結果報告

11月10日の無電柱化の日のイベントで当NPO事務局として、なにかイベントができないか模索していたところ、9月に開催して好評だった学生WEB討論会をその日にするのがよいのではとの意見が出て行うことにした。

今回の討論会は、前回の討論会の反省を踏まえ、できるだけ数値・エビデンスを示した資料を集め、討論することにした。

テーマは

  1. 無電柱化を進めるには
  2. 「無電柱化の日」の効果的な宣伝方法は

という学生にも身近に考えられるテーマにした。

資料は1に終始し、2は個人の意見を聞く形式にした。

1のテーマについて

a.無電柱化を推進する市区町村長の会アンケート、無電柱化推進の阻害要因のグラフ

b.各国の費用分担の割合

c.国家・東京電力・自治体(埼玉県本庄市)の予算規模の比較

d.無電柱化工事の施工期間の流れ

e.アメリカ・テキサス州とアラスカ・漁村都市の無電柱化した場合のコストパフォーマンス比較

f.固定費・変動費の概念図

を用意した。

今回の資料について、当日の討論会の他に、二度勉強会を開き、学生とゲスト(一般ボランティア+NPO会員)の意見を伺った。

その際に、貴重な意見をいただき、当日の資料にいかせることができた。

いただいた意見により加えた点

b.の資料に対して

電気事業者が100%負担したらどうなるか、国が100%負担したらどうなるかなどの検証がほしいとの意見をいただき、「各国の電気料金の図」を加えた。

また、当日、この点について学生からの意見も多く、各人どういう割合であればよいかなどの意見を出し合うことができた。

c.の資料に対して

それぞれの予算に対して、無電柱化に関わる割合がどれくらいなのか比較ができないかとの意見が出たが、無電柱化だけを抽出することはできなかった。

ただ、資料a・資料b・資料cを連動して検証することによって、地方自治体の負担が大きいのではという意見、費用負担を均等に配分することで、イニシアチブをとる、責任の所在が曖昧なところが無電柱化の進まない要因になっているのではないかとの意見を導き出すことができた。

e.の資料について

こちらの資料については、参加者からの意見が多く、関心が高かった。

事前の勉強会での意見では、表の数値を抽出する方法を教えて欲しい。表の項目に説明がほしい。地理的背景を示してほしい。二つの地域を同時に比較できる表を作ってほしいなどの意見があり、討論会当日までに、補足説明、地図、比較表などを付け加えた。

討論会当日は、日本と比較する場所がなかなかない。テキサス州とアラスカ州での漁村では規模観が違うなどの意見も出たが、地理的背景や規模によって無電柱化をする意義がエビデンスを示すことで証明される意義のあるものと参加者みんなに認識していただいたように思う。

f.の資料について

事前勉強会で、概念図という話は理解できるが、具体的な例をあげてほしいという意見をいただいたので、当NPOが行った重伝建地区アンケートの結果を分析したグラフを付け加えた。無電柱化推進とスケールメリットとの相関関係を理解してもらうための説明として有意義な資料になったのではと思う。

2のテーマについて

こちらに関しては、前回の学生討論会と同様、学生にとって難しいテーマとなったようだ。

NPOとして、あまり費用をかけずに訴求するということに関して、なかなか思い浮かばない。

基本的には、5年・10年のスパンはかかるかもしれないが、SNSなどを使って地道に一般のひとに広めていく。

知り合いつながりから地道に広げていくなどの意見がでた。

費用はかかるが、やはりCMが効果的ではないかとの意見もあった。

このテーマについて、当NPOの井上事務局長が

「学生の皆さんは優秀なんで、難しく考えすぎている。私だったら、日本の電柱本数の多さをギネスに登録申請してみるとか、電柱を抜柱したあとに、粉々にしてリサイクル処理しているが、それを「無電柱化の日」近くで取材して、「電柱供養の日」としてイベントを考え、マスコミに取材に来てもらうなど、考えてほしい」

というご意見をいただきました。

今回の討論会の成果と課題

❏ 今回の成果

・討論会後に行ったアンケートでは、ほぼ全員が今後も続けるべきだと回答をしていただいた。学生に「無電柱化」を知っていただくのに効果的なイベントのように思う。

・エビデンスに基づいた資料提示についても、学生が課題を明確に判断しやすく、よかったと思う。また、今回の資料は、無電柱化を多角的にみるのにいいので、次回の討論会のベース資料として、活用してもいいかと思う。

・本番の討論会の前に二度勉強会を開いたことはよかった。

司会者が、作成した資料に対して、二度の勉強会を行い、資料に対して意見を伺う機会をもった。前述で触れたが、資料をよりよくするいい機会となった。

その他に、

学生が当日授業などで参加できない場合の補完的役割となった。

討論会当日は、学生主体での議論の場としたが、勉強会では、ゲストのかたの意見を吸収する機会となった。ゲストのかたに資料の見直しを確認していただく成果発表にもなった。

❏ 今後の課題

・学生を集めることができなかった。

勉強会にも何人か参加していただいたが、11月10日に授業が重なるなどで更に参加者が減ってしまった。

当初、当NPOのHPなどを利用して、全国から学生を集めることを目標としたが、大学へのアプローチや当NPOが運営しているHPやツイッター以外に訴求する方法が見いだせず、日頃より活動に参加して頂いているインターン・ボランティアのみの参加となってしまった。

学生に応募していただく際に「論者」と「ゲスト」という枠組みを設けていたが、論者が少なく、ゲスト参加者も意見をうかがうかたちとなり、結果的にそれが苦で次回の勉強会に参加されなかったり、討論会に参加されなかったりしてしまった。

⇒学生は「論者」と「ゲスト」に分けないほうがいいかもしれない。

⇒全国区にするには、地道な宣伝が欠かせないと思うが、当NPOでは、毎年インターン生がくるという前提が備わってきているので、年間計画的なものを作成し、当NPOのインターン活動のカリキュラムとして組み込んでもいいかと思う。

学生討論会は、年に2~3回、春休みの2月・3月、夏休みの8月・9月、あとできたら無電柱化の日の11月10日。学生が参加しやすい長期休暇に絞る。インターン生も来やすい時期。

・今回の討論会を機に、学生参加型の企画を学生に考えさせるようにしていく。

学生討論会以外にも学生参加型のイベントを企画中です。

今回の討論会の結果報告を当NPOのHPに掲載するなどして、学生に見てもらえる機会を増やしていきたいと思います。

イベント詳細

来たれ! 無電柱化が気になる学生諸君!
WEB参加なので、全国どこでも参加が可能!

「無電柱化」ってことば、聞いたことありますか。

私達、NPO法人電線のない街づくり支援ネットワークでは、日本全国でいつでもどこでも広く、青い空が見れる街づくりを目指しています。

「無電柱化」は、日本が抱える様々な問題を考えるのに最適な課題です。

防災(人の命の問題)・減災、安全・安心(交通障害・バリヤフリーなど)、国家・行政予算、縦割り行政、外部不経済、「電線病」、費用負担、コスト高、規制緩和(進まない低コスト化)、住宅問題(土地の価値、空き家問題、新規住宅開発地で増え続ける電柱など)、都市や街の景観問題、歴史的な街並の景観維持、商店街の活性化、都市の景観問題、インバウンドを意識した観光の問題、国際社会との政策や考え方の違い(他国は無電柱化が進んでいるのになぜ進まないのか)などなど。調べてみてください。そしてみんなで話してみませんか。

日本の将来を担う若者たちで、11月10日の「無電柱化の日」に考えてみよう。話してみよう!

詳細情報

日時 2020年11月10日(火)10時~11時30分
場所 WEB
参加要項 11月4日(木)10時からの事前勉強会への参加が必要です。
目的 ①無電柱化を推進するため、2016年12月に無電柱化推進法が成立したが、現状は、遅々として進んでおらず、年間約7万本ずつ増えており、約3600万本もの電柱が建っています。この現状を打破するために、学生主体で討論会を開きます。また、無電柱化推進法の中に「無電柱化の日」が盛り込まれているのにも関わらず、全く浸透していません。
②その討論会を「無電柱化の日」に合せて行うことで、楽しく、明るく、イベント的に行えるような会にします。
募集 インターンシップを請け負っている機関・大学関係者様へ
学生様への活動・学習の一環として、是非、ご参加・ご紹介をお願い致します。
ご紹介いただいた場合、今回の会議の様子を当NPOのHPや会員誌に掲載する際に協力機関として機関名・大学名をご紹介させていただきます。

タイムスケジュール(予定)

9:50~10:00 入室
10:00~10:05 開会の言葉と簡単な自己紹介
10:05~10:15 無電柱化の現状と課題説明
10:15~10:35 テーマ1:無電柱化を進めるには について考える
10:35~10:40 テーマ1についてのゲストの意見
10:40~10:50 休憩
10:50~11:10 テーマ2:「無電柱化の日」の効果的な宣伝方法は? について考える
11:10~11:15 テーマ2についてのゲストの意見
11:15~11:20 NPO関係者の意見・感想
11:20~11:25 総括:当NPO事務局長井上
11:25~ アンケートの記入

今年の国土交通省が製作した無電柱化の日のポスター(写真はタレントの井上咲楽さん)

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