6 月 22 日(木)の大阪で行われました全国技術委員会の概要と今後の展開についてご案内させていただきます。

1-1.無電柱化低コスト手法の概要
無電柱化には「地中化による無電柱化」と「地中化以外による無電柱化」があるが、今回は地中化による無電柱化を取り上げる。無電柱化が進められ、低コストがはかられるにしたがって、大→小、深→浅に変化してきた。

地中化技術の変遷(国土交通省資料)

1-2.無電柱化低コスト手法の種類

無電柱化低コスト手法の種類としては、現行の電線共同溝と、電線共同溝(浅層化)角型多条電線管(FEP管)小型ボックス活用埋設がある。

1-3.無電柱化低コスト手法の分類

1-4.各手法の特徴

浅層埋設方式の特徴
・掘削土量の削減
・特殊部の小型化
・支障移設の減少 等

小型ボックス活用埋設方式の特徴
・電力線、通信線の同時収容
・電線共同溝本体のコンパクト化による掘削土量・仮設材の削減
・特殊部の小型化により大型クレーンが不要
・支障移設の減少
・小型ボックス内には、道路付属物としての管路は設置しない
・路面露出で整備することによる高いメンテナンス性(セキュリティの担保に留意)等

小型ボックス活用埋設方式の適用地
・歩道に埋設スペースがあり、大型車の乗り入れやケーブル条数を考慮し、需要密度が比較的低い地域、需要変動が少ない地域。
・歩道が無い車道部に埋設する場合は、引込管路の埋設深が浅層埋設基準を満たすか、排水溝他の埋設物の状況などを考慮する必要がある。


2-1.公的機関での分析例➀

無電柱化推進技術検討会での議論
管路部
〇低コスト手法(管路)の普及拡大
⇒浅層埋設、角型多条電線管、ECVP 管等はコスト縮減効果があり、引き続き普及拡大を図る
⇒小型ボックスについては、特殊部を含めたコスト縮減の検討が必要

特殊部
〇沿道における需要や電線の管理上の特殊部を電線管理者と調整し設置しているが、設置状況にはばらつきが多い。
⇒特殊部の設置計画の調整プロセスの検討が必要
⇒特殊部のコンパクト化、共有化、長延化などコスト縮減の検討が必要

施工方法
〇夜間工事や日々復旧の繰り返し掘削による労務費、材料費の増加
⇒施工時間や施工方法の検討が必要(常設作業帯の確保、簡易な復旧の採用、昼間施工などの活用)
〇市街地部における既存占用物件との調整による事業の長期化によるコスト増加
⇒試掘、事前地下探査の活用に向けた検討が必要

資材・設備
〇管路材の低コスト化が十分に普及していない
⇒新材料(角型多条電線管、ECVP 管等)の活用【一部実施済】、新技術の公募【実施済】
〇地方整備局における特殊部本体の規格(Ⅰ型、Ⅱ型)やサイズ、蓋の考え方等の不統一
⇒コンパクト化も含めた規格等の統一化に向けた検討を実施
〇各電力会社における地上機器(トランス、柱状機器)の規格の不統一
⇒電力 10 社の仕様の統一に向けた検討を実施

計画・設計
〇地方公共団体における低コスト手法(浅層埋設、小型ボックス、角型多条電線管)の普及、徹底不足
⇒整備局マニュアルの改訂【実施済】、予算の個別補助の要件化【実施済】
〇郊外部における簡易な埋設構造が確立していない
⇒簡易な構造の検討が必要
〇地下埋設物件の把握不足による設計の手戻り(修正設計)
⇒施工時の試掘の実施【一部実施済】

施工
〇夜間工事や日々復旧の繰り返しによる労務費、材料費の増加
⇒簡易な復旧工法の採用【一部実施済】、昼間施工の施工の実施に向けた検討が必要
〇支障物件移設工事、本体工事、引込み管工事の繰り返しによる労務費、材料費の増加
⇒包括発注方式の活用【一部実施済


今回の全国技術委員会では、
1.無電柱化低コスト手法の概要(概要を前掲)
2.低コスト手法のレビュー状況(概要を前掲)
3.実例からの課題抽出(今回掲載なし)
1.2.3.を含めた内容の動画はコチラから
https://www.youtube.com/watch?v=KsLPN1Wlcwc

 

参加者からのご意見(質問ではなく)
・浅層埋設の際の防護板メーカー、問い合わせは多いが、どれくらいの深さまで耐えられるかデータを集めている。
・ハードタイプだけでないソフトタイプの管の利用ができたら曲げの問題が解消できるかも。
・試験掘りの際、見えない埋設物の非破壊検査を NPO会員のジオ・サーチさんに依頼して自治体に提供する。その仲介や資金援助を NPO が担う。
・防災面から緊急輸送道路を中心に無電柱化を進めていくべき。
・現在の無電柱化法に実効性を持たせるべき。
・電柱を建てている業者、管理している業者にもっと税金をかけるべき
・電柱・電線は公害(社会に不利益をもたらす外部不経済)であることをもっと国民に理解してもらうように NPO が広報すべき。
・大阪府の認定を受け、廃ガラスを利用したリサイクル砂を製造している。無電柱化施工の過程で利用できないか考えてほしい。
・沖縄など、地盤の固い地域がどのように日頃掘削されているかを調べたら水平展開できるかも。
・アメリカの通信会社に勤めていた。ニューヨークでは 1888 年の大雪での被害で大停電が発生し、その後、一気に無電柱化が広がった。その時から地下に埋設している。長いケーブル、深く広い穴を設け、電線、通信ケーブルともまとめて地中に埋めている。

国総研・国交省資料より

全国技術検討会は、今年度は今回(6/22)に加えて9月(9/15 を予定)と 12 月に開催する予定です。今回のご意見、これからの検討会での皆様の意見を吸い上げ、集約し、来年1月を目標に国交省に要望書を提出したいと思っています。


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