はじめに
2年前の能登半島地震からの復興がいまだに終わらずに新年を迎えることになりますが、約1万8千人が未だに仮設住宅で暮らす(「日本経済新聞」2025.12.31)など、多くの人が日常生活を取り戻していない状態です。
更には首都直下地震の被害状態についての恐るべき報告がされています。もちろん南海トラフ地震や千島・日本海溝巨大地震による津波被害も近い将来に発生する恐れが大いにあります。
それに対し、国では防災対策が政策としてこれまで以上に強化される動きがあり、「防災庁」発足(11月1日発足予定)などの動きがあります。
今年4月よりスタートする第9期無電柱化推進計画にも緊急輸送道路の無電柱化を最優先するなど、国土強靭化に努める方針を掲げています。
今こそ、私たちが過去の体験から学んだ教訓をどのように今後の取り組みに生かすべきかについてさらに具体化することも欠かせないことではないかと思います。
一昨年より進めている低コストに関わる輪荷重の緩和も具体的なかたちとして国交省に提案する状況まで実を結んできています。この提案は、今期の無電柱化推進計画で掲げられている無電柱化による良好な歩行空間の確保の際の低コスト化に影響するものと思われます。
最小限の役割である伝建地区の無電柱化も思い通りに進んでいるとは言えない状況です。
これからの一年は、それらについて地域との連携を一層強めながら会員・関係者の皆様とともに良い成果があげられるように努めていきたいと思います。
理事長 髙田 昇
2026年度スローガンとして
「無電柱化は喫緊の社会課題であることをしっかり情報発信していく」
「地域や現場に応じた最適な無電柱化アクションプランをすみずみまで」
を掲げます。
1. 無電柱化の目的と意義を改めて考え、しっかり情報発信する
1) 防災重視の方針をかかげる
・無電柱化は災害時における道路や通信網の確保、避難経路の整備、災害時の迅速な対応に貢献します。医療機関・拠点の電源・通信の確保、近年増加している木密地域での火災への迅速な対応などが可能となり、人命の救助に大きな役割を果たします。
・関係機関から提供いただいた情報の発信や、それに基づくシンポジウムや展示会などのイベントは、会員のみならず、無電柱化関係者や、更に一般市民にも無電柱化のよさを理解していただく絶好の機会となります。これらのイベントに触れる機会を増やし、当NPOのファンを増やす努力・工夫をする。
・2024年の元旦に発生した能登半島沖地震の調査で、地中に埋設された配管は、破損することなく、通電していることが国土交通省の調査で分かった。
・1995年の1月17日に発生した阪神・淡路大震災でも地中線の被災率は架空線に比べて極めて低いことが分かっている(架空線の被災率2.4%に比べ、地中線は0.03%)。
・また地震や台風・竜巻が発生するたびに電柱が倒壊し、電線が断線し、停電がおこる。倒壊した電柱・電線類は緊急輸送の妨げになり、一刻を争う人命救助や火災現場に向かう緊急車両の道をふさぐ。
・防災強化の観点からも緊急輸送道路を中心とした無電柱化推進を全国規模で訴えていきたい。
2) 狭隘道路や住民が多く住む地域(ラストワンマイル)の無電柱化推進をはかる
・次期無電柱化推進計画(骨子案)では、面整備での無電柱化の強化(新設電柱の抑制)や無電柱化による良好な歩行空間の確保に努める方針を掲げている。
・防災重視の観点から、緊急輸送道路での無電柱化は進みつつあるが、住宅地などの面整備での無電柱化は、狭隘な道路が多いという施工面での難しさや、費用が要請者の負担になる場合が多いこと、補助金申請の際の手続きの煩雑さから、電柱の増加が止まらない。住民が多く住む地域(ラストワンマイル)の無電柱化が進んでこそ無電柱化の目的が果たせたと言えるのではないか。
・電柱が減るどころか増え続けている現状にNPOの立場から低コストにつながる規制緩和を検証・提案し、ストップをかけていきたい。
3) 景観面での無電柱化を支援・促進する
・全国の国立公園・景観地区で、電柱・電線が美しい景観を損なう場面への問題提起や、インバウンドの復活と共にオーバーツーリズム対策や「日本の原風景」へのニーズに対応できる無電柱化を促進するといった動きを強める。
・「日本の原風景」には、重伝建地区・伝建地区が多くを占めている。これらの景観保護に無電柱化が果たす役割は大きい。監督官庁は文化庁であることに留意して、連携をとりながら進めていく。
2. 無電柱化推進のための連携を強化する
1) 電線管理者との連携強化を図る
・無電柱化に関する課題解決には、電線管理者との協力が不可欠である。電線管理者との連携をさらに強化し、全国規模での協力を促進していく。当NPOが主催するシンポジウム・セミナー・勉強会などに関係者が参加していただけるよう努めたい。
2) 引き続き国・自治体・行政機関との連携を強化していく
・自治体が無電柱化の事例を求めている状況に対応するため、成功事例を紹介し、地域ごとの導入促進を支援していきたい。国土交通省や他の行政機関とも連携し、自治体担当者の一助となるようなセミナーや勉強会(東京活動委員会、全国技術委員会OSAKA)で情報の発信を行う。
・特に、無電柱化を推進する市区町村長の会と一般財団法人日本みち研究所とは、セミナー・勉強会・情報共有等で引き続き連携していく。
・今年度は特に次期無電柱化推進計画の発出の年なので、情報の提供を惜しまず、一緒になって取り組んでいきたい。
3) 今後発足する予定の防災庁と連携をし、防災面で無電柱化が効果的であることを内外に広める
・防災には、事前防災と事後対応の2点の重要な要素がある。無電柱化事業は、前者の事前防災において大きな役割を果たす。当NPO法人は、防災における無電柱化の効果を今年新たに発足する防災庁とともに世論に訴えていきたい。
3. 規制緩和と新技術・工法の工夫を提案する
1) 民間技術の導入と支援を行う
・民間技術の積極的な導入を支援し、規制緩和や新技術の提案を行うことで、技術革新を促進する。
2) 現行制度の検証とそれに伴う改善提案(規制緩和)をしていく
・直接現場に関わる民間の立場を活かして、国の部会でも議論が進められている現行制度に関して、更に課題を抽出し、検証を行い、国に積極的に改善提案をする。
民間側溝配管規制の緩和提案 側溝配管の規制緩和を提案し、狭隘道路などの無電柱化の推進に寄与する。事例紹介の材料も引き続き収集し、情報提供する。
T-25規制緩和と耐荷重検証 T-25規制緩和提案とともに、小型BOX(T-14)の耐荷重についての検証を行い、効率的で安全な工法の導入を提案する。
軽量化とコスト削減 新しい軽量で持ち運びやすい樹脂製の製品を導入し、狭隘道路での無電柱化を可能できるかを検証する。工事期間を短縮し、自治体や関係者の関心を引く。
地上機器設置交渉の改善 現行の試験掘り→電力会社→交渉というプロセスにおける改善を図り、工事の遅延を防ぎ、コスト削減を進める。
昼間の常設作業帯の好事例 昼間の常設作業帯の成功事例を紹介し、増やしていくことが重要。これにより、無電柱化の作業がスムーズに進むことを実証する。
※夏場においては、夜間工事のほうが効率的な場合があるなど、現場の意見を反映させたい。
4. 「無電柱化の日」などで無電柱化の普及活動に努めるとともに、NPO内の組織強化もはかる
1) 民間事例紹介や小学生向け出前授業など無電柱化の普及活動に努める
・「無電柱化の日」を利用した普及活動を国や自治体と連携しながら実施する。
・見附市、先斗町、東海市、睦沢町、佐久市、矢掛町、福知山市などでの実例を整理し、検証した上で、低コスト化への課題を解明し、国や関係機関とも綿密に連携して情報交換して、低コスト化手法の普及・拡大に努める。
・当 NPO からも提案した会員企業の技術が認められ、普及しつつあるが、それをさらによりよい方法で進めていく。
2) 新規メーカーの参入促進をはかるとともに、個人も含めた会員サービスの充実も検討する
・現在、当NPOには、無電柱化の推進に賛同いただいている個人のほか、無電柱化に関わるメーカー、施工関連業者、コンサル、ハウスメーカー、その他関連部品・部材メーカーなど多岐にわたっているが、更に無電柱化に間接的に関わる快適なまちづくりに寄与する企業にも声をかけて、会員拡大につなげる(無電柱化に賛同いただける企業・個人への会員拡大)。
・対面で実施するセミナーやシンポジウムの開催により、企業間・個人間のコミュニケーションがとれる土壌をつくる。
3) 新規会員を増やすとともに、NPO内での組織強化もはかる
・今後のNPOに求められていることは、大きな問題への対応と同時に身近な地域への取組み、地域との連携を強めることが何よりも大切になってくるものと思われる。商店街や地域団体さらには地域自治体との情報交換や連携を地道に続け、強化することが現実的で、その積み重ねがより大きな動きにつながるものと考える。
・それには、私たちの組織体制・人材の強化が求められる。
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