インターン生の広報活動の一環として、この春インターンでお世話になり、3月16日の学生討論会でも終わりの挨拶をしてくださった北村理事にインタビューをしました。以下、質問といただいた回答を紹介させていただきます。

Q1. NPO無電柱ネットの活動を始めようと思った理由は何ですか?

学生時代は絵描きになろうと勉強していたこともあり、もともと景観には敏感で電柱や電線も邪魔だなとは思っていたが、定年退職後に何をしようか考えた時に、お金になる仕事などではなく直接社会に貢献できることがしたい、その中でも昔から気になっていたことをしたいと思い、電柱・電線をなくす活動をしようと思った。

Q2. NPO無電柱ネットでは具体的にどのような活動をされているのですか?

昨年の6月に理事に就任したが、コロナ禍の現状で屋外でのイベントができないため、まだこれからのところもあるが、毎月の理事会に参加したり、セミナーや展示会のサポートをしている。また、当NPOで主催している小学生を対象にした出前授業にも数回お手伝いとして参加した。

Q3. 活動でやりがいを感じる瞬間はありますか?

挙げるとすれば二つある。一つ目は、菅内閣発足時に立ち上げた内閣府ホームページにある意見登録システムで、既得権益を排除し無電柱化を迅速に進めてほしいという旨の提案を行ったところ、一か月後の朝日新聞の社説に同じ旨の記事が載ったときである。意見を投稿することに迷ったこともあったが、自分の考えていることと新聞社が考えていることが同じだったと分かり、意見を主張して良かったと思った。

2020年11月18日の朝日新聞社説より

二つ目は、当NPOの今年度の活動目標にかかげたアクションプランに基づいた重伝建地区のアンケート活動の中で、無電柱化を具体的に進めたいと思っている行政の担当者を探して、NPO無電柱ネットとつなげる活動をしたときである。コロナ禍だったため対面ではなかったが、自身が担当している関東以北の地区10数件に電話をかけてみたところ、3地区からリアクションがあり、井上事務局長や高山支部長も交えてWEB相談会をすることができた。直接すぐに無電柱化の推進につながったわけではないが、日頃、無電柱化の進め方に苦慮されている担当者の方に情報を伝え無電柱化する手助けができ、また担当者間での情報共有もでき、非常に感謝していただけて良かった。

やはり本当に達成感を覚える瞬間は、事業者が前向きに無電柱化に取り組んでくれるようになることだが、今のペースでは日本全体を無電柱化するのに天文学的な数字の年数がかかると言われているぐらい進みが遅く、なかなか達成感は感じられない。

閾値(例えば水を温めると水蒸気になり、冷やすと氷になるなど様態が変わる点のこと)と同じで、無電柱化も熱を加え続けていくとどこかで沸騰する時が来ると思う。水の間は変化が見えず苦しいが、そこで熱するのをやめると冷めてしまう。周りは変わらなくても、いつも熱を加え続けて初めて閾値を超えることができる。だから、今はまだやりがいというやりがいはないが、常に外に向けて一人でも多くの理解者を増やしていきたい。

Q4. 働く上で大事なことは何だと思いますか?

自分の顔がどちらを向いているかを意識することが大事。社会に出ると目標値があり、達成するかしないかで非常に大きな差が出てくることはあるが、それよりも、自分は正しい方向を向いて仕事をしているのか、ということが大事だと思う。難しい局面に立たされるとつい情勢にながされてしまうが、人生は長いので、損得よりも善悪と言うように自分の正しいと思うことをやる方が良い。

Q5. インターン生や学生に向けて一言お願いします。

自分の思うことに一生懸命取り組んでほしい。大層なことを考えなくても、足元にあることを大切にして、そのことに集中して真面目に取り組む。そして皆さんのやりたいと思うことを一生懸命にやることが一番大事だと思う。

最後に

このインタビューを通して改めて無電柱化推進の難しさ、その中でも諦めず取り組み続けることの大切さを学びました。また、社会に出ると大変なことが増えると思うけれど、正しいと思う方向に向かって、目の前のことを着実にこなす姿勢を大事にしていきたいと思いました。北村理事、お忙しい中お時間を割いていただきありがとうございました(インターン生 中原)。

 

名前 北村良
経歴 1978年 武蔵野美術大学 油絵学科卒業
卒業後、株式会社リンガーハット勤務
2019年 同社を退職
趣味 水泳 下手の横好き
坐禅 趣味とは言えませんが
一言 安全・景観をないがしろに悪しき施策、悲しい感性を、次世代に残したくないのです。