民間低コスト技術の実績調査報告 導入に向けた検証方法と課題について

日時:2023.3/30(木)  13:00~15:00
場所:WEB 開催
参加者:民間 SWG 主査・委員 5名
低コスト推進 WG 参加者 8名
オブザーブ参加者 23 名
◎国土交通省ホームページ掲載、「道路の無電柱化低コスト手法導入の手引き(案) -ver.2-」
https://www.mlit.go.jp/road/road/traffic/chicyuka/pdf/tebiki-ver2.pdf
◎民間低コスト技術の実績調査報告
・平成 30 年応募技術 15 件
・平成 31 年応募技術 8件
・令和 4年応募技術 5件
〇〇〇〇〇合計 28 件

◎民間 SWG、これまでの経緯と今後の予定

今回発表された各製品、個別の発表
※アカ文字は追加説明、当日発表時に質疑応答があったもの。

NO-1  区分-電線  名称-アルミ導体ケーブル、らくらくケーブル

会社名-古河電気工業株式会社
製品概要
電源設備から電灯・動力などの負荷機器へ電力供給するため 600V 以下の回路に使用できる低圧電力ケーブル。無電柱化事業では低圧幹線及び低圧引込線に適用できます。
従来品より➀30~50%の軽量化②3倍の柔軟性③25%の省人化による施工性向上
採用実績:国交省と電力会社の合意が得られていない。
国交省の赤本「国土交通省土木工事標準積算基準書」、NETIS(新技術情報提供システム)登録済。
働き方改革に貢献。無電柱化施工には実績ないが、360 件くらいの採用あり。
専用工具を使わないといけない。接続部品の開発を進めている。低圧線専用である。
JCMS(日本電線工業会規格)に則り、製造しているため、銅のケーブルと耐用年数等は基本的に同等。
電力会社の仕様と合致していない面について
送配電網・穴見氏:銅線か銅線の仕様以上のものである検証が必要。銅線よりも太くなってしまう。
SFCC・木村氏:曲げやすくなっている。銅とアルミの接続について、実証実験を重ねていきたい。 

NO-2 区分-管材  名称-角型 FEP 管、角型TAC レックス
会社名-東拓工業株式会社
製品概要
・円管に比べ断面縮小、段積可能、管台不要
・フレキシブル性で曲管不要
・省スペース配管で掘削/埋戻し量削減
・各地域向け専用部材で作業時間短縮
・従来品の塩ビ管材より材料費を抑制
採用実績:10 件以上
曲線管理に課題があるが、曲げ確認ゲージの活用や、製品本体に曲線管理用のマークを刻印するなど、課題解決に向け取り組み中。
通信事業者様からの要望があったら是非受けたい。
規制緩和によって販路を広げられないか。NTT 様の規定で、管路材の要求に違いがある。各整備局でOKもあれば、OK できないところもある。
NTT インフラ・山本氏:ボディ管。現在の構造では、今の管路の方が安くなりそう。管路接合部分に課題が残る。

NO-5 区分-管材 名称-低コスト電力管、ECVP 管会社名-株式会社クボタケミックス

製品概要
浅層埋設に準拠
新たに開発された低コストの硬質塩化ビニール製電力ケーブル保護管。同等の強度/性能/施工性
従来品の塩ビ製管路材より材料費8~12%コスト低減
採用実績:10 件以上
CCVP→ECVP への切り替えがスムーズにしていけたらコスト低減率 35%(材料比)。性能は同等で価格は安い。施工パッケージ方式による積算において施工の実態調査をしてほしい。
ECVP は関東地方を中心に比率が上がっている。
他の整備局で使われていないのは地方整備局のマニュアルに ECVP 管が載っていない。
井上主査:今後、整備局のマニュアルが統一されていく予定なので需要は増していくでしょう。

NO-10  区分-小型ボックス  名称-狭小空間対応 小型ボックスS・D・BOX

会社名-株式会社イトーヨーギョー
製品概要
狭小スペースで電線を収納できる小型ボックス。
・鉄蓋へ変更し点検口として活用可能
・曲線対応可能(5R)
・連続ノックアウトで任意引込可能
管路埋設方式の比較で SVP 管9条との比較で材料費30%工事費 57%コスト低減
採用実績:7件(うち国・自治体3件)
小型 BOX に加えて部材が増えており、コスト増になっている。MAX の仕様に合わせると結構費用がかかり、最終的にはボツになるケースがある。
NTT インフラ・山本氏:実績、どの場所で採用させているのか。
イトーヨーギョー・井上氏:睦沢町、大阪4件、清瀬市、鳥取、先斗町、電線共同溝3件など。
NTT インフラ・山本氏:ノウハウ・スキルがない。具体的な資料があると採用に結び付けやすい。←井上氏より資料提供

NO-26  区分-小型ボックス  名称-小型ボックス「管路ボックス」
会社名-松岡コンクリ―ト工業株式会社
製品概要
容易に開けられない2重セキュリティロック構造で、歩道一般部、T-6 乗入、T-25 乗入、車道用と設置場所に応じた4種類の電線共同溝小型ボックス。従来の管路埋設方式との比較で、材料費は9%、工事費は 65%低減。
採用実績:2 件
事業者側が行う既設側溝の管路への流用は事業者の責任で行うため、ノックアウト部が無くても問題視されないが、新設の小型ボックスにおけるノックアウト部は必須条件と考えた方がよい。

NO-12  区分-特殊部  名称-特殊部・低コスト鋳鉄蓋
会社名-虹技株式会社(CRC 蓋工業会)
製品概要
電線共同溝に適用する蓋枠を一体加工したユニット型鋳鉄蓋で歩道部への設置に限定
・蓋枠一体成型で組立費削減
・蓋重量の軽量化
・表面積の縮小
従来の特殊部Ⅰ型蓋 1200✕3000 用材料費 14%、特殊部Ⅱ型蓋 900✕3000 地上機器1基用材料費 40%コスト縮減
採用実績:10 件以上(H30~R4合計 34 件)
通線作業がやりづらいのではとの予想だったが、問題なかった。電線管理者サイド
開口の蓋はサイズが小さくなっている。
開け閉めが軽くなった。金蓋のトータルの重さはかわらない。

NO-17  区分-管材  名称-繊維さや管ラップダクト共用 FA 方式
会社名-ミリケンジャパン合同会社(繊維さや管ラップダクト研究会)
製品概要
FA 共用方式のボディ管の塩ビ製さや管を繊維状のダクトに替えることで、ボディ管をΦ250 からΦ150 と小型化。施工はカメラ搭載牽引車を使用して多条数一括牽引工法を開発。
100m試験施工では、管路 14 条を約 200 分で牽引・敷設。管内を小型カメラで撮影し、繊維ダクトの撚れがないか監視し、可視化した施工を実現。従来品との比較で材工で 42%低減。
採用実績:情報 BOX 実績3件以上
情報 BOX3件+5~6件
情報 BOX は、国交省の事業
電線共同溝ではなかなか採用に結びつかない。→塩ビ管が根強い

NO-13  区分-管路・ケーブル防護  名称-多機能防護板 ラップバッファー
会社名-福西鋳物株式会社
製品概要
電線共同溝等の浅層埋設区間における埋設管路及びケーブルの破損や切断事故を防ぐ防護板
・人力作業が可能な重量
・鉄製品より切断抵抗を向上
・鍵形状、継ぎ目のない接続・表面積の縮小
従来の SS400 鉄板との比較で材料費 25%工事費コスト98%縮減。
採用実績:3件。下水道、ガス工事では実績多数有り。
国総研の事例集に掲載されている。
37 件。国交省5件、自治体 14 件、電力会社 14 件、民間4件。鉄板より軽いが、値段が高い。通常の鉄板より切れづらい。

NO-15  区分-3D地中探査  名称-地上・地下インフラ3Dマップ


会社名-ジオ・サーチ株式会社
製品概要
多配列地中レーダを使用し地下埋設物の位置情報を3次元で取得する。このデータと3Dレーザーで計測した地上情報とを結合することで、地下埋設物の位置を正確に可視化する技術
・埋設線を3次元で把握
・輻輳、線形変化を特定可能
・掘削前に埋設干渉確認可能
従来の地上・地下調査費比較 27%コスト削減、4000m2の調査時間比で 43%の時短。
採用実績:10 件以上。H30~R4 合計 39 件
39 件→58 件 国交省案件中心
NETIS 番号: KT-180111-VE※「VE」は、5 件以上の活用効果調査実績がある技術に対し付与される。
課題
・誤差がある←非破壊調査、電磁波の特性からレーザーの誤差が生じる。
・点群データ→膨大な容量
・人による解析が必要→省人化へ向けた研究開発中。
・3D マップ→正確性にこだわっている。
・無電柱化(電線共同溝事業)の学術論文が少ない。

その他の課題・提案・意見
・採用には、実績・検証・実証が不可欠だが、検証方法をどうすればいいか。
・新技術に関する審査をしていただける場を設けてほしい。
※今後も他の SWG 担当者との意見交換を進めて課題の克服を検討していければ。
国総研・大城様より
・各地整のマニュアルに載せることが一番大きい。
・他の地整が使っている実績があるのなら横展開して、実績を広げていくべき。
・電力 10 社のどこかで使われると、水平展開していくようにすることができるはず。積み重ねが大事。
・NETIS の活用 道路管理者だけでなく、電線管理者も含めた活用を推奨したい。
→メーカーが検査して実証結果を載せてお墨付きしているものが NETIS で必ずしも採用に結び付けられるかは疑問である。
井上主査・小方委員
よかれと思って実績を紹介しても採用に結びつかない。何をもって実績に結び付けられるか。令和5年度の民間 SWG は 5 月から始めたい。
無電柱化推進技術検討会に合わせて、2 か月に1回開催予定。
メーカーさんに積極的に参加してほしい。課題や情報を発信して吸い上げていきたい。

NPO 法人電線のない街づくり支援ネットワークでは、民間から広く無電柱化推進に寄与する低コスト技術(製品・工法等)を募集し、その結果を民間 SWG へ報告します。
応募された技術は、民間 SWG メンバーによる技術評価を受けたのち、他の SWG からも技術評価を受け、低コストに寄与すると判断されたものは、今後発行を予定している手引き等へ掲載し、広く普及活用を図ります。NPO の HP で詳細な応募を行っています。5/19(金)17 時が第1回目の応募締切です。

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