2019年2月27日に千葉日本大学第一小学校にて無電柱化出前授業を行いました。今回で2回目の開催となった出前授業ですが、電柱に対してどう思っているか、また授業の後に考えが変わったのか、興味深い授業となりました。
その前に、お手伝いいただいた日鐵住金溶接工業株式会社の東様とボランティア会員の伊藤様に大変お世話になりました。この場を借りて感謝申し上げます。
授業内容
まず初めに、「電柱や電線をどう思う?」という質問から始まりました。大人でも詳しく知らない人が多い中で、以下のような結果になりました。
この結果は大人に対するアンケートの結果とさほど変わりません。無電柱化は知っているが詳しくは分からないという人が大半です。つまり日本国民のほとんどが『「無電柱化」という単語を聞いたことがある』というところまで来ているようです。その辺りの考察を書いた、インターネット都政モニターに関する記事はこちら
またこのやり取りの中でまだ教えてもいないのに「無電柱化をした方がいい」という子までいて、最近の小学4年生は優秀な子が多いと感心してしまいました。
ほかにも街並みの写真を見ただけで「パリ!!!」即答する子や、パリの道と校門の前の道との違いもたくさんの答えがありました。
授業で実際に使ったスライド
例えば、「建物の大きさが違うから、建築の時に邪魔になる」といったユニークな答えから、「日本の道路は狭いので道路に埋めるスペースがない」という無電柱化が直面している大問題をピタリとあてる子もいました。発想の豊かさもさることながら小学校4年生でこの慧眼を持っているとはうらやましい限りです。しかしこんなに賢くても、事務局長と小池百合子氏の2ショット写真や、過去に出演した「ひるおび」の映像に大興奮していて、微笑ましかったです。
次に、無電柱化クイズ王決定戦と題してクイズ大会を行いました。問題には
今、日本にある電線の長さを全部合わせたら?
①日本からイギリスくらい
②この学校の全校生徒が手をつないだ長さ
③地球16周半
・・・答え③(日本国内のケーブル総延長が約67万kmのため)
と大人でも間違えそうな問題も用意されていましたが、最終的に【千葉日本大学第一小学校小学4年部門】2019年度無電柱化クイズ王が2名誕生しました。手渡しで賞状を渡すとはにかみながら受け取っていました。
さて、次にグループワークとしてこんな問題を出しました。
日本には電柱が3500万本以上あるのに対して、ロンドンには電柱がありません。なぜでしょうか?
この問いに対して正確に答えることは非常に難しいです。「なぜ」といっても様々な理由があり、きちんと答えると非常に長くなります。簡潔な答えとしては「戦後の復興の姿勢の違い」といったところでしょうか。
子供たちにこの問いは難しすぎると内心思っていましたが、それは杞憂でした。私たちが想像もつかないような角度からの回答が多数ありました。ここでそれらの一部を紹介していきたいと思います。
・ロンドンのほうが人口が多いのでイギリスの人が歩くのに邪魔だと思ったから
・建物が多いので電柱が倒れたら被害が増えるから
・建築の時に邪魔になるから
・イギリス人は日本人より頭が良いから
これらの意見はイギリスの方が日本よりも先進国だと思っていた子供たちの意見です。確かに無電柱化に関してはイギリスの方がはるかに先進的ですからある意味で正しいかもしれません。
・きれいな街並みを残すように国王が命令したから
・住んでいる人たちが風景を残したいと思ったから
これらの意見もイギリスの景観に対する意識が日本よりも高いと思った意見です。こういう点は私たちがこれから学ぶべき姿勢でしょう。
・日本は家が多く道路が狭いため埋めるスペースがないから
・ロンドンは災害が少ないので断線の確認の必要がないが、日本は地震や台風などがよく来るため
・日本は工事の人手不足によって工事そのものができないから
こちらは日本が原因で無電柱化が進んでいないという意見です。一つ目の意見はもっともで、事実として施工するのが難しい道路は日本中にいくらでもあります。
しかし現実としてロンドンは無電柱化率100%を達成していますし、イギリスも日本と同じ島国です。「Aという主張を否定するには反例を一つ上げればいい」というのが論理学の初歩です。日本は土地が狭いから無電柱化できないというのは真の主張ではないのです。
ここまで小学生の意見を書いてきました。これらをみて気づくことは何でしょうか。それは、「子供でも考えられる理由を大人が平然と無電柱化ができない理由にしている」ということではないでしょうか。子供たちの未来のためにもより一層無電柱化をしていく必要があると思います。
次のコーナーは日鐵住金溶接工業の東様より電線・光ケーブルの紹介をしていただきました。初めて生で見る電線に子供たちは興味津々で見ていました。
最後のコーナーでは「きれいな街の写真に電柱と電線を書いてもらう」という企画を行いました。電柱を立てるということはどういうことかを理解してもらうコーナーです。
子供たちは大変真剣に書いてくれました。中には非常に上手な子もいて驚きました。
おわりに「電柱や電線をどう思う?」ともう一度質問すると
上のような回答結果になりました。無電柱化の必要性を説けば、それを理解してくれる。子供たちは幼いながら非常に良い理解者でありました。
まとめ
千葉日本大学第一小学校の4年生に出張授業として無電柱化のことをお話してきました。最初は戸惑った人も多かったようですが、授業の終わりにはしっかりとなぜ無電柱化が必要なのかということを理解してくれたようでした。
また次回こういう機会がありましたら是非お声がけくだされば相談に応じますので、よろしくお願いいたします。
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