討をお願いしているように見えました。

次回には一般論やお仕着せでなく、次のような具体的なケースでの議論を期待しております。

「何のために、どのような所を無電柱化したいのか、またその推進方法は」