「震災と電柱」に関するアンケートで、神戸市 建設局道路部工務課 工務第1係 芝本洋平様よりご回答いただきました。

(1)震災時に救助・輸送等で電柱・架線の倒壊・損壊があって苦労したケースがありましたか。

JR新長田駅北側

① 電柱・架線による支障・問題点
・電柱の破損・架線の切断のため、ショートした火花により、火災を発生させた。
・道路に傾斜した電柱のため、道路の通行可能範囲が、制限された。
・垂れ下がった架線が、車両・歩行者の通行支障(危険)となった。
② 電柱・架線があり、利点となった点
・木造家屋が多く破損したが、電柱・架線が支えとなり、家屋倒壊を免れた家屋もあった。
(倒壊を免れなくても、時間的余裕を得て、脱出できた例も見受けられた。)
・電柱・架線で家屋の道路上への完全倒壊を阻止する状態の為、道路の通行を確保できた。
※ 木造建築エリアでは、短期的には、家屋の道路上への倒壊への阻止物件となった。
コンクリート建築エリアでは、共に破損したため、特に支障は無かった。

(2)震災後の復旧事業の際に電柱・架線の倒壊・損壊があって苦労したケースがありましたか。

地震発生後の倒壊寸前の電柱  兵庫区大開町

① 家屋撤去が時間のかかる場合は、電柱・架線撤去に時間を要した為、傾いた電柱のため、 道路の通行範囲が制限され、交通渋滞の一因となった場合もある。
※ 電柱については、地震で単独に倒壊することは稀であると考えられる。
※ 支障となる電柱は、倒壊家屋と一体となり、破損した電柱が多く、主たる原因は倒壊建物であり、倒壊建物の撤去が重要である。
⑴(2)に対して、具体的な写真・資料がありましたらお借りできますでしょうか。
※資料について、代表的な写真を添付します。下記リンクも、併せてご参照ください。
阪神淡路大震災「1.17の記録」:http://kobe117shinsai.jp/

 

(3)無電柱化された住宅街で、特に震災の被害が少なかったなどの事例はありましたか。

東灘区森南町

→整備効果としては、整備が進んでいた市役所周辺(占用不許可指導による無電柱化)・旧居留地・ハーバーランド並びに六甲アイアランドでは、倒れた電柱による緊急車両等の通過阻害並びに電線類そのものの被害が少なかったと思われます。このため神戸市の主要企業の本部機能が集中するこの地域では、通電による火災防止、復旧作業の短縮のほか、震災からの復旧・復興に向けて企業活動を進めるうえでの中枢機能が守られた効果は非常に大きかったと思われます。

(4)震災によって倒壊した電柱の数、架線の切断箇所など、具体的な数字が分かれば教えていただけないでしょうか。
→架空配電設備
支持物:11,289基
電 線:7,760径間

(5)「震災(災害)と電柱」についての取り組みについて一言コメントいただけないでしょうか

中央区御幸通

→本市では震災を経験した都市として無電柱化社会の早期実現に向けて、国、県、公安委員会、電線管理者の協力を得て、管理道路の無電柱化に努力してまいります。その中でも、災害時でも緊急車両の通行を確保できるよう緊急輸送道路の無電柱化を推進してまいります。

(6)無電柱化条例を作る予定があるか。ある場合はいつ頃の制定を予定しているか。
→予定はありません。

(7)「無電柱化の推進に関する法律」の制定を受けて、具体的な取り組みを何かしておられますか。
→無電柱化の取組を広く市民の皆さんに紹介し、事業への理解と協力を得るため、梅田地下街において、国土交通省近畿地方整備局と共催でパネル展を実施しています。