皆さん、こんにちは!
本日は、令和6(2024)年3月に 国土交通省 道路局 環境安全・防災課から発出された「無電柱化 のコスト縮減の手引き」にある「無電柱化のコスト縮減における施工技術」について紹介します。
基本事項
無電柱化のコスト縮減の取組みは、低コスト材料の活用に限らず、常設作業帯等の施工方法の工夫、地中探査技術を活用した設計作業の効率化、新たに開発された技術・工法の活用等、多岐にわたる。
低コスト手引き(案)Ver2 の策定(平成31年3月)以降、技術検討会の検討や現場での取組み等により、コスト縮減に係る技術が進展しており、これらの成果を踏まえ、下記の(1)~(3)を無電柱化におけるコスト縮減の取組みとして、概要、コスト縮減効果、実施上の留意事項等について記載する。
(1)施工方法の工夫 ・常設作業帯による施工の効率化 ・無電柱化事業におけるトレンチャーの活用
(2)地中探査技術の活用 ・地中埋設物の把握方法 ・地中探査の実施時期・手順 ・地中探査の実施箇所
(3)新技術・新工法の活用 ・新技術・新工法の開発(テーマ設定型による技術公募の取組み)
・新技術・新工法の活用(新技術・新工法に係る技術資料)
・民間低コスト技術の活用 ・一管共用引込方式
なお、技術検討会では今後、施工方法の工夫等の検討を予定している。検討成果が得られ次第、本手引きの更新を予定している。
新技術の活用に関しては、当NPO事務局の井上利一が国交省の部会組織である民間サブワーキンググループ(SWG)の主査を務め、民間からの低コストにつながる製品や低コスト工法の募集を随時している。
無電柱化関連製品・工法の新技術の募集
施工方法の工夫
1-1 常設作業帯等による施工の効率化
無電柱化において低コスト化を図る場合、日々復旧を行わず、一定区間を開削した状態にする常設作業帯の設置や昼間工事の実施が有効である。
常設作業帯の設置にあたっては作業性を確保するため、工事車両や資機材を配置する作業帯幅、一般車両の通行空間、歩行者の通行空間等が必要になる。
交通状況や道路構造、沿道土地利用等の現場条件に応じた適切な施工計画により、所轄警察との道路使用許可に関する協議や沿道住民への工事説明などを行い、合意形成を図ることが重要である。
電線共同溝事業の収集事例では、交通影響が大きい場合は、夜間施工で日々復旧による施工する場合が多く、交通影響が小さい場合に昼間施工を行ったケースがあった。
(1)電線共同溝工事の規制方法の検討手順 電線共同溝における施工方法は、道路管理者と所轄警察署との協議により決定される。道路管理者による検討の段階で、規制方法の選択根拠を明確にすることが重要であることから、経験の少ない技術者でも根拠を持って協議できるよう、規制方法検討のフローを作成した。
1-2 常設作業帯等を活用した整備事例
国道56号百石(ひゃっこく) 地区電線共同溝では、一部区間で常設作業帯を設置した昼間施工を試験的に実施した。
参考:百石地区電線共同溝事業
【事業概要】
・事業名 :国道56号百石地区電線共同溝
・事業区間:高知県高知市 桟橋通 3 丁目~高知県 高知市北高見町
・整備延長:2.2km(道路延長1.1km) ・昼間施工:130m
当NPOの関係者によると、ヨーロッパなどでの電線類地中化工事は、昼間に実施していることが多いという話をよく耳にしますし、実際の現場写真をみることもあります。
日本では、昼間に工事すると、交通渋滞を招くとか、近隣住民に迷惑をかけるという理由で、夜間に工事することがほとんどです。
夜間に工事すると、当然、暗い中で作業をするので、昼間より作業効率が下がる。
加えて、日中の通行を円滑にするために夜間に掘削していた作業現場を再び埋め戻す作業をしないといけません(工事途中の状況をそのままにしておくことができず、不効率な作業が毎日続く)。
更にいうと、深夜は人件費がかさむ。深夜時給として、昼間の1.5倍の賃金を支払わないといけない(労働基準法で定められた深夜の時間は夜10時~朝5時)。
また上図にあるように、昼間施工によって、作業効率UPにつながり、従来より3日間工事期間が短縮した例もあります。3日間短縮したということは、3日分の人件費が削減されたことになります。
そこの違いは何か? それは、市民の意識の違いから来るのではないだろうか。
日本では、近所で長期間昼間工事が行われると、苦情が寄せられる。「うるさい」「渋滞で動けない」「いつまでやるのか」など。
一方、ヨーロッパでは、昼間の作業は当たり前で、「私たちの生活環境をよくしてくれてありがとう」という気持ちが強い。「工事ご苦労様」などのことばが施工業者に向けられたりする。
日本がヨーロッパのようになるには、住民の意識がかわらないといけないのかもしれない。
また、日本に比べて格段に簡易に施工している面も見逃せない。
【参考】2024.7.24 第12回 無電柱化推進展ミニセミナー
海外の無電柱化事例(前川理事) https://youtu.be/Kww0QfDib84