国土交通省が提唱している無電柱化の目的は、➀防災「道路の防災性の向上」、②安全・快適「通行空間の安全性・快適性の確保」、③景観「良好な景観形成」である。
その無電柱化推進に関する目標に対して、同省は、第7期無電柱化推進計画の達成状況として公表しているが、その実績において、②の安全・円滑な交通確保において、15%→51%の当初計画に対して、その取組状況(実績見込み)は15%→19%にとどまっている(下図を参照)。

上記②が進まない要因を以下にあげてみる。
1.主要幹線道路などと違い、予算がとりづらい。
2.狭隘な道路が多くて工事がしづらい。
3.自治体職員や関連業者が効率的に進めることのノウハウを共有したり、持ち得ていない。
4.2.や3.に伴い、施工期間が長くなり、騒音や長期間の通行止めなどで住民の理解が得づらい。また、電柱・電線があることが当たり前の状態で、無電柱化のよさが伝わっていない。
5.なによりも電線管理者がやりたがらない。

無電柱化は②の安全・円滑な交通確保を進めることが住民にとって最も利益となることではあるが、現状ではもっとも困難な取組となっている。
②の推進には、やはり地域住民の理解が重要である。すなわち無電柱化のよさを理解してもらうことが大事だが、今回は、その一歩として「無電柱化のアンケート」を行い、住民の認知度と合わせて、「無電柱化の啓発」を行うことにした。

具体的なアンケート方法

・商店街でアンケート+QRコードによるのも並行
・場所 板宿商店街(神戸市須磨区)
〇〇※地元商店街の調査の前にNPO事務所近くで吹田商店街(大阪府吹田市)でも数件実施。
・実施日 8/19、9/5、ほか数日
・アンケート目標回答数 100件
・実際の回答数 45件
・呼びかけをした人数 約110~130人

アンケート結果と解説

商店街であるので、大学生くらいの若い世代から70歳以上のお年寄りまでと年齢層はとても広くなった。思いのほか40、50代の方に多く答えてもらっていた。

今回アンケート調査を実施した板宿商店街

■歩行中や自転車での走行中に電柱が通行の邪魔になったことはありますか?(45件の回答)

■「ない」と答えた方に質問です。
電柱があることによって起こった事故などをご存じですか?(22件の回答)

●あると答えた方の具体的な状況
・ベビーカーを押しているとき
・雨の日に傘を持ってすれ違う時
・交差時、歩行者がやむを得ず車道を歩くとき
・歩行者と自転車のすれ違い時
・駐車場に車を止める時
・車の交差時(対向車を待たなければならない)

共通しているのが狭い道でということ

■あなたは自宅や職場の周りに電柱が多いと感じることはありますか?(44件の回答)

私も小学生の時に通学路に電柱が多く、邪魔に思っていたことがある。
電柱が多いと感じている人もいて、無くしたいと思っている人も多かったが、無くせるの?という声も多かった。

■そもそも電柱があることに対して、どう思いますか?(この機会にぜひ一度考えてみて下さい)(45件の回答)

「いる」と思う方の傾向はお年寄りが多かった。
要らないと思うけど結局どこまでなくせるかのラインを把握しておきたいと思う。(実現性)

無電柱化に対する意見その1
・全て地中化する必要はない。場所により変えていけば良いと思います
・景観、安全のためにも必ず推進すべき。
・災害時の復旧が今より困難であれば、検討が必要だと思うが、基本的には賛成。
・電柱の事故よりも、他の防災に予算を優先するべきと思います。
・下水道管の埋設普及のタイミングで一緒にやるべきであった。官庁の縦社会構造の産物だと思います。今は遅いと思いますが、危険な道路を中心に優先順位を決めて、電線の埋設化を進めてほしい。
・日本は景観を考慮したまちづくりが遅れていると感じている。無関心な男性目線の政治の影響もあるのでは。また、災害が増加しており何かあってからでは遅いので、少しずつでも早く取り組むべきだと思います。

無電柱化に対する意見その2
・地震、台風、鳥の糞、鳥の巣等の被害がなくなるのでいいと思います。
・現在、事務所の前を無電柱化進行中です。 それを見ていると、通行人を考慮して、掘っては 仮舗装の繰り返しをしているので、工費削減のための、住人の意識誘導をするべきと思います。
・無電柱化は賛成ですが、地下に埋める事でのデメリットもあると思うので後から問題がなるべく出ないようにしっかり地中下対策を練ってから進めていってほしいです。
・阪神淡路大震災の際に倒れている電柱から垂れている電線で車のフロントガラスが割れました。 防災のためにも電柱はないにこしたことはないと思います。

今回の街頭アンケート企画で学んだこと、反省点
アンケートにおける反省点
・100人を対象にするはずであったが、結局45人しかアンケートに答えてもらえなかった。
・アンケート用紙をもっと簡略化するべきだった。ご高齢の方は文字が見えないとおっしゃっていて他の方も文章回答には顔をしかめていた。
逆にQRコードでは長文回答してくれる方が多かった。
・ネット活動をしても良かったと思う。
その他
・他のインターン生と活動していく中で自分の企画に意見をもらうことで今まで見えてなかった案を思いつくことができたというのもあり、もっと積極的に他人に意見をもらえるようにしようと思えた。
・実際に本格的なアンケートをやってみて、赤の他人に興味関心をもってもらうにはそれなりの話術とアンケート用紙の分かりやすさが必要であると実感した。

インターン生の玄君が作成した実際のアンケートはこちらから確認・回答できます。
アンケートの詳細はこちらのリンクから
https://docs.google.com/forms/d/1bpScWMjXtsI6NevmIHshcawHmi73IGMy6gLnjPAem84/edit