ウメシバまちづくり協議会発起人を代表して、芝田商店会会 長・大阪市北区東連合振興町会会長の三島保様より開会の挨 拶をいただ く

令和 5 年 3 月 27 日の月曜日。大阪新阪急ホテル 2 階 花の間において、13:20~13:40 にウメシバまちづくり協議会設立総会、13:40~14:45 に設立記念講演が開催され、NPO 法人電線のない街づくり支援ネットワークが運営のお手伝いをいたしました。

◎ウメシバまちづくり協議会設立総会
総会は地元芝田商店会の役員や、地元の関係者、関連企業・自治体や議員にも出席していただき、設立の趣旨説明、総会議案を読み上げ、参加者に滞りなく承認いただくことができました。

NPO無電注ネット 高田理事長より当協議会の設立の趣旨説明を実施

 

◎ウメシバまちづくり協議会設立総会記念講演

京都先斗町まちづくり協議会副会長兼事務局長の神戸啓様

ウメシバまちづくり協議会設立総会のあと、京都先斗町まちづくり協議会副会長兼事務局長の神戸啓様より「無電柱化でまちは変わる」をご講演いただきました。神戸様の講演の内容を簡単にご紹介させていただきます。

▶まちづくりをレゴに例えると
・子どもはレゴを買いたいからお金が欲しい。様々なパーツがほしくなる。子どもがつくりたいレゴのまちを実現させる前に、まずどんなまちにしたいかをまず聞いてみますね。
⇒親子でレゴシティ構築計画及び購入計画策定
・まちが何をつくりたいのか。先斗町では、歴史的風致維持向上計画(まちづくりの計画)がもとになっています。こちら(ウメシバ) の場合は、大阪府の無電柱化推進計画、大阪市の無電柱化推進計画があると思います。役所の計画はきっちりしていますが、押しなべて無電柱化をするのに対応した計画になっているので、そこに住むひとが実現したいまちづくりにするにはレゴシティのように、行政の計画から抜け落ちているところを拾いあげていかないといけない。
▶「ひま」の話
・自分の話に戻して、まちづくりで大事なのは、「ひま」です。ひまが大事。
・ま(公共財「みんなの空間。公共空間。みんなのものはあなたのもの。あなたのものはみんなのもの」)も大事。
⇒まちづくり=公共財 の取り扱い方が重要
▶先斗町の話
・先斗町は、どちらかと言えば他の京都のまちより後発でスタートした。
・まちづくりのはじまりは、問題点・課題・可能性・実行体制の抽出から(平成 21(2009)年)。
・京都市新景観政策(平成 19(2007)年~)の実施。まずは条例違反の看板の改善が必要となった。
・先斗町 町式目第2条策定。条文・文章・決まりを書く(平成 23(2011)年)。

先斗町での夜間施工の様子

狭隘な道路ゆえにせっかく回転を得意とするユンボの機動力が発揮できず、人海戦術で作業を行わざるを得ず。ただ慣れるにしたがって 1 日の作業距離がどんどん増していったとのこと。
先斗町通無電柱化工事着工(平成 29(2017)年)、先斗町通無電柱化工事完了(令和3(2021)年)

▶先斗町のまちづくりの歩み
・先斗町のまちづくりは行政との格闘の歴史。行政にいかに動いてもらうかが重要。陳情、陳情の繰り返し。
・行政もまちをよくしていこうという気持ちは一緒。まちの一員として動いてもらわなければいけない。
・無電柱化工事は水道管・ガス管の入れ替えの時期からスタートした。
・屋外広告物(看板)の自主改善(平成 21(2009)年 1月~)、条例違反 95%からのスタート。
「違反は違反」と認識してもらい、言い訳なしで街ぐるみで看板撤去を進める。
・わずか半年で改善される。
・看板が無くなると、今度は上空の電柱・電線が目立つようになる。
・先斗町は、限られたスペースの中に多くの飲食店が軒を連ねる京都でも随一の通りなので、電柱・電線も必然的に多くなる。
・特に問題なのは、ビールをばんばん冷やすためにあちこちから電線を引っ張っているのと、高圧から変圧に変換するドラム缶のようなかたちをした変圧器を多く備えなければならないことだ。変圧器は大きいものだと 500kg。先斗町にある電柱によっては、それが3台設置されているところがある。家の頭上に車のクラウンが乗っかっているような状態だ。

電柱に設置された 3 台の変圧器

・そんな変圧器は、電線類地中化する場合、地上機器として地上のどこかのスペースに置かないといけない。
・今では、街中でもよく見かけるチョコレート色した(関西電力では)四角い鉄製の箱だが、電力需要の多い先斗町では、約 15m間隔で置かないといけないことになる。公共の場所を借りて設置するにも限界がある。
・しかも、地上機器は地上以上に地下に広いスペースを必要とする。通常は、大人二人分くらいが入るスペースが必要である。
・が、しかし、今回の先斗町は、関西電力さんが頑張って地下の桝のスペースが小さい画期的な地上機器をつくってくれた。これによって先斗町の無電柱化が実現したと言っても過言ではない。ウメシバまちづくり協議会のケースでもこのような地上機器を使用する必要があるかもしれません。
・またこの地上機器が凄いのは、従来は、下の桝のスペースの関係で同じ方向でしか置けなかったのが、縦向きでも可能となった点である(上記図)。
・更に重要なのは、改良された地上機器を置くスペースを民地でも工夫した点である。
・先斗町では、歌舞練場のショーケース看板の下に地上機器を目隠しして設置したり、お地蔵さんの下に設置したり、飲食店の前のスペースに目隠しして設置するなどの工夫をしている。

・前述の記載にもありましたが、まちの住人の意見を優先するというより、まちづくりのルールに従ってもらうことが大事になってくる。
・まちづくりの組織を進めるためには、ある程度のお金と組織に携わる人の時間(ひま)が必要である。
・文句の言い合い禁止
・近過去の諸団体のいざこざなんかしらん。だれしもが加害者であり、だれしもが被害者である。だれしもが未来の創造者足り得る
・だれか(個人)がやりたいようなことはしない。しなければならないことだけを淡々とする。社長たちの義務的なひまつぶし→大人の道楽
・先斗町、とりわけ私(神戸氏)は、京都市にしょっちゅう行ってます。ひまな時間を持て余しているひとがひまな時間をつくってまちづくりをするくらいの覚悟がいると思います。
・掃除屋(むずかしいことを言う前に掃除したら済む)
▶まちづくりで大事なこと
・あたりまえのことをする 現代版 普請
・あたりまえの景色を大切にする
⇒まち並み景観の維持保全・再生
⇒あたりまえの景色の綺麗を見せる

…先斗町軒下花展~各店の軒下に花を飾るこころみ。イヤリング効果
⇒町並みを再認識しようという取り組み
…町並みはみんなのもの、だれもが大切にしたいものをだれもが大切にできるように
⇒それがたぶんまちづくり
⇒歴史的風致の維持向上

【質問】無電柱化される前とされた後の違いは?
・頭上の空間が広がった。景色がスッキリした。このすっきりした空間は非常にインパクトを与える。
・通りに足を運ぶひとが増えた。
・コロナから徐々に解放され、特に外国人観光客が増え、活気が出てきた。
⇒いくら美味しいものを提供する店が多くても、景色の悪い、公共財での環境の悪いところは行きたくないと感じるのでは。
⇒韓国からの観光客が SNS を通じて先斗町の店を紹介。店によっては大バズリし、連日行列ができている店がでてきた。