既設電柱の占用制限の取組について 第2回あり方推進委員会(1/30)から
現在、国土交通省では、道路局をはじめ、都市局、資源エネルギー庁、総務省と連携して新設電柱の抑制に向けた取り組みを進めているが、既設電柱の撤去も同時に進めていかないといけない。その重要な政策の一つが既設電柱の占用制限の取組である。
■電柱等の占用制限の根拠
電柱等の占用制限のそもそもの根拠は道路法第 37 条第1項からきている。
◎無電柱化推進法(H28.12 成立・施行)
(無電柱化が特に必要であると認められる道路の占用の禁止等)
第十一条 国及び地方公共団体は、災害の防止、安全かつ円滑な交通の確保、良好な景観の形成等を図るために無電柱化が特に必要であると認められる道路について、道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第三十七条第一項の規定による道路の占用の禁止又は制限その他無電柱化の推進のために必要な措置を講ずるものとする。
◎道路法
(道路の占用の禁止又は制限区域等)
第三十七条 道路管理者は、次に掲げる場合においては、第三十三条、第三十五条及び前条第二項の規定にかかわらず、区域を指定して道路(第二号に掲げる場合にあつては、歩道の部分に限る。)の占用を禁止し、又は制限することができる。
一 交通が著しくふくそうする道路又は幅員が著しく狭い道路について車両の能率的な運行を図るために特に必要があると認める場合 ▼ 道路法第三十七条一に対する運用指針 (H31.4.1~都道府県担当部長、各指定市担当局長あて道路局路政課長他通知。以下同) ・道路構造令の幅員未満の幹線道路(幅員7m未満かつ500台/日以上) ・路側帯からはみ出した歩行者と車両の接触のおそれが頻繁に生じている道路等 二 幅員が著しく狭い歩道の部分について歩行者の安全かつ円滑な通行を図るために特に必要があると認める場合(H30.3 改正により追加)▼ 道路法第三十七条二に対する運用指針 ・バリアフリー基準(有効幅員2m※)未満の福祉施設周辺、通学路等 ※歩行者の交通量が多い道路は3.5m 三 災害が発生した場合における被害の拡大を防止するために特に必要があると認める場合(H25.6 改正により追加)▼ 道路法第三十七条三に対する運用指針 ・緊急輸送道路(H28.4 より実施中) ・避難路、原発避難路、津波避難経路等 |
緊急輸送道路は、災害直後から、避難・救助をはじめ、物資供給等の応急活動のために、緊急車両の通行を確保すべき重要な路線だが、電柱が倒壊した場合には、道路を閉塞し避難・救助活動に大きな支障を来す。このため、新設電柱だけでなく既設電柱についても占用制限することが必要。
■無電柱化推進計画における記述と検討のポイント
無電柱化推進計画(R3.5 国土交通大臣決定)
■電線管理者と既設電柱の撤去のペースや費用負担等の協議について
○道路管理者は、地区協議会で意見聴取した上で「既設電柱占用制限導入計画(5年間の全体計画)」を作成、その上で占用制限を開始する区域を指定。
○電線管理者は、「電柱撤去計画(撤去完了までの年度計画) 」の作成及び進捗状況を地区協議会に報告。
○撤去期間は最大で10年間に設定
既設電柱の撤去の猶予期間としては、
・電柱の占用期間が最大10年以内とされていること
・無電柱化の事業期間は、平均7年程度とされている※ことを踏まえ、10年間を設定
・既設電柱の撤去に係る電線管理者の損失補償について、10年の猶予期間を設けて更新を許可しない(地中での電線の占用は許可する)場合には、原則として補償しないこととしても問題ないのではないか。(移設費が著しく高額なケースなど、「社会通念上の受忍義務の範囲を超える損失」については、個別具体に補償を検討)
■地域住民が受けているサービス利用の継続性への配慮について