最近、パリでオリンピックが開かれています。競技の中継の他にパリの街角の映像も紹介されるときがありますが、その中継映像は、よく見ると、電柱・電線が見当たりません。 

パリの街角

 こんなことを気にするのは、私を含めてごくわずかだと思いますが、パリは昔からないんです。
ロンドンもそうです。
実はこの2都市だけではありません。
国土交通省の調査では、世界の主要都市の無電柱化率は、ロンドン・パリの他に、
ニューヨーク85% ただしマンハッタンは100
香港100%
台北95%
シンガポール93%
ソウル46%
ジャカルタ35%
などなど。 

世界の無電柱化率(国土交通省資料より)

日本はどうかというと、東京23区で8%、大阪市で6%
NPOから取材などをよくさせていただいている芦屋市でも14.1です。
このような数字から、皆さんが思うことを想像すると、
「パリは無電柱化率100%って言ってるけど、ほんとに電柱・電線ないの?」ではないでしょうか。
皆さん、パリオリンピックの競技の合間に映される街角の様子をみてみましょう
もしパリやロンドン、ドイツのハンブルグ、オーストリアのウィーンなどのヨーロッパの諸都市に旅行する機会があったら街の風景を見てみましょう 

少しこの話の続きを書くと、今年(2024年)の5月に「青春18✕2 君と続く道」という映画をみました。
台湾の台南が舞台の映画でした。
清原果耶さんとシュー・グァンハンさんの二人が主役です。ランタンの映像がきれいな映画でしたが、台南の屋台の風景、夜に二人乗りしてスクーターに乗って滑走している風景、ともにあまり電柱・電線が目立つようなところはありませんでした。
映画の映像に似つかわしくないと思って、敢えて映していないのかもしれませんが、「(台北は無電柱化でよく知られているが)台南も結構無電柱化されているんだ。」と関心しながら観ている私は恐らく「無電柱化病」なんでしょうか。 

また、このような資料もあります。 

この資料をみると、

  • ロンドンやパリ、ベルリンなどのヨーロッパの都市は、そもそも戦前から電柱・電線が存在していない。
  • アジアの新興国は、第二次大戦後の経済発展とともに無電柱化の整備を整えている。

ということがわかります。

日本の無電柱化率が極端に低いというのがご理解できたと思いますが、更に驚愕のデータがあります。
日本は無電柱化を進めようとしているにもかかわらず、いまだに年間7万本ずつ電柱が増えているのです。
※最新の調査では、令和3年度で新設電柱が約26.6万本、撤去が約21.4万本=約5.2万本増
令和4年度で新設電柱が約25.7万本、撤去が約20.8万本=約5.0万本増
となっています。
毎年7万本の増加が少し抑えられただけで、いまだ増え続けています。
この電柱増加の原因は、宅地も含めた新規開発地での電柱増と、太陽光発電などの再生エネルギーのパネルから電力を送るための電柱・電線の増設が主な要因という結果がでました。

国交省の資料より

無電柱化が進まないのには、様々な要因があると思われるが、今回ご紹介した資料を国民みんなが把握した上で、無電柱化をどのように進めるべきか、考えることが大事だと考えています。(T塚田)