取材報告者 星川裕志
取材内容 「城崎温泉周辺の無電柱化事業による景観形成」
兵庫県豊岡土木事務所企画調整担当の池上様に取材させて頂きました。その際、豊岡市建設課工務2係の水本様のご意見とともに伝えてくださりました。
日時:3月11日(金)10:30~12:00
👉城崎温泉の無電柱化に関連するリンクのご紹介
私の城崎取材のきっかけになったブログです。写真がきれいで、かつ現地の無電柱化の施工の様子がよくわかります。
湊川隧道保存友の会女子的土木散策レポート http://minatogawa-zuido.com/report/1180/
Contents [show]
Q1 城崎はどのような場所であるか
2020年に開湯1300年を迎えた兵庫県を代表する伝統的な温泉街。7つの外湯を巡る「そぞろ歩き」が名物であり、浴衣姿で温泉街を歩く観光客で賑わっている。
Q2 無電柱化を進めるに至った経緯
城崎は過去に兵庫県の「歴史的景観形成地区」に指定されたり、その指定が廃止された後も代わりに豊岡市が「城崎温泉景観形成重点地区」に指定されたりしており、それらを背景に「すぐれた景観の保全と形成」を目的に無電柱化事業対象地区に位置づけられた。
また観光客の「そぞろ歩き」の安全性の確保や景観の向上のために観光協会などの地元団体から地域の無電柱化実施への要望がある。
Q3 施工場所、施工方法、施工期間、施工予算について
【県 道】
施工場所 : 駅通り、南柳通り、湯の里通り
施工方法 : ボックス埋設
施工期間 : GW開け~10月末(お盆、カニシーズンを除く)。湯の里通りは夜間の工事を予定 (迂
あああああああ回路が無いため)。
施工予算 : 県は現時点で事業費を公表していない。
【市 道】
施工場所 : 豊岡市城崎町湯島(一の湯~大谿橋間大谿川沿線左右岸)、平成24年~28年(土日祝祭日除
あああああああく)
施工方法 : ボックス埋設
施工期間 : 北柳通り・・・昼(9:00~16:00)先。年間通して(土日祝祭日除く)実施。
あああああああ南柳通り・・・夜(23:00~翌6:30頃)(全但バスの路線バスの最終便22:30に通過して
あああああああいたため)年間通して(土日祝祭日及び前日除く)実施。
施工予算 : 市道(北柳通り、南柳通り)両方合わせて、予算は約320百万円。
Q4 無電柱化事業が行われていく流れ
予備設計 無電柱化の方針を検討(軒下配線、電線共同溝整備等)
あ↓
詳細設計 電線共同溝の規格、設置箇所、施工方法等の決定、必要な用地の買収等の実施
あ↓
事前工事 電線共同溝本体を整備する上で支障となる設備を移転
あ↓
本体工事 電線共同溝本体の整備
あ↓
入線工事 電線共同溝に新しい電線を収容
あ↓
切替工事 電柱の電線から電線共同溝の電線に切替
あ↓
抜柱工事 電線、電柱の撤去
Q5 城崎における無電柱化事業の一番のメリットは何であるか
一番のメリットは城崎の無電柱化事業の主な目的である景観の改善である。他のメリットとして防災・減災や”そぞろ歩き”の安全性向上といったこともある。
Q6 無電柱化を進める上で苦労することは何であったか
施工や電線の切り替えに係る地元調整、電柱撤去に伴う周囲への影響の考慮、支障物件(ガス管、温泉管等)の移設に係る占用者との調整などが困難であった。また多くの店が集まる城崎において、店前の地上機器の設置を避けることや十分な道路幅の確保などを考慮したとき、地上機器設置用の用地が十分に確保できなかったり、工事期間中、店の前を車両が通行できなくなるなどの不便が生じたりなど、観光地であるがゆえに苦労したこともあった。
ちなみに、駅通りでは、地上機器の設置のスペース不足を解決するために柱上機器の設置を代わりに行った。
Q7 無電柱化によって変わったこと
景観の改善、安全な交通の確保、防災面の向上などがあげられる。
Q8 無電柱化によって特に景観が改善された場所について
駅通りの電柱及び電線が撤去されたことで、景観が大幅に改善された。地上機器の代わりに柱上機器を4基設置し、道路照明灯としての機能も持たせるソフト地中化を実施した。架空線が完全に撤去されており、景観が改善された。
Q9 城崎で今後取り組む予定の無電柱化事業について
南柳通り工区・・・入線工事、切替工事、抜柱工事を実施予定
湯の里通り工区・・・照明共架柱の設置工事、電線共同溝整備工事、入線工事、切替工事、抜柱工事を実
ああああああああああ施予定
Q10 兵庫北部で城崎以外に無電柱化事業が進められている場所
豊岡市出石町、豊岡市日高町、朝来市
Q11 今まで無電柱化を行ってきた中で何か特別な事例や経験談があればお伺いしたい
照明共架柱の設置において、地元とデザイン等について調整した。旅館が工事区間内(通行止め)にあった場合、旅館に辿りつく迂回路の案内を交通誘導員や案内補助看板等を活用して対応し、また、通行止めにしておくと営業ができないガソリンスタンドなどにおいて、タンクローリー等の大型車は早朝に通行してもらうよう調整を行った。
実際に訪問してみて
まち全体に統一された雰囲気があり歩いていて非常に気持ちの良い空間であった。城崎温泉駅から一直線に伸びている駅通りは完全に無電柱化が済んでおり、非常にすっきりとしていて先に思わず進んでしまいたくなるような通りであった。
この地域で無電柱化事業が取り入れられた主な目的が景観の向上であり、それを実現するための様々な工夫がまち中にあった。
例えば、下にある写真について、一瞬見た感じでは何かの石碑のように思えるが、実は城崎の雰囲気に合うように作られた地上機器を隠す化粧カバーとなっている。これは北柳通りに設置されており、豊岡市が設置しているものとなっている。
景観向上に力を入れている城崎温泉では、たびたび問題となる地上機器の存在感を解消するためにこのような工夫がなされている。
城崎の“そぞろ歩き”のメイン通りとなる湯の里通りではまだ、電線の地中化は行われていない。しかし、もうすでにそれらの計画は行われていて、今、乱雑に張り巡らされている電線も何年後かには整理され、きれいになる予定である。北・南柳通りも今後、抜柱作業が予定されているということで、さらなる城崎の景観の進化を楽しみにしたい。
最後に
無電柱化が行われている観光地の中で、城崎はとても良い事例と感じました。“そぞろ歩き”など、ほかの地域にはない城崎特有の文化などを背景に無電柱化が進められており、地元団体など地域に根差した取り組みが実現されているといった印象を受けました。無電柱化事業を行う上で、観光地であるがゆえの苦労もあったとお伺いしましたが、それらに対して合理的・効果的に対策していると感じました。また抜柱が行われる予定である南柳通り、そして特徴的な地中化事業が展望されている湯の里通りが今後どのように姿を変えていくのか気になるところであります。池上様・水本様、取材のためにお時間を取って頂いたこと、丁寧に回答して頂いたこと有難うございました。