自転車は、私たちのあらゆる生活場面において深く根付いており欠かせないものである。
先日、国土交通省によって「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」の改定版が発表された。
「安全で快適な自転車利用環境」のさらなる推進を図るため、自転車通行空間の整備を計画しているようだ。無電柱化政策も「安全で快適な自転車利用環境」推進の一つである。
道路の整備と並行し自転車通行空間下に無電柱化政策を進めていくことが説明されている。

国土交通省 道路局「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン改訂版(案)」より

この計画によって年々増加している自転車関連事故の減少や、自転車利用者が増えることによって環境への効果も期待できるのではないだろうか。
自転車歩行者道が未だ多い現状はとても危険だ。加えて電柱により道幅が狭まれることで、自転車と歩行者が接触する可能性は非常に高い。
世界屈指の自転車大国であるドイツでは自転車専用道路が国中に整備されている。具体的には、車道の1車線が完全に自転車専用道路となっており、車道と区別しやすいようにカラー舗装が施されているため歩行者の侵入を防ぐことはもちろん、自動車・自転車側にとって通行スペースを確保しやすく交通事故が起こりにくい理由の一つとなっている。日本の自転車通行空間は場所によって道幅が狭く感じられるため、この計画が自転車通行空間の拡張に貢献するものとなってほしい。

日本の自転車通行空間(車両混在)(左)とドイツの自転車通行空間(専用) (右)

ドイツは無電柱化率がほぼ100%の国であるため景観も良い。今回のように一つひとつの事業と合わせることで日本の無電柱化政策が進んでほしいが、現状の無電柱化は手間とコスト・時間が非常にかかるため、より綿密な計画が必要となる。
その際、注目されるのが無電柱化の低コスト手法にあげられている浅層埋設と小型ボックスである。
自転車は、自動車と違い軽量であるため、現在規定される耐荷重と比べ負荷が少ないという利点が活かせる可能性がある。

国土交通省・NPO法人電線のない街づくり支援ネットワーク資料より

国土交通省・NPO法人電線のない街づくり支援ネットワーク資料より

また自転車通行空間整備により、自転車利用者が今よりも増えることでCO2削減に繋がる可能性がある。この計画によって、道路の安全性・協調性を進めると同時に政府が掲げている4つの目標(自転車交通の役割拡大による良好な都市環境の形成、サイクルスポーツの振興等による活力ある健康長寿社会の実現、サイクルツーリズムの推進による観光立国の実現、自転車事故のない安全で安心な社会の実現)の達成により近づくのではないだろうか。

国土交通省「自転車等利用環境の向上の取組」より

国土交通省「自転車等利用環境の向上の取組」より

無電柱化を進める絶好の機会でもあるため、本計画に基づく事業の進展に大いに期待したい。

作成者:NPO無電柱ネット学生ボランティア 大竹
※今回の記事の投稿にあたり、当NPO大阪本部理事の井上様よりアドバイスをいただきました。ご協力ありがとうございました。