ヨーロッパはなぜ進んでいるのか

ヨーロッパはなぜ無電柱化に関して進んでいるのか?
それは戦後復興と歴史的景観保護が法制度で結びつき、道路や上下水、電力・通信を一気に更新する方法が採用されたからだ。
掘るなら一度に、まとめて整備することを意味する”Dig Once”はスローガンであると同時に実務手順を示す運用指針であり、これは設計時に地上より地中側にインセンティブを傾ける。

台北・ソウル・ジャカルタが無電柱化を進める理由とアジアの実利主義

台北では主に台風による被害が安全ロジックを鍛え、国際都市としてのブランド戦略が外見を後押しした。
ソウルは1988年のオリンピック後の都心再生を契機に政府が主導となって道路整備や上下水更新・電力/通信の地中化をまとめて一つの事業として進める同時化を標準化した。観光と景観を外貨獲得の窓口として位置付け、投資として扱っている。
ジャカルタは洪水対策と都市近代化を外資誘致パッケージに統合し、見える線である都市交通と見えない線である地中化を同じ設計図の上で進めている。
これら三都市に共通するのは、大型プロジェクトと抱き合わせで一気に実施する設計であり、問題を一つずつ点でつつくというより線で解決する方針である。

日本の進め方は今のままでいいのか

日本の状況を完結にいうと現状維持である。
全国一律で進めている無電柱化は、費用対効果が低く、地震や台風などの災害時の初動は地上設備に分があり、住民の無電柱化へのニーズも相対的に低いと考える。
筋は通っているが、評価が初期費用に偏っていることや、ハザード別の使い分けの不足、そして後掘りを前提にしたまま時間を浪費する設計が弱点だ。
一方「もっと進める」立場は、防災・国際競争力・将来の都市機能のために必要だとするが、財源と優先順位の設計が情緒に寄りがちな欠点を抱える。
ここで現実的な路線は、まず優先度を見える化し、観光回廊や都心幹線、避難・救急動線といったから着手することだ。
新規開発は原則無電柱化として将来の当たり前を先に固定し、”Dig Once”を内規や条例で義務化、占用料と補助のインセンティブを地中側に倒す。浅層埋設・共同溝・マイクロトレンチは地図ベースで使い分け、財源は観光税や沿道受益、PFI/PPP、企業版ふるさと納税の景観枠を組み合わせる。
成果はKPI――倒壊件数、復旧時間、通行量、事故率、観光消費、沿道地価――で年次に公開し、「政策は可変」と冒頭で宣言する。これなら全部は無理でも、効果の大きい一本の線から前へ進める。

 

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