東京都は平成30年11月28日から12月4日まで第6回インターネット都政モニターを行っていました。

そのテーマは「安全・安心・快適な道路整備に向けて」。今後の交通安全施設施策の参考とするために都民の意見を聞いたそうです。

この中に無電柱化に関する質問も含まれていましたので、その結果を交えつつ考察していきたいと思います。

出典元:http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2019/02/14/01.html

アンケート結果

無電柱化の認知度

Q1.東京都では、都市防災機能の強化、安全で快適な歩行空間の確保、良好な都市景観の創出を図るため、電線共同溝等の整備により、道路上に張り巡らされた電線類を地下に収容し、電柱を撤去する「無電柱化」を進めています。あなたは「無電柱化」について知っていましたか。

【調査結果の概要】

「少し知っていた」が6割近くで最も高く、以下に続いた。

Q1に関してはそれほど大きな衝撃はないように思えます。先日、当NPOの井上事務局長が立命館大学に講義に行った時のアンケートも同じような結果でした。

その時の様子はこちら

井上事務局長の無電柱化出張講義in立命館大学

ここで問題なのは「少し知っている」人たちが必ずしも「正しく知っている」ことではないということです。

例えば「無電柱化すると地震に弱くなる」という間違った知識を信じている場合、無電柱化反対派に回ることが明らかです。こういうことがないように正しい知識を啓蒙していく必要があります。

電柱の現状に対する意識

Q2.あなたは、道路上にある電柱が障害となっている、または危険であると感じたことがありますか。

【調査結果の概要】

道路上にある電柱が障害となっている、または危険であると感じたことがあるか聞いたところ、「感じる」(83.4%)が約8割でした。

これに関してもそれほど驚きはないでしょう。電柱があったほうが嬉しいのは維持するのが楽という理由の電力会社くらいなものです。例えば、車を運転していて電柱にぶつかりそうになった経験などは、だれしも一度はあるものです。

無制限にお金が使えるなら日本中の電柱は地下に埋設されるでしょうが、実際にはそうはいきません。決められた予算と法律の範囲内で最大限、無電柱化を行うことが重要なのです。

電柱の減少に対する意識

Q3.あなたのお住いの周辺で、電線や電柱が少なくなったと感じることがありますか。

【調査結果の概要】

住まいの周辺で、電線や電柱が少なくなったと感じるかについて聞いたところ「感じる」が3割近くとなっており、前回調査との比較では5.6ポイント上昇した。

これに関しては「感じる」と答えた人が意外にも多いと思いました。東京都道だけで言うと平成28年度末の無電柱化率は39%と一見高い(※世界的に見れば低い)数字ですが、国道、都道および区道を含めると8%しかありません。

さらにセンターコアエリア内の都道はほぼ無電柱化されていますが、実際にセンターコアエリア内に住んでいる人はそう多くはありませんし、大通りだけ無電柱化されていて一歩裏に入ると電柱だらけというのはよく見る光景です。

家の窓の外に映る電線が消えてこそ実感が湧くというものなので、狭隘道路の無電柱化の技術の開発により力を入れる必要があるように思えます。

無電柱化の効果

Q4.無電柱化することによる効果として、あなたは何を期待しますか。最も期待することを次の中から選んでください。

【調査結果の概要】

無電柱化することによる効果として期待することを聞いたところ、「歩道が広く使えるようになり、歩行者やベビーカー、車いす利用者の安全性・快適性が向上する」(42.9%)が最も高く、以下、「自然災害時でも電柱の倒壊や電線の破断などの被害がなくなり、災害に強い街になる」(35.5%)「電柱・電線がなくなることにより、街の景観が向上する」(16.0%)などと続いている。

前回調査との比較では、「自然災害時でも電柱の倒壊や電線の破断などの被害がなくなり、災害に強い街になる」が7.4ポイント上昇している。

この結果は素直に良い結果と言えます。なぜなら「自然災害時でも電柱の倒壊や電線の破断などの被害がなくなり、災害に強い街になる」が前回調査よりも増えているからです。

歩道が広く使えるようになると歩行者やベビーカー、車いす利用者の安全性が向上するというのはまさに実体験ゆえの動機です。共感が得やすいですし、たしかにもっともらしい理由です。

しかしながら、防災のための無電柱化緊急性が高くうつりますし、なにより人命にかかわる問題です例えば多くの日本人が街中で救急車に出会ったら道を譲るでしょう。

つまり防災のための無電柱化は、市民に自然な形で工事の間、我慢してもらうことが可能なのです。それが結果として自分の命を救うことにつながりますので誰も嫌な気持ちは残りません。都民の間で7.4ポイントも上昇したのは啓発活動の賜物といえるでしょう。

無電柱化の求められる場所

Q5.あなたが電線や電線をなくすことが望ましいと思う場所や道路はどこですか。次の中から2つまで選んでください。

【調査結果の概要】

電線や電柱をなくすことが望ましいと思う場所や道路について聞いたところ、「普段歩いて利用する生活道路」(57.4%)が6割近くで最も高く、以下、「利用者の多い主要駅周辺」(52.3%)、「消防署や災害時の医療拠点となる病院などの防災施設周辺」(36.3%)などと続いている。

前回調査との比較では上位4位までは同順位であり、中でも「消防署や災害時の医療拠点となる病院などの防災施設周辺」は5.9ポイント、「主要観光地周辺」は2.4ポイント、それぞれ上昇している。

やはりここでも「普段歩いて利用する生活道路」がトップに来ました。電柱の減少に対する意識と合わせて都民としてはまず家の前の電柱がなくなることを望んでいることは間違いないことです。こればかりは何回無電柱化のアンケートを繰り返しても変わることはないと思います。

しかし防災施設周辺の無電柱化を望む声が35%を超えるのは驚きました。実際に東京都の無電柱化推進計画に重点的に無電柱化を進めるのは防災施設周辺と環状7号線の内側のエリアと明記されています。

つまりアンケートの2位3位が近いうちに実現する形になると思われます。1位については少し未来のことになるでしょう。

効果的な広報手段

Q6.都では、無電柱化の意義や効果を広く都民の皆様に広報しています。次の中から、広報手段として最も効果的だと思うものを選んでください。

【調査結果の概要】

広報手段として最も効果的だと思うものについて聞いたところ、「広告やデジタルサイネージなどによる情報発信」(27.5%)が3割近くで最も高く、以下、「パンフレットや広報誌」(25.0%)、「ホームページや動画サイトなどインターネットを活用した情報発信」(20.4%)などと続いている。

この項目は広報する側として興味のある情報です。

ここで注目すべきは一位と最下位でしょう。都民としては広告やデジタルサイネージ(商業施設や公共機関、店頭、公共空間などで、ネットワークに接続したディスプレイで映像や情報を表示するシステム)によって情報発信するべきだと考えています。

電車のつり革広告やデジタルサイネージによる政策の広報は強力な手段に思えます。広告というのは見たくなくても目に入ってきますし、記憶にも残ります。ここで重要なポイントはQ1にもあったように無電柱化を全く知らない人はそうはいないということです。正しい情報を宣伝すれば人の考え方も変わるように思います。

次に実質的な最下位である「講演会やイベント開催などの啓発活動」についてです。

無電柱化のPRに講演会やイベントはよく開催されますが、都民の人々にはそれほど優先度が高いものではないと考えられているようです。

たしかに講演会では、人との交流が行えますし、イベントでは無電柱化を全く知らない人に「無電柱化とは何か」を説くことができます。またビジネスチャンスの拡大という意味でも強みがあることも確かです。

しかし講演会やイベントで実際に触れ合える規模は数百人程度です。この数百人の中には重複が含まれることも考えると額面よりも少ない規模であることは間違いないでしょう。

地域住民の協力に重きを置いているならばこのアンケートの結果を考慮に入れた広報活動が必要になってくるのではないでしょうか。

まとめ

東京都のアンケートの結果を考察しました。いつも見慣れている内容から意外な結果もあったように思えます。アンケートの結果を真摯に受け止め、改善していくことにこそ無電柱化をスムーズに行っていく秘訣だと思います。

東京都のこのアンケートは当NPOでも通じるところがあります。地域住民の協力が必要ならば、人々が欲しいと思っているものを与えることが重要です。自分たちがやりたいことと人々が求めることが常に一緒とは限らないことを肝に銘じて今後の広報活動に活かしていきたいと思います。

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