「無電柱化の推進に関する法律」の成立にあたっての共同声明

 

世界に類を見ない「電柱大国・日本」からの脱皮への第一歩が、踏み出されたものと歓迎いたします。

 

日本では、電柱・電線類はずっと見慣れたもので「それほど気にならない」という人が多く、長年この問題が国民の注目を集めることがなく今日に到っています。しかし、「災害大国」のわが国でこれまで多くの電柱倒壊が発生しており、また、生活道路の狭さ、歩道の未整備もあり、電柱があることによって起こる事故の危険性を知ると、大多数の人が考えを改めます。また多くの「世界遺産」を有し、歴史・文化豊かなまちなみの存在が人々に郷土愛を育み、観光を促し、街なかの商店街が魅力ある空間創出により活性化に取り組もうとしている時に、電柱・電線類は大きな障害となり、景観まちづくりに向けて無電柱化を願う切実な声が広がりつつあります。

政府が掲げている2020年までに外国人観光客を4,000万としていますが、このままでは観光客をがっかりさせることにもなりかねません。

 

そんな状況の中、「無電柱化」が大きく進むことは大変重要であり、今や国民的課題となりました。

NPO法人電線のない街づくり支援ネットワークは、2007年4月に発足以来、この法制度を提案し、切望してきました。また、一般社団法人無電柱化民間プロジェクトは2014年夏に国会での無電柱化に向けての動きが表面化されると同時に発足し、両団体はその実現のため、あらゆる機会に訴えると共に、地域や自治体と連携し、企業の力をも生かして、早く、安価に無電柱化が実現できるよう、技術開発、啓発、相談の機会を重ねてきました

 

このたびの法制度の成立は、無電柱化を国民的課題として自覚し、国、自治体、企業、そして住民のそれぞれがみずからの役割を改めて明確にして、適確に行動することを求めています。

私たち両団体は、これまでの経験、そしてネットワークを最大限生かして、その行動を共にし、無電柱化を前進させるべく必要な活動をさらに強めて参ります  。

 

「無電柱化の推進に関する法律」は、安全で美しい国・地域を築く大きな動機になる出発点にできるはずです。

法施行される新しい年・2017年を「無電柱化元年」と位置づけて、本来の日本の良さを見つめ直し、無電柱化を国民的運動として呼びかけて参ります。

 

2016年12月9日

NPO法人電線のないまちづくり支援ネットワーク 理事長 高田昇

一般社団法人無電柱化民間プロジェクト 幹事長 松原隆一郎