◆主 催◆
NPO法人電線のない街づくり支援ネットワーク
一般財団法人日本みち研究所
無電柱化を推進する市区町村長の会
◆後 援◆
国土交通省
NPO法人「日本で最も美しい村」連合
※本セミナーは、無電柱化を推進する市区町村長の会 令和7年度第2回勉強会を兼ねて実施。

日 時:11月11日(火)15:00~17:10
場 所:一般財団法人 日本みち研究所 分室
参加者(申込分):WEB 30名、会場14名

当日のスケジュール
1.主催者挨拶  当NPO東京支部支部長 伊津元博
2.「デンマークの無電柱化の歴史と都市空間の現在」
 国立研究開発法人土木研究所 寒地土木研究所・地域景観チーム 主任研究員 岩田圭佑
3.「AIデータセンターが拓く都市変革と無電柱化の未来」
 京都大学大学院 経営管理研究部 教授 ・当NPO顧問 大庭哲治
4.「地方の無電柱化推進計画の取組_沼津市の例」
 公益財団法人 日本道路交通情報センター 副理事長・当NPO顧問 森山誠二
5.NPOからお知らせ 当NPO理事・事務局長 井上利一

 

《講演1》 デンマークの無電柱化の歴史と都市空間の現在

国立研究開発法人土木研究所 寒地土木研究所 地域景観チーム 主任研究員
コペンハーゲン大学 景観建築・計画セクション 客員研究員
岩田 圭佑 様
※ 当日は、デンマークからオンラインで講演。

寒地土木研究所の説明

地域景観チームでは、北海道の第1級の景観資源を活かした道路のデザインやドライブ観光に貢献できるよう、様々な研究やガイドラインの作成などを行っていますが、実際に道路からの景観を眺めてみると、この通り。無電柱化を進める支障となっているコストや施工効率を改善するための様々な技術的検討を行ってきました。

北海道における浅層埋設の実現に成功

無電柱化を推進するために基準が緩和され、電線類の浅層埋設が実現したが、北海道では凍結の恐れから基準の緩和は実現されなかった。当研究所では、道路管理者や電線管理署の協力のもと、実験を行った。その結果、北海道でも基準の緩和は実現した。

沿道環境に合わせた無電柱化技術の開発

当研究所の機械チームとNPO法人電線のない街づくり支援ネットワーク北海道支部の協力のもと、トレンチャーを使った無電柱化の推進も進めている。トレンチャーは、従来よりも正確かつ高速で掘削できる重機で、都会ではまだ難しいが、郊外部での低コストでかつ距離を稼げるところでの無電柱化に今後使われる技術として注目されている。
今後は、北海道だけでなく全国展開できる技術として進められることが期待される。

 

日本と欧州の国土全体の低圧配線延長(km)および地中配線の延長

日本はヨーロッパ各国と比べても突出した配電線の総延長を誇っている。その分、電柱・電線が多く、目立っている。ただ、地中配線の距離は最下段のアイルランドの12,100kmの半分にも達していない。一方、デンマークの低圧電線はほぼ100%。地形的にも日本と比べて平坦だし、だいぶ早くから電線地中化されていたのではと予想していたが、意外にも近年になっての取り組みだった。

デンマークと日本(北海道)との地理的関係

デンマークはどういう国かというと、面積は北海道の半分くらい。人口は北海道より少し多くて600万人程度。コペンハーゲンには80万人。近隣都市圏も合わせると、200万人以上が住んでいる。

デンマークの電力政策

  •  化石燃料依存(発電所の集約・大型化)から、再生可能エネルギーへ転換
  •  発電所の集約・大型化
    デンマークの発電所の数は1940年から1970年の間に400以上から20未満に減少。多くの場合、古い発電所は純粋な配電会社として存続し、大規模な地域の発電所や全体的な高圧送電網に含まれた。
  • -エネルギー需要の90%以上を輸入石油が占める状況。1970年代の石油危機を契機に再生可能エネルギーへと変革
  • 火力発電所をバイオマスや廃棄物の燃焼による発電に転換
    従来の石炭火力発電所や石油火力発電所を完全に廃止するという単純なものではなく、それらの多くを、天然ガスやバイオマス(木質ペレット、藁など)、および廃棄物を利用するように大規模に転換した。併せて、再生可能エネルギーのバックアップとしての機能を持たせた。(残存する石炭火力発電所は、明確な閉鎖目標日を定め、段階的に廃止)
  • 発電で生まれる熱などを再資源化
    既存の発電生産物(廃熱など)を、地域熱供給ネットワークや近隣産業への活用を通じて、より広範なエネルギーシステムに組み込んだ。
  • 再生可能エネルギーインフラの新規建設
    風力発電や太陽光発電といった再生可能エネルギーのインフラに多大な投資を行い、新規建設を進めた。これらは分散型発電と地域社会の関与を重視する傾向があった。

 

講演を終えて(編集者個人の意見や理事会での理事の感想など)

岩田様の講演は、7月の無電柱化推進展ミニセミナー(当NPO主催)のデンマーク講演を深掘りしたかたちで大変優れた内容だった。

岩田様の講演で、デンマークの無電柱化がごく最近であること、ヨーロッパ諸国ではよくみられる施工方法の効率化、地中配線について国民の理解が浸透されていることで無電柱化の推進がスムーズなことがよくわかる講演だった。

岩田様の講演は、しっかりエビデンスがとれているからこそ、説得力のある内容になっている。

日本でももっとデータの開示をして、国民の理解を求めていかないと無電柱化は進まない。

今回、誌面の都合などで講演の一部しか紹介できませんでしたが、
当日の講演では、
・デンマークの街の風景や架空線から地中線への変化がわかるビフォーとアフターの写真
・歴史的背景がわかる写真の紹介
・災害後の政府や電線管理者の政策転換を裏付ける記事の資料の紹介
・施工状況がわかる写真や動画、デンマークの環境に配慮した政策やそれがわかる街の風景の写真の紹介
・子どもたちの環境を学ぶ授業の風景
など様々な観点で勉強になるお話をしていただいた。

しっかりとした政策、それを裏付けるデータ・エビデンスの開示や学校教育からの国民理解の育みが重要であることが改めて感じた講演でした。

岩田様の講演動画の紹介(限定公開:下記URLでのみ視聴できます)
「デンマークはなぜ無電柱化が進んだのか」  https://youtu.be/jifi-j6Gikw

 

 

《講演2》 AIデータセンターが拓く都市変革と無電柱化の未来 無電柱化は,AI時代の競争力ある都市基盤への投資である

京都大学大学院 教授  経営管理研究部&工学研究科都市社会工学専攻
大庭 哲治 先生

1.  AIデータセンターが もたらす都市変革

生成AIの加速度的普及と データセンターの需要急増

  • 生成AI市場の加速度的な拡大に伴い,巨大なデータセンターが次々新設されており,今後も多数の新設見通し(整備競争の激化)。
  • データセンターの中でも,高性能なCPU/GPUを搭載したサーバーを導入可能なAIデータセンターが増加傾向にある。

データセンター(DC)とは

【DCの定義】

  • インターネット用のサーバーやデータ通信、固定・携帯・IP電話などの装置を設置・運用することに特化した建物の総称

出典:一般社団法人電子情報技術産業協会:生成AI市場の世界需要額見通し, 2023

【DCの特徴】

  • 通常のオフィスビルと比較して,非常に多くの通信回線が引き込み済。また通常,複数の通信事業者の通信回線が利用可能。
  • 災害時にもサービスの提供に極力支障が出ないように建物自体も耐震構造。
  • 電力供給が途絶えた場合に備え大容量の蓄電池や自家発電装置等を準備。
  • 構内で火災が発生した場合にも中に設置されている機器を極力痛めないよう,通常のスプリンクラーではなく二酸化炭素やフロンガスによる消火設備を保有。
  • 最新のDCは,仮想化,自動化,人工知能(AI)や機械学習(ML)などの高度技術を活用し,可用性,拡張性,セキュリティ,効率性が大幅に向上。

従来型DCとAI-DCの違い

従来型DCと比較して,AI-DCはより高性能で特殊なインフラを装備

項  目 従来型DC AI-DC
主な用途 データ保存・配信(クラウド) 高速演算・学習処理(生成AI)
ハードウェア CPU GPU/TPU (グラフィックス処理ユニット/テンソル処理ユニット)
受電容量 25~50メガワット

(一般家庭5千~1万5千世帯分)

100~1000メガワット

(一般家庭2万~30万世帯分)

冷  却 空冷中心 水冷/液冷化が加速
通  信 データ転送中心 演算処理向け高速・低遅延
立地特性 通信・物流アクセス重視 電力・冷却能力が最優先

参考:東洋経済新報社:データセンター急拡大!,週刊東洋経済, 2025/2/15, 2025.
https://ai-stack.ai/ja/what-is-ai-data-center (最終閲覧日:2025.11.06).

国家インフラ化するDC

  • 都市競争力とレジリエンスを左右するAI-DCは,電力・交通・水道と並ぶ国家インフラとしての重要性を高めている。
  • デジタルライフライン全国総合整備計画」を策定し,国がデータセンターの地方分散を後押し。
  • 市場規模の拡大に伴い,超大型化したDC(特にAI-DC)の整備と都市計画との連携が,国家戦略として不可欠な課題となっている。

※巨大な施設の割には、雇用者が少ないという懸念もあるとのこと。

AI-DC整備と都市計画制度との軋轢

  • AI-DC整備による土地利用転換により,都市計画制度や地域社会との摩擦(NIMBY)が生じている。

※NIMBYとは、「Not In My Backyard(我が家の裏庭にはいらない)」の頭文字をとった言葉で、社会に必要な施設であることは認めつつも、自分の家の近くに建設されることには反対する住民の態度や運動を指します。この現象は、廃棄物処理場、発電所、刑務所、福祉施設など、様々な公共施設の建設反対運動で見られます。

  • AI-DC整備が現行の制度や枠組みに収まりきれておらず,都市計画の新たなフロンティアとしての議論が早急に求められる。

  • 世界の主要都市(図ではイギリス・ロンドン)では、どんどんAI-DCの建設が行われている。日本(図では関西圏)でもかなり多くのAI-DCの建設と稼働が進められている。

2. AI時代の戦略的インフラとしての無電柱化

無電柱化整備のメリット

様々な無電柱化の方式

AI-DCと無電柱化

インフラ容量・地下空間の競合
  • AI-DCは大量の光ファイバー・電力ケーブルを要する。
  • 巨大化するAI-DCでは冗長系統を確保する傾向にある。
  • 地下に共同溝があれば,光ファイバーや高圧電力線の収容スペースが増加して,安定供給や冗長化が可能になる。
  • 既存の電線共同溝は容量が限られているため,地下空間の競合を回避すべく,無電柱化とAI-DC需要の整合性を図っていく必要性がある。
災害リスク低減とBCP
  • AI-DCは災害時の事業継続(BCP)が生命線である。
    ※BCPとは、「Business Continuity Plan」の略で、「事業継続計画」と呼ばれます。自然災害、感染症、テロ、システム障害などの緊急事態が発生した場合でも、事業への損害を最小限に抑え、重要な業務を継続または早期に復旧させるための事前の計画です。
  • 送電線・通信線が地中化されると,風水害・倒木・車両事故などによる断線リスクが減少する。
  • AI-DCの受入側の自治体が無電柱化していると,AI-DCの適地候補になるとともに,自治体も強靭な都市としての知名度が得られる。
制度・計画面での接点
  • AI-DC立地が進むエリアでは,通信・電力系統の強化を自治体・事業者・国が協調整備することで,無電柱化整備コストの平準化が期待できる(通信・電力事業者が無電柱化により前向きになる!?)。
  • 経済産業省の「デジタルライフライン全国総合整備計画」でも光ネットワークや電源系統の冗長化・強靭化がうたわれており,無電柱化を後押ししていると読める。

無電柱化整備との親和性
  • AI-DC整備には、無電柱化整備と多くの親和性を有する
効  果 内  容 都市にもたらす利点
通信レジリエンス強化 光ファイバーを地中化 災害時にも断線がない
地下空間の活用高度化 電力・冷媒・光を一元整備 AI-DC誘致のインフラ条件を満たす
排熱の回収・利用 地下経路で熱を搬送 冷暖房/融雪/農業活用
景観と企業誘致力 スマート都市の象徴 高付加価値投資の呼び込み
地下空間の

競合・整備コスト低下

関係者間の協調 無電柱化のスピードアップと低コスト化

千葉県印西市のAI-DC立地の紹介

講演の中で、AI-DC立地を積極的に展開されている千葉県印西市を紹介された。御市は無電柱化も積極的に取り組まれ、また地下設備も充実させている。

 

3. 自治体における政策連携の視座

政策連携によるWin-Win関係の構築に向けて

  • 事前の容量計画
    無電柱化の電線共同溝にAI-DC整備の要件を初期段階で織り込む。
  • 補助制度の組み合わせ
    国土交通省や経済産業省,総務省などの関連省庁の補助金を上手に活用インフラ整備コストの共有・効率化
  • 公民協働の場
    関係者が定期的に協議できる場の設置
  • 景観・歩行者空間の一体整備
    人にやさしい空間(緑化,公開空地など)の整備
  • BCP連動
    自治体,電力・通信事業者,AI-DC が連動したBCPの一体的策定

4. おわりに

  • AI-DCは都市変革の基盤
    国家インフラとしてのAI-DCの地域偏在の現状と今後の地方分散化

    AI-DCの地域シェア(推定)

    米国(北米) 約33.7%
    世界最大のシェア。AWS、Microsoft、Google、Equinixなどが主導。ハイパースケールDCが集中。

    中国 約20%前後
    Alibaba、Tencent、BaiduなどがAIインフラを急拡大。政府支援強化。

    欧州 約18%前後
    英国・ドイツ・フランスが中心。エネルギー制約や規制課題あり。

    日本 約4~5%
    東京・大阪を中心に拡大中。液冷技術や再エネ活用に注力。

    その他(APAC・中東・南米など) 約23%
    シンガポール、韓国、インドなどが急成長

       (Microsoft 365 Copilot )

  • 都市計画制度のアップデートは不可避
    – 用途区分の明確化(ゾーニング)
    – 環境性能の条件化
    – 自治体が立地誘導の主導権を握る
  • 無電柱化はデジタル時代のインフラ改革の入口
    – 都市競争力戦略としての「AI-DC×無電柱化」
    – 次世代インフラへの投資が差を生む
    – 自治体(首長)の決断が都市の未来を拓く

 

講演を終えて(編集者個人の意見や理事会での理事の感想など)

日頃、無電柱化=道路整備事業&面整備事業という図式で考えることが多いですが、今回の大庭先生の話題提供は、違った角度で無電柱化のアプローチを考えることができて、勉強になりました。

他の事業と抱き合わせて無電柱化をすることで、無電柱化の必要度(次元)を高めるという視点は大変興味深かかったです。ディズニーランドやUSJに電柱・電線がないように施設の価値や文化性の向上や安全性の向上に無電柱化が役立つところが日本には多くあるように思います。

大庭先生の講演は、レアケースの話題提供だったので、無電柱化と結びつけづらい感じもしました。もう少し深掘りした内容でうかがいたい。データセンターと無電柱化の組み合せの視点が新鮮で興味深かったです。

AI-DCの建設にともなって、無電柱化も一緒にやってしまおう。さらに国の補助金(電線共同溝方式での補助金)を活用できれば一石二鳥。

日本でも(前述のデンマークに比べ)もっと電線管理者がデータの開示をしないといけないが、データの開示を我々のような民間のNPOが求めてもなかなか動いてくれない。電線管理者へのアプローチは学者・研究者・学会からや政治家の力、更には国民への理解が不可欠。大庭先生には今後も協力を仰ぎたい。

 

大庭哲治先生 の講演動画の紹介(限定公開:下記URLでのみ視聴できます)
「AIデータセンターが拓く都市変革と無電柱化の未来」  https://youtu.be/dRjRiySDx_k

 

《講演3》 地方の無電柱化推進計画の策定の取組_静岡県沼津市

公益財団法人 日本道路交通情報センター 副理事長・当NPO顧問
森山誠二 様

1. 道路事業や面整備に合わせた一体整備

無電柱化法12条前段規定に基づき平成30年3月に道路法省令が改正された。道路事業や面整備との一体的に地中化工事が行われない場合には、その後は電柱・電線の設置は認められないはずであるが必ずしもそうなっていない。運用の厳格化を図るべきではないか。

2. 占用制限の活用と厳格な運用

電力や通信に付与している義務占用の規定を外す道路法37条の活用、特に1号(交通安全)及び2号(バリアフリー)に基づく指定を進めるべきである。

<道路法>

第三十六条 電柱、電線若しくは公衆電話所を道路に設けようとする者は、あらかじめ当該工事の計画書を道路管理者に提出しておかなければならない。
道路管理者は、道路の占用の許可の申請があった場合には、許可を与えなければならない。
第三十七条 道路管理者は、第三十六条の規定にかかわらず、区域を指定して道路の占用を禁止し、又は制限することができる。
交通が著しくふくそうする道路又は幅員が著しく狭い道路について車両の能率的な運行を図るために特に必要があると認める場合
幅員が著しく狭い歩道の部分について歩行者の安全かつ円滑な通行を図るために特に必要があると認める場合
災害が発生した場合における被害の拡大を防止するために特に必要があると認める場合

電線・電柱は義務占用物件ではあるが無余地性は条件となっている。
しかしながら占用許可更新時には審査されずに、ひいては道路上に電線・電柱を野放しにさせる結果となっている。
厳格な運用とそのための体制整備を図るべきではないか。

【編集からの追加】:道路法における「無余地性」とは?

道路法における「無余地性」は、道路占用許可の基準の一つであり、特に無電柱化や道路占用の判断で重要な概念です。簡単に言うと

〈定義(道路法第33条関連)〉
道路上に物件(電柱や設備など)を設置することは、道路の本来目的である「一般交通の用」に反するため、原則として認められません。しかし、道路の敷地外に設置する余地がない場合に限り、やむを得ないものとして占用を許可できるという考え方です。

判断のポイント

  • 物理的な余地の有無
    道路敷地外に設置できるスペースがあるかどうかを確認します。
    例:近隣の民地や他の公共空間に設置可能なら、無余地性は認められません。
  • 利用者の利便性
    物理的に余地があっても、利用者の利便性を著しく損なう場合は「余地がない」と判断できます。
    例:案内板や銘板など、主要道路上にある方が利用者にとって便利な場合。
  • 経済的・技術的要素
    道路管理者は、経済的な要素や施工の困難性も考慮できます。ただし、申請者の個人的事情ではなく、客観的な要素に限ります。

3. 現場で熱意をもって工夫した事例

  • 愛知県 一般国道23号蒲郡バイパス
    バイパスの整備にあたり県道を付け替え、その際、県道にあった既設電柱を付替県道へ地中化により移設。
  • 愛知県 一般国道155号豊田バイパス

4. 沼津市の取組状況

  • 沼津市は静岡県東部地域の中心都市。
  • 拠点性を高めるため、平成10年代から県が行う連続立体交差事業をはじめ駅周辺整備に着手。
  • 地元反対など紆余曲折もあったが、令和3年に貨物駅移転先の用地買収が完了、令和23年の完成を目指し工事も本格化。
  • 新しい街づくりに向け、無電柱化推進計画の策定に初めて着手。

沼津市の地理的状況

  1. 事業中の駅連続立体事業で街が様変わり
  2. 一般的な無電柱化推進計画の例

    第1章 はじめに
    第2章 計画策定の背景と目的
    第3章 無電柱化基本方針
    第4章 計画の位置づけと無電柱化の現状等
    (1)無電柱化基本方針と各種計画との関連性
    (2)A市における無電柱化の現状
    (3)無電柱化の整備手法
    ア 無電柱化方式の分類
    イ 電線地中化の方式
    ウ 地中化以外の方式
    第5章 無電柱化推進路線
    (1)対象路線選定
    (2)整備方式の選択 ・電線共同溝方式
    (3)独自の無電柱化手法の検討
    第6章 無電柱化の実施目標 〇〇Km
    第7章 推進に向けた取組
    (1)低コスト手法の導入と財源の確保
    (2)電柱を増やさない取組
    (3)占用制限制度の適切な取り組み
    (4)国や県への要望
    (5)道路・開発事業にあわせた無電柱化
  3. 【R7年度】計画策定に向けたスケジュール

  4. 沼津市計画案の特徴
    *現在策定中であり、次頁以降は調整中の案。今後の関係機関との調整のなかで変更になることがあります。
  5. 道路事業や面整備に合わせた一体整備
    道路事業・面整備事業に合わせた無電柱化
    道路事業や市街地開発事業その他これらに類する事業が実施される際に、無電柱化推進法12条に基づき、同時整備による無電柱化を推進する。
    この場合、工事着手2年前までに、道路管理者から電線事業者に通知する。通知を出している事業箇所において、同時整備が行われない場合、整備完了後は原則、建柱は認めず電線事業者自ら地中化することになる。
    同時施工が行われない場合、将来の地中化工事時占用物件の移設工事が生じないように、上下水道、ガスなどの占用企業者と予め埋設位置に関する取り決めを行い、地中化による無電柱化が効率的に実施できるように調整する。
  6. 具体的な事業・箇所の明示
    予定する道路・街路事業
    道路・街路の新設・改装において、無電柱化の実施を検討する。予定する面整備事業
    区画整理事業や埼葛事業といった面整備事業において、無電柱化の実施を検討する。
    区画整理…岡宮北地区・沼津駅周辺地区鉄道高架事業
    沼津駅周辺で事業する鉄道高架事業と合わせて整備する路線において、無電柱化の実施を検討する。
  7. 占用制限の活用と厳格な運用 ―37条指定―
    具体的な候補路線の明示 市道20610号線  市道40181号線無余地性の占用許可の指導
    電柱・電線等の道路法36条に定められている工作物等については義務占用とされているものの、「無余地性」は許可基準の一つとなっているため、既存の電柱・電線の占用許可の更新であっても、法令に基づき「無余地性」の審査を行う。
    この場合、占用申請の数は膨大であるため、審査体制の整備状況も勘案しつつ、優先度の高い路線から順次対応していくこととする。
  8. 地中化(電線共同溝)は無電柱化の一つの手法
    1) 設置位置
    現 状 十分な幅員が確保できない路線・箇所において、地上機の設置個所の確保や既設埋設物物件により無電柱化(地中化構造)が困難となっている。
    対 応 道路空間に余裕がない場合や良好な景観形成等の観点から道路上への地上機器の設置が望ましくない場合において、地上機器の設置場所として、学校や公共施設等の公有地や公共空地等の民地の活用を検討・調整する。地中化構造にとらわれず、沿線住民との調整・協力による非地中化構造を検討する。2) ケーブル直接埋設構造、迂回配線・屋側配線の併用
    主に電線管理者が単独地中化を行う場合に活用されるものであるが、新設電柱禁止区間において道路管理者による補償工事や監督処分にともない電柱を移設する場合にも活用する。
    狭小な道路幅員、既設埋設物の錯綜や地上機器困難箇所の不在等、地中化が困難な場所において非地中化手法(迂回配線・屋側配線)を併用した整備を検討する。そうすることで、低コスト・スピードアップが図られる。3) 地上配線工法
    更なる低コスト化の手法として、地上に配線設備を施設する工法である地上配線工法が検討されている。現時点では、地上配線を行うことができる箇所や安全面で順守すべき事項を国で整理している段階だが、実用化された場合、大きな低コスト化・スピードアップが期待される。(車両の往来が無く、人が常時通行することを想定しない箇所において検討されている。)沼津市においては、海岸沿いの路線で適した工法と考えられる。

 

講演を終えて(編集者個人の意見や理事会での理事の感想など)

森山顧問は、今まで話してこられた第9次無電柱化推進計画に向けての提言を無電柱化法に基づいて丁寧に解説されていたところがよかった。(講演時間の都合もあって)話の内容を理解するための解説がほしい面もあった。

限られた時間の中で、次期無電柱化推進計画の具体的な進め方を示唆していただいて、ためになった。

今回のご講演のように、具体的な事例を増やし、紹介していくことが、自治体関係者だけでなく無電柱化に携わる皆様の参考になるのではと感じました。

 

森山顧問 の講演動画の紹介(限定公開:下記URLでのみ視聴できます)
地方の無電柱化推進計画の策定の取組_静岡県沼津市」  https://youtu.be/RBk1zKSpGKg