皆さん、こんにちは!今回は、近年、国の方でも進めている「市街地開発事業における無電柱化整備」について資料を使ってご紹介します。

無電柱化の事業手法(費用負担)

地中化による無電柱化には、設備形態が同じであっても、整備主体によって事業手法の名称が異なります。無電柱化整備には様々な関係者が絡んで成り立っていることが分かります。

要請者負担方式の分類(管理)

市街地開発事業の場合、要請者負担で各方式を整備する場合も存在します。
その際、占用者及び施工者は下記の通りになります。

電線管理者の占用による整備(要請者負担による単独地中化)については、90年代は多く実施されてましたが、近年は電線共同溝整備に近い管理体系となる道路管理者への設備移管を電線管理者が要望するケースが多く、採用事例はほとんどありません。
事業者側も電線管理者へ個別に施工を依頼することで、コスト増・工程の長期化が予想されることで、無電柱化を実施を断念する傾向にあります。

開発行為における無電柱化の推進

◇無電柱化の推進に関する法律を踏まえた開発許可制度の運用について(技術的助言)R2.3.19(注1)
上のような無電柱化が進まない市街地開発における無電柱化を促進するため、
国土交通省都市局から、都道府県、政令市、中核市、施行時特例市開発許可担当へ以下のような通達がありました。

技術上困難と認められる場所(注2)を除き、都市計画法29条の許可を受けて行う開発行為により新たに設置される道路においても公道・私道を問わず無電柱化が求められることとなる。
技術上困難と認められる場所」とは
・掘削の深さが浅い箇所

・延長が無電柱化するには短い箇所
・工事着手の2年前までに通知されない箇所(電線管理者の予算の確保、設計等の準備期間)
・構造その他の事情に照らし技術上困難と認められる場所(道路の幅員が著しく狭い、既設埋設占用物件が多数など)

国土交通省 都市局 資料による

市街地開発事業等における無電柱化の特徴

国土交通省 都市局 市街地整備課では、市街地開発事業において無電柱化を推進するため、市街地開発事業における無電柱化推進のためのガイドライン【Ver.1.1】」(令和5年6月)を作成している。
https://www.mlit.go.jp/toshi/city/sigaiti/content/001613262.pdf
※ 現在、【ver.2.0】を作成中。
【目 次】
1.ガイドラインの背景と目的
(1)ガイドライン作成の背景 
(2)ガイドラインの目的と使い方
2.無電柱化の基礎情報
(1)無電柱化の構造
(2)事業手法(費用負担)
(3)電線共同溝方式の一般的な費用 

3.新設電柱の抑制にかかる法令及び関係通知
(1)無電柱化法第 12 条前段に基づく新設電柱の抑制 
(2)道路法施行規則改正と道路局発出の関係通知
(3)都市局発出の関係通知
(4)新設電柱の抑制に向けた対応方策
4.市街地開発事業等における無電柱化の実績と課題
(1)市街地開発事業等における無電柱化の特徴
(2)市街地開発事業等における無電柱化の実績
(3)市街地開発事業等における無電柱化の課題
5.市街地開発事業等における無電柱化の留意点
(1)無電柱化にかかる費用 
(2)沿道需要の把握
(3)地方公共団体の対応力
6.無電柱化費用のケーススタディ
(1)ケーススタディの目的と留意点
(2)地区の条件別のケーススタディ
(3)住宅地整備のケーススタディ
(4)コスト縮減の工夫
7.関係者間の合意形成における留意点
(1)ステップ1:事前準備段階 42
(2)ステップ2:構想段階(まちづくりの発意~都市計画決定)
(3)ステップ3:計画段階(都市計画決定~事業認可等)
(4)ステップ4:実施段階(事業認可等~仮換地指定)
(5)ステップ5:実施設計・工事段階 
(6)ステップ6:事業完了段階
(7)ステップ7:管理運営段階
8.事例地区の紹介
(1)守谷市松並地区土地区画整理事業(茨城県守谷市)
(2)瑞江駅整備土地区画整理事業(東京都江戸川区)
(3)稲城南山東部土地区画整理事業(東京都稲城市)
(4)城野駅北土地区画整理事業(福岡県北九州市)

目次の 4.市街地開発事業等における無電柱化の実績と課題
(1)市街地開発事業等における無電柱化の特徴

目次の 5.市街地開発事業等における無電柱化の留意点
(3)地方公共団体の対応力より抜粋  太字・赤字は資料原文から加工
⺠間事業者等へのヒアリングでは、「⾏政担当者の経験値や関係部局間の連携の度合いによって協議にかかる⼿間が⼤きく異なる」「道路管理者が管路の移管に応じてくれない⾃治体がある」等の声が上がり、地⽅公共団体の対応⼒が⼤きな課題として挙げられています。
要請者負担により整備された管路の財産区分について、現時点では定められたものはありませんが、組合施⾏等の場合は事業後に解散してしまうことから、施⾏者の所有とすることは現実的ではありません。このため、無電柱化の実績のある地⽅公共団体においては、道路管理部局が道路と併せて管理する実例が⼤勢を占めています(地⽅公共団体によっては、占⽤物件として管理する場合と、道路附属物として管理する場合があります)。
このような状況を踏まえ、市街地開発事業のご担当者におかれては、⾃ら施⾏する場合のみならず、組合や個⼈施⾏の市街地開発事業に対し適切な指導・助⾔を⾏うためにも、関係情報を収集いただくとともに、庁内関係部局との連携体制を構築し、まちづくり施策全体の中で無電柱化をどのように推進すべきかの認識を共有していただくことが重要です。

無電柱化まちづくり促進事業の概要

 

開発事業に伴う無電柱化整備のフローチャート

市街地開発事業の無電柱化は、これからです。現状は、電柱・電線は減るどころか増えています。
国・自治体、電線管理者、開発事業者、住民(市民)のそれぞれが十分納得して進めることが大事ですが、無電柱化のメリットをしっかり伝えて、少しでも電柱・電線の増加に歯止めが効く状況にしたいですね。