12月19日午前3時。寒風吹きすさぶ中、京都先斗町の入口に24人の参加者が集まった。NHK大阪放送局の取材カメラも加わり、いざ、現場へ突入!
京都先斗町は、電柱に設置されている大きな円柱形の機器(トランス)も沢山設置され、1本の電柱に3個のトランスがついているところもある。ちなみにトランス1個の重さは約530kg。実際にその下に行って、見上げると、夜空に黒っぽいドラム缶のようなものが三つ。それを合わせると1.5tだ!
「クラウン(車)くらいやな」という言葉が出る。しかも民家の屋根のすぐ上にある。危険と隣り合わせであることを痛感する。
小型BOXが搬入する前に、通りを見ながら、さきほど講演会でお世話になった板谷さんに解説をしてもらいながら歩く。無電柱化でネックになるのは、やはり地上機器(トランス)だ。先斗町タイプのトランスは地上部分が標準タイプより大きく、地下に埋設する電気桝が小さくなっている。地上部分のトランスのサイズは幅120cm、高さ110cm、奥行き50cmとなっている。
「このトランスの置き場所はどうするのか…。」
京都市と先斗町の住民のかた、関西電力さんが相互に知恵を出しながら、いろんなところに工夫して、目立たない工夫もしながら、30基のうち、12基(7か所)が民有地内での設置が実現した。歌舞練場の看板の下、お茶屋さんの前庭の前、飲食店のショーウィンドウの下、お茶屋さんの中庭の端、お地蔵さんの下など、出来るだけ目立たず、かつ関電さんもメンテナンスできる体制の確保を前提とした地上機器の置き場所だ。このトランスの設置場所に折り合いがつかず、とん挫してしまうケースが多い。
先斗町の住民の協力なくして、この無電柱化工事は成り立たなかったのは、まぎれもない事実だ。
先斗町街づくり協議会副会長の神戸さんによると、江戸時代から住み、戦火も逃れ、今までこの先斗町の地で住んできた住民との絆や日頃のコミュニケーションができているからこそ話が進んだと語る。
この京都先斗町の小型BOXを使った無電柱化事業はこんな狭小な道路でも実現できる証明となる工事で今後の無電柱化事業にとって大変重要な工事である。しかも従来の通りだったら一つの管路に通信回線と電線を一緒に入れるのが前提なのに対して、この先斗町は、電力量が多いため、あえて通信と電気、それぞれの管路に入れて工事をするというものである。
本日は初日ということもあり、搬入がスムーズにいかなかったり、工事の段取りを確認しながらの状況でこのまま進めると、相当時間がかかる感じではあったが、工事の職人さんが慣れるに従って進捗が早くなるとのこと。今後、様々な工事の参考になりそうだ。(T塚田)