11月30日(日)~12月21日(日)の間に、大阪のドーンセンター(大阪・天満橋)さまの協力を得て、同センターの地下1階のNPO協働フロアにて、「当NPOの活動紹介」と「無電柱化とは」、「展示についてのアンケートのご協力」を展開しました。
その際、今回参加されたNPO法人さまとの交流会をしようということで、12月7日(日)に参加させていただきました。
私ども以外で参加されている団体さまは、キャリアサポートの団体、子どもの人権を守る団体、女性の地位向上や人権をサポートする団体で、私たちは、どちらかというと、毛色の違う団体が一つ入ったなという感じで、交流会に臨みました。
交流会では、各団体で15分ずつ団体の説明時間を設けていただいていたのですが、今回は、細かな説明をするよりもクイズを何問か用意して、その解説をして皆さんに理解してもらおうと考えました。
読者の皆さんも、よかったら一緒にクイズにチャレンジしてみて下さい。
問1:日本では電柱が減ってるの?
1)増えている
2)減っている
3)横ばい
問2:フランスのパリやイギリスのロンドンでは電柱・電線はありますか?
1)当然あります。
2)それがないんですよ!
3)最近なくなったみたいですよ。
問3:では、日本で無電柱化が進んでいる東京都での無電柱化率は何パーセントですか?
1)8%
2)20%
3)50%
問4:なぜ、電柱・電線があるとだめなんでしょうか? 誤っているものを選べ。
1)電柱が倒れて緊急車両が通れないから
2)災害時に停電のリスクが高いから
3)鳥が休むところが減るから
4)景観を損ねているから
皆さん、いかがですか。
正解とそのときのちょっとした解説を発表したいと思います。
問1の答え:1)
無電柱化を進めているのにも関わらず、実は、年間約4~5万本増えているんですね。少し前では、年間約7万本も増えていました。電柱増加の要因は、住宅に代表される新規開発地での電柱増加と産業用太陽光パネルに代表される再生可能エネルギーからの送電が影響しています。国では新規に増える電柱・電線にもメスを入れる方針を打ち出してはいます。
加えて、皆さんが驚いていたのが、日本の電柱の数です。約3600万本という数字をお伝えすると、そんなにあるのかと驚愕していました。
問2の答え:2)
これも皆さん驚かれていました。回答の選択肢に3)の「最近なくった」というフレーズを入れたのは、ロンドンやパリは、戦前からすでに電柱・電線がなかったことを伝えたかった前振りでした。さらに追加の説明として、エリザベス女王の葬儀の中継やパリオリンピックのマラソン中継の様子で映っている沿道をみると、電柱・電線が確かになかったことを伝えると、なるほどとうなずくひとが多かったです。
また、そのような状況を見てしまう私を無電柱病とたとえ、それに気が付かない皆さんを「電線病」と説明すると、参加者の皆さんから笑いが起こりました。
問3の答え:1)
これは、皆さん、感が良くて全員正解でした。問題を作成するときに、1)だけ8%で、あとは切りのいい数字なので、みんなすんなり解答するのではと事務所のスタッフにいわれましたが、そこはお愛嬌で。
皆さん正解したところで、解説です。
この8%という数字。日本は無電柱化が進んでいないという現状はなんとなく皆さん知っておられましたが、進んでいる東京でさえ8%。地元大阪では6%という状況です。
因みに、ヨーロッパでは、ロンドン・パリの無電柱化率100%をはじめ、主要な都市は高水準。シンガポールや香港も100%、台北も95%を超えている。因みに韓国ソウルでも、今や60%を超えています。
また、タイヤインドネシア、ベトナムでさえ、どんどん無電柱化を進めていて、日本よりはるかに無電柱化率が高い現実も伝えました。
大阪でお話していることもあって、皆さんにこちらから追加の質問。
「さて、日本で一番無電柱化が進んでいる街はどこでしょう?」と問うと、さすが関西人、皆さん「芦屋市」と答えて下さいました。
※芦屋市は、2025年4月時点で 市道の無電柱化率は約16.2%(推計。無電柱化延長36.04km)と積極的な取り組みが継続されています。
問4の答え:3)
この問いに関しては、1)に着目してほしいので出題しました。
災害時に電柱を撤去する場合、その撤去は電線管理者が処理しないといけないことになっています。そのことが、人命救助や物資の輸送を遅らせてしまうケースが生じてしまいます。
この話を皆さんに話すと、一様に無電柱化の重要性を感じていただいたようです。
あと、無電柱化は、台風や地震などにも強いです。電柱・電線を地下に埋設していれば、架空線といわれる電柱・電線の倒壊の恐れはなくなります。
「地下に入っていれば、メンテナンスが大変じゃないの」と懸念されるかたも多いですが、そもそも被災する率が少ないです。
2024年の1月1日に発生した能登半島沖地震では、被災が落ち着いた後に国交省の国土技術政策総合研究所の調査団が、無電柱化されていた輪島市の朝市の主要道路を調査したところ、埋設されていた管路はほとんど支障がなかったとの報告をされています。
被災していなかっただけでなく、迅速な救助活動や消火活動もできるので、かなりメリットがあると感じていただきました。
これらのクイズのあとでも、色々ご意見をいただき、大変有意義な時間を過ごすことができました。
今回の私と参加者の意見は、個人的には、NPO法人で幅広くご活躍しているかたでさえ、無電柱化の話を新鮮に聞いてくださり、またなるほどと感じていただいたことです。
それだけ無電柱化について皆さん知らないという現実がわかりました。
無電柱化の善し悪しは別としても、この4問の内容だけでも一般のかたに周知していただくことが大事だと感じました。
参加者のかたからの意見では、展示の内容が、もっと今回の解説のような内容にしたほうがよいのでは。身近なところから話をもっていくアプローチのしかたをしてみては。
とアドバイスしていただきました。
なるほど、知っているひとが前提でパネルをつくっているきらいがあった。目からうろこのご意見でした。
無電柱化の日に限らず、「無電柱化」を一般の方に気付いていただくのによいヒントになった一日となりました。(T塚田)


