■2022年度末までの計算方式(総括原価方式)
●2022年度末までは「総括原価方式」で託送料金が決まっていました。
●総括原価方式は、「安定供給に必要な費用」に「利潤」を加えた額を原価とし、原価を回収できるよう料金を決める方式です。
●総括原価方式では、無電柱化の総量を定めていないので(総量を定めた法廷計画がなかった)、社会貢献的位置づけとしての無電柱化を原価に算入しづらい。
■2023年からのレベニューキャップ制度
●企業努力によって費用を削減すると、その分利益が増加するため、積極的に効率化に取り組むことが見込まれます。
●法定計画が存在し、費用の位置づけが明確になります。
■レベニューキャップ制度の開始に伴う各電力会社の動向について
2020(令 和 2) 年6月に 電気事業法を改正し 、送配電事業者が一定期間ごとに収入上限( レベニューキャップ )を算定し承認を受ける新しい託送料金制度が 2023(令和5)年 4月から導入される。
本託送料金制度においては、一般送配電事業者は 5年ごとに無電柱化などの事業計画を策定し、それに 必要な費用をもとに収入上限を算定する 。
経済産業省が計画の達成状況を評価するとともに 、一般送配電事業者各社の計画達成状況を公表する (レピュテーショナルインセンティブ)こととしている。
■目標及びインセンティブの設定
■無電柱化-安定供給
※託送料金制度(レベニューキャップ制度)中間とりまとめ 詳細参考資料 (2021年11月)より抜粋
■レベニューキャップにおける一般送配電事業者の無電柱化の取組内容 (下の表より)
●無電柱化推進計画に基づき、電線共同溝方式による無電柱化と、電力レジリエンス確保のための一般送配電事業者主体による無電柱化について取り組む こととしている。
●レベニューキャップ期間(2023 ~2027 )においては、 工事完成距離 で、 電線共同溝方式による無電柱化は 1,690 km 、費用は 2, 537 億円となり、 従来より大幅に増加。加えて、 電力レジリエンスに伴う無電柱化 (単独地中化は 200 km 、費用は 571 億円 となり、 総距離数は、 1, 891 km 、総費用は 3, 107 億円 となっている 。
●レジリエンスに伴う電力主体の目標距離は今回初めて掲げるなど、 電力における無電柱化に対する取組を更に強化 するかたちとなっている 。距離はまだ少なく、キロ換算での費用もやや割高にはなっている。電線共同溝方式においても配電部門は電線管理者が担うので、計画段階で電線管理者が単独で行う単独地中化を大幅に上積みすることは難しいのは納得できる。今回の事業計画を踏まえ、無電柱化の低コスト化、効率化が進み、次期無電柱化計画の距離数が大きく飛躍することを期待したい。
■レベニューキャップ制度をめぐる動き
■電力各社が掲げた無電柱化の目標と目標に向けた主な取り組み内容と、経産省の確認内容
■一般送配電業者による託送供給等に係る収入の見通しに係る審査事項について 2022年 7月 22日制定、抜粋)
●主要配電拡充投資(需要・電源対応投資、無電柱化対応投資を指す。)のうち 無電柱化対応に係る投資量については、 国が策定した無電柱化推進計画に照らして、妥当であることを確認する。
●無電柱化対応 主要配電拡充投資のうち無電柱化対応における投資単価の審査・査定についても、全一般送配電事業者の平均的な効率性を反映した推計単価の統計的な算出及びトップランナー的補正を経て行うことを基本としつつ、 規制期間における整備距離等の増減又は整備手法の多様化による投資単価の変動を踏まえ 、 別途、 各一般送配電 事業者からの合理的な説明がなされた場合に限り、当該費用を収入の見通しに算入することを認める。