JMA 一般社団法人日本能率協会様の主催で、7月29日(水)~31日(金)に、インテックス大阪にて第6回無電柱化推進展(メンテナンスレジリエンスosaka2020)を開催することが決定しました。
※コロナウイルス感染対策のため、ご来場には事前登録が必要です。詳しくは無電柱化推進展ホームページにて
https://www.jma.or.jp/mente/outline/no-denchu.html
当NPOは、5号館 5G-09ブースで出展しています。
本年も当NPOでは、国土交通省の許可のもと、無電柱化事業の現状と課題、最新の事例をまとめた小冊子を用意して、配布させていただく予定です。
その他、会員企業様の製品展示、当NPOのパネルによる活動事例の紹介、モニターを使っての動画説明、日に二回の無電柱化ミニセミナーを実施する予定です。
ブース内には、無電柱化事業に関する相談窓口のコーナーもご用意していますので、お気軽に足をお運び下さい。
暑さが本番の時期で、かつコロナウイルスの動向にも気をつけての展示会になるかと思いますが、スタッフ一同、会場内でのお客様の誘導に十分配慮して、快くご覧いただけるよう努める所存です。
第6回無電柱化推進展 報告
今年の3月以降、経済活動が急速に止まった!
新型コロナウイルスが全国へ、また全世界へと広がり、当NPOの活動も4月・5月は自粛を余儀なくされた。オリンピックも延期が決まり、当NPOの活動委員会、シンポジウム、見学会の中止・延期が決定された。その後、6月25日に予定していた当NPOの社員総会も書面決議となった。
そんな中、一般社団法人日本能率協会(JMA)様の下した決断が「無電柱化推進展を予定通り開催をします」であった。大阪府の感染予防対策の審査を受け、クリアし、私達にもその感染予防対策マニュアル(ガイドライン)が送られてきた。
もし、今回の推進展の開催がなければ、今年1年間、無電柱化をアピールする大規模な展示会やイベントはなかったかもしれない。私達NPOにとって、有りがたいが、予想をするのがすごく難しい3日間となった。開催のギリギリまで最悪のことを考えながらも準備は怠りなく進めて行った。
NPOとしては、特設ステージでの無電柱化に関わる講演、当NPOでのミニセミナー、パネル展示、協賛をいただきながらの小冊子vol.3の制作、モニターを使っての無電柱化動画の製作、会員様のご購入も募ったNPOポロシャツなどを用意・準備した。
無電柱化セミナー・ミニセミナー
無電柱化を色んな角度から知ることができる、多彩な登壇者で今回も大変興味深い内容だった。
初日(7月29日)は、京都市建設局道路建設部道路環境整備課の高橋様と、先斗町まちづくり協議会副会長・事務局長の神戸様の講演から始まった。
京都先斗町は、繁華街の一角にある約490mの通りで、鴨川からすぐのところにある通りである。四条大橋を西の方向に渡ってすぐのところに入口がある。現在、無電柱化の工事を進めているが、南北に入って奥のほうから工事が始まり、南半分がほぼ無電柱化されている。北側の残り半分は、来年の春に完成する予定だ。
先斗町の無電柱化は様々な特徴をもっており、
①狭いところで1.4mしかない狭隘道路での無電柱化である。
②京都の繁華街でも、随一の電力消費量をほこる通りで路地に入ったお店も多く、引込線が乱立しているところである。
③①②の要因により地上機器の数が半端ない。そのためには他にはない努力と工夫が必要となっている。
④努力とは、住民との合意で、民地でも地上機器をかなりの数が置かれている。
⑤工夫とは、住民との合意に加えて、設置場所を工夫されているところである。
先斗町歌舞練場の看板の下、しかも看板の下の土台に隠す形で。更に扉を開けると機器の点検ができるようになっている。
このような、民地の中に様々な工夫を凝らした設置方法を住民と一緒に考え、進められている。
この国内でも類をみない無電柱化の可能性(無電柱化の課題も含む)を凝縮したような場所、先斗町のことを、歴史や背景も含めて私達に教えていただくのが、神戸さんである。
神戸さんは、巧みな語りで、古きよき先斗町の風景から現在進行形の先斗町、そのちょっと前のこれからどうなるのかと思わせる先斗町への誘っていただく。
更にそれだけでなく、ポイント・ポイントで訴えてくる写真も素晴らしい!その写真がビフォー・アフターで見せていただき、無電柱化されたことのよさを教えていただくだけでなく、無電柱化されるまでの奥行をも感じさせる。神戸さんが持つ写真は、貴重な資料になることは間違いないでしょう。
今、現在進行形で進んでいる京都先斗町。何度か私も訪れているが、またどう進んでいるのかと見てみたくなりました。
初日のミニセミナーの二つ目は、国研寒地土木研究所の大部様より、『「寒冷地」及び「郊外部」における無電柱化の研究』と題して講演いただきました(写真モニターが大部様)。
実は、大部様は、推進展の直前まで来阪を予定されていましたが、コロナウイルス感染予防のため、断念、急遽リモートでの講演となり、御承諾いただきました。
本公演の内容は、演題にありますように、北海道という「寒冷地」「郊外」という地域性を踏まえた無電柱化の推進を研究、実証実験を積み重ねて実現化していこうとする、その研究事例をご紹介いただきました。
その中で興味深かったのは、寒冷地での凍結がどれだけ管路やその中の特に通信管路に影響するかの実証実験です。理論上、大丈夫と結論づけたとしても、実証しないと説得力がありません。同研究所は、適切な装置、適切な場所を設定して、どれだけの深度まで耐えられるかなどの研究をされている。
また北海道という地の利を活かし、従来考えられていた歩道の下に管路を埋設するのではなく、歩道の外に緩衝地を設けてそこに管路を設置する。また郊外の広々とした道路であれば、トレンチャ―を使った直接埋設を試みることもできるのではないかというお話がとても印象に残りました。
是非、実証に成功して早期の実現を叶えてほしいです。
北欧のスウェーデンでも、風説の被害で架空線が寸断され、75日間に及ぶ停電が発生し、電線類地中化を検討しているというお話もしていただきました。また井上事務局長より寒冷地での角型多条管の可能性などの質問も出ていました。
世間では、新型コロナウイルスのワクチンの臨床実験が報道されています。お話を聞いていると、裏付けは取らなければいけませんが、北海道という広い土地を生かした同研究所での検証結果が実を結び、低コストで問題なく使用できる、本土や他の地も含めた安心安全な無電柱化の施工ができるようになればいいですね。
2日目(7月30日)は、当NPOの井上事務局長と、京都大学大学院経営管理研究部准教授の大庭哲司准教授が講演されました。大庭先生はミニセミナーもしていただきました。3日目(7月31日)は矢掛町建設課の渡邉課長、無電柱化を推進する市区町村長の会会長の吉田信解本庄市長が講演されました。ミニセミナーでは、当NPOの安江顧問、井上事務局長が講演しました。
井上事務局長は「無電柱化の低コストを阻害する要因~民間からの提言~」と題して講演されました。
今まで、井上事務局長は、自身も主査として関わっている民間WGで募ってきた民間企業からの低コストな商品や低コスト手法の技術を紹介をし、また海外での無電柱化の事例を紹介し、無電柱化の推進を促してきた。また近年多発する災害による電柱倒壊被害の危険性、将来その危険性がさらに高まる可能性を示唆し、無電柱化のさらなる推進を訴えてきた。
各地で徐々に進んできているように感じる無電柱化の波だが、まだまだ無電柱化をするのにコストがかかる。現在、約3552万本あるといわれている電柱は今でも約7万本ずつ増えている。
無電柱化推進法が制定され、国が無電柱化推進計画を立てたが、地方自治体で無電柱化推進条例は全国で3件のみに留まっている(無電柱化推進計画自体の数は各都道府県を中心にかなり存在する)。
低コスト手法、低コスト商品、法整備が整ってきているのになかなか無電柱化が進まない。なぜなのか?
その原因・要因を井上事務局長は丁寧に説明していく。上記写真は、その時井上事務局長が使用したパワーポイントであるが、表に掲げた低コスト手法を右の余白を使って順に阻害要因をあげ、説明していく。その結果を踏まえ一つずつ伐を売っていく。結局、四つとも×が付いてしまった。
また、電線共同溝方式と単独地中化についても触れる。民間での無電柱化施工を主とする電線共同溝方式だと、道路管理者である地方自治体が民間業者に発注して無電柱化工事をするのだが、行政担当者の負担が多くなってしまう。
一方、電線管理者に無電柱化工事を任せる単独地中化方式は、行政担当者の負担が減るように思われるが、施工費用は、電線管理者が抱える子会社・孫会社に発注される。しかも電力・通信それぞれが別に施工するので、民間で行う電線共同溝方式よりも2倍くらいはかかってしまう。しかも工期も長い。
アメリカでは、NASAが技術を提供して、宇宙船が民間の会社で打ち上げられるような時代だ。コロナでのPCR検査も欧米では、迅速に法律を切り替えて民間を活用している。日本ももっと民間を使って低コストで無電柱化できる道を広げていかないといけない。