ポートアイランドから三ノ宮方面をのぞむ(提供:神戸市)

阪神・淡路大震災の発生から今年で30年が経ちます。
関西のテレビ局では、阪神・淡路大震災に関連する様々な番組を放送しています。
そこで、私自身、印象に残ったものを、紹介させていただけたらと思います。

当時の振り返りとその後の状況(想定外による情報の混乱)

2025.1.13に関西放送で放送された、震災直後のときの地震速報の映像

地震発生当時、現在のような通信状況が整っておらず、想定外の被害によって通信機能が断絶し、正確な情報を把握することができませんでした。
発生直後の5時50分ごろのニュースでは、震源地の淡路島や神戸市の具体的な震度は発表されなかった。
その後、神戸市の震度が6と発表された。※
【関西テレビ・めざましテレビの1995年1月17日(地震発生当時)放送より】
「きょう5時46分ごろ東海から近畿にかけて地震がありました。京都・彦根・豊岡で震度5、岐阜・名古屋・四日市などで震度4を記録しております!」

今は、携帯電話やネット、衛星を使った通信手段が普及・整備され、30年前とは格段に通信網が発達・整備されていますが、当時は、主要な通信回線が切れるとそこで手段が断ち切られてました。
現在でも、大規模な地震が発生すれば、一般家庭では、電気や通信が途絶えることは多々ありますね。
私自身、京都に住んでいますが、実家は神戸(北区で被害は比較的少なかった)にあったので、電話して無事かどうかの確認をとりたかったのですが、電話が全然つながらず、ダメ元で公衆電話でかけてみたらつながったということもありました(家庭回線からはしばらくつながらなかった記憶があります)。
神戸海洋気象台では、地震直後、震度6であることを把握し、本庁(気象庁)に伝えたつもりでいたそうですが、伝わっておらず、先ほどのニュースのような状況になってしまったそうです。
※1月15日に放送された毎日放送の番組では、30分後の6:20に神戸市が震度6と放送されたと伝えています。

当時の振り返りとその後の状況(脆弱だった当時の地震観測)

当時の地震観測の体制は、震度観測点が300しかなかったとのことです。
近畿では数カ所しかなく、後に震度7の揺れがあったと判明する西宮市や宝塚市では、観測点自体がそもそもなかったそうです。
しかも大阪は、地盤の固い観測点1箇所しか設置されていなかった。
現在は、全国で4300カ所まで増えているそうです。
当時の300カ所から4300カ所に飛躍的に増えた要因は、全国の自治体の役所で設置されたことと、つくば市にある防災科学技術研究所の存在があります。
当研究所では、現在、全国にある2100カ所ある観測点から地震データが1秒ごとに送られてくるように体制づくられています。
当研究所の青井センター長の話によると、「(今なら)2,3分で(観測点で)観測している地震の大きさが把握できる」とのことです。
また、大阪管区気象台の話によると、現在の地震計は、「レーザー式」で、2台体制。回線に不具合が発生しても衛星回線を使って情報を送れるようになっているそうです。

当時の振り返りとその後の状況(大規模火災に備えての水道インフラ整備)

1995.1.17 阪神・淡路大震災 長田区火災(提供:神戸市)

震災当時の映像で記憶に新しいのは、長田区を中心に発生した大規模な火災である。
その時、街ではどのような状況だったのか?
地震発生当時、市内では、1757カ所もの配水管が破損し、至る所で漏水し、水が送れない状況だった。
本来、水道管が破裂すると、水圧で水が噴水のように吹き上がるが、破損個所があまりにも多いため、水圧がかかるほどの水流が無かったようだ。
この地震が予想を超える被害であることを想定できず、水が噴き出ていないことで、意外と被害が少ないのではと思ったそうです。
また上流から送水する配水も山側から供給していたため、枯渇している被災地に十分な水を供給・送水することができず、また優先して消化活動や医療現場に水を送っても(当然住民は後回しにせざるを得ない)、現場の消火栓から火災現場に向かって放水する水の勢いがない状態に陥ってしまったとのことでした。
この教訓をもとに、神戸市では、強靭な水道管、曲がりやすく工夫された菅、山側からの供給ではなく市街地から水が供給できる大規模な送水施設を20年の歳月をかけて建設しています。
KOBE WATER LABO:水道としんさい

神戸市水道局HP「KOBE WATER LABO:水道としんさい」で紹介されている「大容量送水管」の説明

安心安全の確保のために、インフラ整備の強化を

地震対策には、水道管のようなインフラ設備をしっかり整えることが重要です。
水道管とともに大規模な停電の原因となる電柱・電線の撤去、いわゆる無電柱化も着実に整備していきたいところです。
電線類の地中化は、主に配管の中にそれぞれのケーブルを引き込んで送る仕組みをとっています。
水道管のような液体ではなく、またガス管のような気体でもありません。
いわゆる固体です。
(素人考えで恐縮ですが)インフラ設備としては、スペースさえ確保できれば不可能ではないはずです。
低コストでかつスピードを上げて進めていけば無電柱化は更に広がっていくと感じています。

阪神・淡路大震災やその後発生した大規模な地震の教訓を今後も活かして、みんなで住みやすい街にしていきましょう!

阪神淡路大震災と無電柱化に関するアンケート~神戸市~(2018年1月11日)

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