※この記事は2021年の春から夏にかけてインターン研修をした学生の企画のもとで進めました。以下、その報告をします。
8月3日(火)10:00~11:00
場所:WEB・Microsoft Teams
参加者:インターン生:新迫康人ほか5名
北村理事、塚田泰二
半田市都市計画課 林主査様
無電柱化だけでなく、都市計画をトータルで担当
◎林様が担当している無電柱化事業の概要
・林様は主に亀崎地区を担当
・今まで:道路新設に合わせて無電柱化もしておくという形→区画整備事業の一環
・元から電柱があった既存の道路を無電柱化するのは亀崎地区がはじめて
・なぜ亀崎地区の無電柱化をするのか?
→地域からの要望 まちづくりの団体からの要望が無電柱化のファクターになった。
・JR半田駅前の無電柱化
→鉄道高架を計画中。道路をつくるついでに電柱を無くそうという事業
→協議はこれから、亀崎より熟度が遅い
◆無電柱化施工の基礎データ
本路線は電線共同構での施工で、電線管理者と国で定める電線共同溝実施の指定路線として合意は取れている。国・県との調整により進めている。
1.無電柱化の延長
約720m
2.期間(予定)
令和3年度、4年度 実施設計
令和5年度~7年度 電線共同溝工事
令和8年度 道路復旧、配線工事、建柱工事等
3.方式
電線共同溝方式
4.事業費
555百万円(概算)
5.補助金の内訳と種類
無電柱化推進計画事業補助金 補助率55%
どの程度国庫補助が採択できるかは実施設計も踏まえて国県と調整にて検討と想定している。
6.事業主体
半田市
以下、質問と頂いた回答をご紹介させて頂きます。回答は、林様が答えて下さいました。
Q1 都市部に近く、中部国際空港にも近い。子育て世代が多い土地。空き家問題も全国的に深刻だが、無電柱化は地価の値上げを狙った面もありますか?(新迫)
亀崎地区は古くからの街並みを生かしたいという方針。無電柱化で地価が上下することはあるが、どちらかというと、景観をよりよくするために無電柱化に取り組んでいる。
山車祭り保存会や商店街などが連名で要望書を半田市長に提出した。⇒H.27 地域の方と話し合い、亀崎というまちをどうしていきたいかから話し合った結果、現在の形に落ち着いている。 半田山車祭り保存会:https://dashimatsuri.jp/
Q2 ダイレクトで無電柱化を求める要望だったのか?それともまちづくりに関する要望が提出された後、協議の結果、無電柱化に落ち着いたのか?(塚田)
ダイレクトで「無電柱化」を求める要望だった。お祭りに映える街並みを求めて。
Q3 無電柱化の一番のメリットは?(新迫)
亀崎においては景観が一番だが、歩行空間がない道路が多いので歩行空間の確保という点もメリットだと感じる。
Q4 具体的な歩行区間への要望はありましたか?(新迫)
一般的な回答になるが、限られた予算の中で無電柱化を進めるとすると、この3つの観点(防災・交通安全・景観)から優先して選ぶことになる。今回紹介する亀崎は景観面を重視した形となっているが、歩道もないので、歩道空間の確保ができるかも焦点になっている。歩行空間を確保しなければいけないと言った場合、無電柱化ではなかったとしても側溝に蓋をしたり、側道を工事のついでに広げるなど別のかたちで広げる工夫をしたい。
Q5 工事期間での交渉について、議論になりそうな点はありますか?(新迫)
騒音、家の前を一時的に車が出入りできない、などの工事の影響。大半は工事の期間は我慢していただくことである程度は納得・合意していただける。無電柱化すると、脇道や違う所に支柱としての電柱を設置することになる。今まで電柱の無かった道に電柱が立つというマイナス面も生じる。地上機器において歩道の無い道だと、地域の公園や道路の空きスペース、場合によっては私有地に設置することになるかもしれない。細かい交渉に関する議論はこのあたりになりそう。
Q6 電柱を埋めたところと現在も電柱が立っているところとの接点となるための電柱が必要になるという認識であっている?(北村)
あっている。
Q7 地上機器の交渉についてうまく進められましたか?(北村)
1件、民地の駐車場に設置できないか交渉中(駐車場)。神社にも設置予定で、地上機器の設置場所を神社にお願いするケースが多い。亀崎地区の場合は、地元からの要望だったため、地元代表者が交渉してくれる。そう言った面では協力体制ができている。
Q8 土地の所有者が変わることでいざこざがおこることもあるのでは?(北村)
いわゆる代替わりと呼ばれているかたに関しては、同意に関する書類をいただくことでもめ事を軽減している。
Q9 住民との合意形成で苦労した点はありましたか?(新迫)
もともと住民からの要望なので住民からの反対意見はそれほど出ていないが、電線管理者は営利目的で事業をしており、収益に見合わない地域においてはなかなか合意が難しい。かなり丁寧な交渉を行った。
Q10 無電柱化を進める際に電線管理者との協議が大変だと言う自治体は多い。その際、「路線指定」をすることが合意につながりやすいのでは?との井上事務局長の意見があるが、そのあたりはどうか。(塚田)
路線指定によって遺恨ができることを懸念している。路線指定しても、現場は最終的には電線管理者と協力しなければならない。その観点から考えると、路線指定は現場サイド的に厳しいものがある。パワープレイ的に路線指定を行うというのも手段のひとつではあるが、基本的には電線管理者と最後まで協力しながら進めていきたい。
Q11 優先して無電柱化を進めていきたいところ、今後の展望など。(新迫)
重要な施設、病院などにつながるメインの道路は今後していくべきと思っているが、まずは亀崎地区とJR半田駅周辺を終わらせてから。
Q12 現状で問題点はありますか。(新迫)
半田市は手探り状態で無電柱化を進めている。うまくいくところを先に想定することもできていなかったため、目の前の課題をひとつずつ解決しながら進めている状態。
Q13 無電柱化に期待すること・要望はありますか(新迫)
個人の意見として。とにかく高額。下水道工事などに比べても高い。材料費も高い。下がればいいなと思っている。
Q14 下水道と無電柱化 キロあたりのコストはどんなイメージ?(北村)
手間だけで言うと20%くらい違うという直感。地下を掘るときの基準も違う。
Q15 PFI事業についてお伺いしていいですか。(新迫)
これから使う可能性がある、今はまだ使っていない。今後、共同溝などの施設を民間に利用させる代わりに運用を任せるということはあるかもしれない。
今後利用しやすいように計画書には記載しているというのが本音で、現状、積極的に取り入れる予定はない。
Q16 コロナ禍による影響は、ありますか。(新迫)
無電柱化を進める予定の道路は決まっているが、具体的な話(Aさんの家の前の電柱を…といった計画)は決まっていない。それを進めるためにビラを配る予定。具体的な計画が出来たころに対面での説明会も行う予定。その時にはコロナも収束していてほしい。
Q17 林様個人が感じる無電柱化の一番大きいと感じるメリットは。(新迫)
亀崎においては景観だが、総じて一番メリットが大きいと思っているのは安全面。
Q18 地元のお祭りに関して、東海市や犬山市など、東海地方は山車を用いた祭り文化がある。そのような他の自治体や地域との連携は行っているか?(塚田)
東海市が小型ボックスなどを利用しており、半田市よりも進んだことをしているのでヒアリングすることもある。ただ、亀崎地区では小型ボックスではなく共同溝の予定。
Q19 半田市が特に無電柱化を行いたい理由は。(新迫)
山車の上部にある鯉のぼりが歴史的に重要なもの。電柱や電線があれば、鯉のぼりを出すことができない。これが無電柱化のファクターになっている地域もあるのではないだろうか。
Q20 財政的な問題で、無電柱化をする際に何かを諦めることはありましたか?(杉村)
財政面で何かを諦めるということは特になかった。行政では、ある程度予算が決まった時点で進めるので。
強いてあげると、財政当局との折衝の中で最も主張したこと、無電柱化事業は国からの支援をけっこうもらえる。国の重要政策なので、全国で進められていくはず。それにつれて、今後は国のお金が取り合いになると考えられるので、やるなら今だという主張をした。
Q21 地域愛があって素敵だと思った。景観保護やまちづくりの面で地域の方から要望があったということについて、無電柱化を進めることでよりコミュニティを作りやすくなることにつながることはある?(植田)
コミュニティについては何とも言えないが、まちづくり関する付帯効果として、まちなみをきれいにしようとする事業が進めば、自分の家もきれいにしなければならないと考える人が増えてくる。そうすることで街を訪れる人が増えたり、住民が増えたりすることが考えられるので、結果としてコミュニティの持続にもつながるのではないか。