※この記事は当NPOに長期インターンシップとして所属している大阪商業大学の学生による取材記事となっております。
京都市の無電柱化について興味を持ったことを、京都市役所の高橋様と、京都先斗町街づくり協会の神戸様に取材に行ってきました。以下、質問といただいた回答をご紹介させていただきます。
京都市役所
京都市建設局道路建設部道路環境整備課の高橋成和様にご回答いただきました。
日時:2019年10月28日 10時30分~11時30分
Q1京都市は無電柱化を推進するためにどのような取り組みをしていますか
目的は、①安全・快適 ②防災 ③景観・観光です。
整備手法のコストの削減や、市民や業者との協働を主にしている。
また、11月10日は無電柱化の日だ。市民の関心を深めるために勉強会やまち歩きを行ったり、パネル展示したりと啓発活動を積極的に実施している。
昨年の無電柱化の日の京都市のイベントには、約350人の方が来ていただいた。
Q2京都市で最初に無電柱化された場所はどこですか
烏丸通や御池通で昭和61年頃から始めた。
Q3京都市で無電柱化がされる場所に優先順位はありますか
市が管理する道路は、総延長が約3600㎞あるので、すべての道路を無電柱化するためには時間と費用がかかる。
国の無電柱化推進計画及び京都市の関連計画等を踏まえて設定した優先して無電柱化に取り組むべき道路の考え方に基づき、重点的に整備を実施する整備対象道路を選定し、その中から今後概ね10年間で整備を目指す道路を抽出している。
Step1 優先して無電柱化に取り組むべき道路の考え方
景観の保全・再生(京都市の景観計画の景観計画区域のうち、景観上重要な構成要素となる道路)、防災(緊急輸送道路、避難路)、安全・円滑な交通確保(生活関連経路等のバリアフリー化が必要な道路、電柱が円滑な通行に支障をしている道路)。
Step2 整備対象道路
景観の保全・再生(世界文化遺産や京町家等の歴史的建造物が多く残り、景観保全が特に必要な道路、京都らしい市街地景観を残す都心地区内の道路、防災(災害時に応援部隊や物資の輸送の搬送に必要とある道路)、安全・円滑な交通確保(多数の高齢者、障がい者等の移動が徒歩で行われる道路)。
Step3 今後概ね10年間で整備を目指す道路
第6期無電柱化計画の候補路線に位置付けられた道路は、引き続き整備に取り組んでいく。事業着手の見込みが高い道路や優先順位の高い道路を判断する。
Q4京都市で無電柱化を行う途中またはこれからしようとする場所はありますか
現在、事業中の路線は11本存在している。
①銀閣寺道、②清水寺(茶わん坂)、③新橋通、④三条通、⑤河原町通、⑥後院通、⑦三条通(三条小橋)、⑧押小路通、 ⑨大手筋通、 ⑩先斗町通、⑪長辻通。
Q5無電柱化の工事を行う際に近隣の住民の方に許可をしていただけているのですか
先斗町のような道が狭い場所では地上機器の設置場所として、道路外の公有地や民有地に置かせてもらっている。
工事の際に、近隣の住民の方の大概の方には理解をしてもらっているが、一部違う人もいる。説得するのに時間はかかる。
しかし、どうにか説明をして納得していただき、工事が進められた。
Q6無電柱化を阻害している原因は何ですか
一番の問題は、「いかに費用を安くするか」だ。
また、無電柱化は進んでいるが、電柱の数は増えているのが現状だ。
Q7無電柱化にかけている年間の予算はありますか
今年度の予算は9億円。少ない年は数億円程度だったが、近年は、京都市の年間予算は上がってきている。
Q8先斗町の無電柱化の工事で苦労している部分はありますか
工事の際に、たくさんの苦労があった。京都市役所は、もともと先斗町で無電柱化をするつもりはなく、最初は断っていた。その理由として、道が狭いからだ。しかし、「してほしい」という要望があり、無電柱化することが決まった。
先斗町の工事は真夜中に人力施工で行われ、次の日には人が歩ける状態にしている。道が狭いので、下水・ガス・水道・電線をどう収めるかが重要になる。
Q9これから更に京都市や日本で無電柱化を推進していくためにはどうすべきですか
少しでも費用を安くできるようにすること。
無電柱化は役所だけでできるものではなく、電力会社や通信会社、近隣の住民の人たちの協力が必要になる。京都市の無電柱化の要望は少しずつ増えてきているが、あまり進んでいないのが現状だ。
京都・先斗町
京都・先斗町まちづくり協議会の神戸啓様にご回答いただきました。
日時:2019年10月28日 15時~16時
Q1先斗町の無電柱化の進捗状況はどうですか
先斗町の無電柱化の進捗としては、現在、北側工区で抜柱開始というところまできている。来月までには、先斗町公園以北の電柱がすべて無くなる。
Q2先斗町での無電柱化をどのように推進しましたか
先斗町でのまちづくりは始めてまだ10年です。先斗町は、最初、無電柱化をしてもらわなくて良いと考えていた。
しかし、国が無電柱化のことについての条例を作ったことなどによるのか、京都市役所と関西電力がやる気を出したことと、平成26年の水道管の工事が開始されたことをきっかけに継続して無電柱化まで行えるということになった。
Q3無電柱化をするためにどう先斗町をまとめたのですか、反対の意見はなかったのですか
先斗町で無電柱化がされると決まった際に、反対の声はまったくなかった。なぜなら、やらないと仕方無かったからだ。
Q4神戸さんはお店をお開きになっていますが、無電柱化の工事中に苦労なされたことはありますか
まったくない。
Q5これから更に京都市や日本で無電柱化を推進していくにはどうすべきと思いますか
先斗町のやり方を真似していただければうれしいと考えている。
なぜなら、たった10年のまちづくり活動でこのようなことまで可能だということが明らかになったから。関西電力さんが無電柱化に対しさらに積極的であってほしいと思う。
Q6無電柱化を考えている人に一言お願いします
「無電柱化をする」ということを目標にせずに、街づくりの一環として、「しないといけないから取り組む」という考え方をしたほうが良い街づくりにつながると考えている。
最後に
今回取材をさせて頂いて、京都市は無電柱化に賛成をしている人が多いことや、無電柱化の工事には費用や近隣の人との協力など、とても時間がかかる大変なことだと感じました。
また、先斗町に行った際に電柱が有るのと無いとでの景観の差に驚き、これから先斗町のような取り組みをする街が増えれば良いなと思いました。
高橋様・神戸様、取材のためにお時間を取って頂いたこと、真摯に回答して頂いたこと有難うございました。今後のインターン実習に活用させて頂きたいと思います。
この記事をご覧になってインターンシップにご興味がある方は下のページからお問い合わせください。