皆さん、こんにちは!今年は、激アツの夏でしたが、8 月に沖縄地方を襲った台風6号についてまとめてみました。

8 月に沖縄、九州、四国地方を襲った台風6号の概要
◆気象状況 気象庁発表
○7 月28 日3 時にフィリピンの東で発生した台風第6 号は、8 月2 日から3 日にかけて、大型で非常に強い勢力で沖縄地方にかなり接近した。その後、西へ進み、東シナ海でほとんど停滞した後、進路を東へ変えてゆっくりとした速度で再び沖縄・奄美に接近した。沖縄・奄美を通過後は北上し、9日は九州の西の海上を北に進み、11 日に朝鮮半島で熱帯低気圧に変わった。
○7 月30 日から8 月10 日にかけての総雨量は、台風接近前から雨が降り続いた九州南部の多い所で1000 ミリを超える大雨となり、平年の8 月の月降水量の2 倍を超えた地点があった。また、台風の影響を長く受けた沖縄・奄美では多い所で700 ミリを超える大雨となり、平年の8 月の月降水量の4 倍を超えた地点があった。四国地方でも、多い所で800 ミリを超える大雨となり、平の8 月の月降水量を超えた地点があった。沖縄地方や九州南部・奄美地方、九州北部地方、四国地方では線状降水帯が発生した。
○沖縄地方では最大瞬間風速が50 メートルを超え、8 月の1 位の値を更新した地点があったほか、潮位が過去最高の値を更新した地点があった。また、再接近時も最大瞬間風速が30 メートルを超える風が吹くなど、影響が長く続いた。8 日以降は台風の北上に伴い、九州でも40 メートルを超える最大瞬間風速を観測した。
◆NPO法人電線のない街づくり支援ネットワーク、沖縄活動委員会より
〇8月以降、沖縄で大きな台風(台風6号)が上陸。久しぶりの本島上陸で、生活に大きな影響が出た。
〇この台風によって、改めて無電柱化をやったほうがいいのではと沖縄の人々が再認識し始めている。今回は、身近な人にも言われた。今回の台風で改めて無電柱化をアピールする機会としたい。
〇9 月11 日現在でも、通信の復旧がいまだできていない。何1000 世帯もまだ復旧していない。
〇今回は本土でも2 週間にわたって停電した。世論形成を動かすよい機会と捉えたい。
〇今回は停電だけでなく、物資が1か月来なかったり、マンゴーが出荷できず島内で安く売らざるをえなかったり。通信も然り。
◆こちら(沖縄)で見聞きした情報では
〇今回の台風で、電柱は倒れていない。
〇停電の主な原因は倒木、飛来物による引込線の断線。
〇本島のほぼすべてで発生。NTT の通信線が大きな被害。NTT は線が細いので引込線で被害が大きかったようだ。
〇台風の滞在時間が長かった。一旦離れてまた戻ってきたのが被害を拡大させた。
〇ガス関係者の情報で、エネファームが良く売れている。蓄電池を家電量販店の店頭でガンガン売っている。

台風6 号における国やマスコミの無電柱化対応
【沖縄タイムズ(8/11)】台風6号が南東から沖縄本島に接近した1日。午前10 時ごろに本部半島で最初の停電が確認されると、本島東側のうるま市などを中心に次々と電気が消えた。午後7時に5万戸、同8時に11 万戸、同9時に16 万戸とどんどん増加。最接近した2日午前10 時には34 市町村、最大21 万5800 戸に及んだ。
【琉球新報(8/19)】沖縄総合事務局は16日、那覇市の総合事務局内で無電柱化に関する講習会を開催した。市町村の職員らが参加し、無電柱化に活用できる補助メニューや全国の事例などを学んだ。
国土交通省道路局環境安全・防災課の松浦利之氏が無電柱化のメリットを説明。通信や電力の電線を地下に埋設する電線共同溝の整備などの無電柱化により(1)災害時に電柱や電線が道路に倒れることを防止できる「防災」(2)狭い歩道の電柱がなくなり、通行しやすくなる「安全・快適」(3)電柱や電線がなくなり眺望が良くなる「景観・観光」―への効果を挙げた。2020 年度までに全国で約1万1700 キロの整備延長実績があり、21 年度から25 年度までの5年間で約4千キロの整備を計画しているという。沖縄総合事務局開発建設部道路管理課の仲村将成課長補佐は、県内では21 年度から25 年度までに、国、県、市町村の事業合計で97.325 キロの無電柱化の着手を計画していると話した。電線共同溝本体の費用負担について、全国では国と地方公共団体の負担が半々だが、沖縄振興特別措置法に基づいて県内市町村では10 分の8の国庫からの補助を受けられることから「県内でも無電柱化を進めていってほしい」と話した。
【琉球朝日放送(8/23)】防災性の向上や景観形成などの観点から取り組みが行われている無電柱化の推進について講習会が開かれた。先日、沖縄を襲った台風6号により県内では飛来物の影響で電線が切れるなどしたため最大で21 万戸以上が停電した。また最近では、災害の激甚化や頻発化で電柱の倒壊など停電や通信障害が、長期間に及ぶケースもあり電力や通信の復元力や耐久力の強化も求められている。沖縄総合事務局では、防災性の向上や景観形成の観点から電線類を地中に埋めるなど無電柱化の推進に取り組んでいて、重要性の理解を深めてもらおうと各自治体の担当者を対象とした講習会を開いた。このなかで、無電柱化事業の概要やメリットのほか無電柱化に向けた国の支援などについて説明がされた。国は、2025 年度までを推進計画の期間としていて県内では、およそ97 キロの道路の無電柱化にするための計画を進めている。
【OTV 沖縄テレビ(9/8)】台風6号の影響で長時間に渡って停電が発生した事について、本島北部の市町村の代表者らが沖縄総合事務局などに対策を要請した。7月末から8月にかけて沖縄本島地方に接近した台風6号の影響で、沖縄電力によると一時県内の総戸数の4割近くとなる21 万戸が停電し長期化した。8日、北部市町村の代表者らが沖縄総合事務局を訪れ、電線を地中に埋め路上から電柱を減らす取り組みなどを求めた。
▽北部市町村会・當眞淳会長(宜野座村長)
「中南部地域との格差是正に向け各種事業を実施しておりますが、これら事業の目標達成には電力の安定供給はきわめて重要だと考えております」一行は県や沖縄電力にも同様の要請を行った。
https://youtu.be/Z0BkGILDzko

台風6 号に対する沖縄電力の対応
8月1日から3日にかけて、沖縄本島地方および宮古・八重山地方に接近した台風6号は、いったん沖縄本島と宮古島の間を通過後、進路を東に変え、再び沖縄本島地方に襲来した。合計で約70 時間。沖縄本島地方を暴風域に巻き込んだ台風は、当社設備に甚大な被害をもたらした。当社は、社員、関係会社、協力会社総勢1,800 人の最大要員態勢で早期復旧を目指し、昼夜継続して作業を実施した。
◆長時間の暴風で被害が拡大
今回の台風6 号は大型で非常に強いことが特徴で、配電設備が暴風下で長時間ストレスを浴びた結果、広範囲かつ多数の被害が発生した。また2度にわたり長時間暴風域に入ったため屋外での復旧作業ができず、停電が長引くことになった。被害状況としては、過去10 年間で比較して停電戸数で2018 年台風24 号に次ぐ2 番目、最長停電時間で1 番目の166 時間53 分となった。



上の表から、暴風域の滞在時間において、台風6号が長かったにもかかわらず、ハード面での破損数は抑えられたと言えます。しかし、設備を整備・強化しても電線類が架空にある限り、断線による停電は避けられないのではないでしょうか。ましてや暴風雨で復旧作業ができないのであれば…。

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最近、沖縄本島には幸か不幸か台風への大きな被害が無かったそうですが、今回の台風によって甚大な被害が出ました。電線類を地中に埋設すれば、断線による停電を防ぐことができます。無電柱化は台風には強いです。少なくとも多数に及ぶ断線は避けられます。そのことはもう周知の事実です。米国では、ハリケーンが来る度に大きな被害が発生するので、電線類地中化(無電柱化)を積極的に行っていると聞きます。無電柱化は目的をもって政策的に進めることが必要です。「防災」「安全・快適」「景観・観光」の目的から無電柱化をすることも大事ですが、必要だからしなくてはいけない、これ以上災害を繰り返さないために無電柱化をするという強い意思をもった政策、沖縄地域を無電柱化特区にして進めるくらいの大胆な政策を進めていただきたいものです。停電や断線で直接被害を受けるのは、そこに住んでいる市民です。何度も同じ被害が起こらないようにしたいですね。