皆さん、こんにちは!今年もよろしくお願い致します!
今回は、新年に発生した能登半島地震について筆者の思うことを書きたいと思います。
元日に発生した 能登半島地震
本年の元日に発生した石川県能登地方を襲った地震(その後も余震や積雪による被害が心配されます)に関して被害に遭われた皆様、謹んでお悔やみ申し上げます。
私自身、その日(自宅は京都市南部にある中核都市に住んでいます)、近くのショッピングモールで買い物をしたあとの夕刻、家路に着き、カバンを床に下ろした途端、大きな横揺れを感じました。「あれっ」と思い、家の観葉植物を見るとぐらぐらと揺れていました。少し平衡感覚を失うような感じでした。「この揺れは只事ではないぞ!」と、すぐにテレビの電源をつけました。
見ると、能登地方で大きな地震が発生。16:10に発生した地震の規模はマグニチュード7.6、震度は7。「津波が発生するので、すぐに逃げて下さい!」との声高のアナウンスが繰り返し告げられている。しかも震度5 以上の余震が頻繁に発生しているとのこと。改めて日本は地震大国なんだとしみじみと感じました。
翌日になり、次第に状況が明らかに
翌日、ニュースを改めてみると、1階が崩れてなくなり、2 階だけになってしまった家屋が相当数あることが映像を通して私の目に入ってくる。1 階に下敷きになっているかたが相当おり、一刻も早い救助が必要な状況が見ているほうからも伝わってくる。能登半島という地理的な立地から道路が寸断されたら物資も救助もなかなか進めることができない状況と察することができた。また過去の地震でも少し時間が経ってから多く発生しているのが火災。しかも街全体を飲み込み、手の施しようのない状況となる。今回の地震も輪島市の朝市の市場などが全焼に近い状況になっている(後述)。無電柱化を推進する立場でみているので、偏った見方になっているかもしれませんが、電柱・電線が地下に埋設されていれば、少しは状況が変わるのではという考えを私は持ちます。まず、映像をみて感じたのは、高いビルは、何件か横倒しになっている場合はあるものの、全壊しているのは一般の家屋で、ほぼ垂直に崩れか、横ずれしているように見えました。
その際に救助を阻むのが倒壊した電柱と断線した電線です。倒壊した電柱は、家屋を破壊したり、道路を寸断したり、断線した電線がある場合は感電する危険性をはらんでいます。地下に埋設されていればこのような障害は避けることができます。
1週間経ってもなかなか復旧しないインフラ
1月8日のTBSのNEWS DIGによると、1週間が経っても復旧しない要因を4点あげています。
⑴電柱1370本破損
破損した電柱はあわせて1370本に上ります。断線などは700か所に。広い地域にわたる配電設備の被害の大きさが、そもそも復旧に時間がかかる最大の理由。
⑵道路寸断・渋滞
北陸電力によりますと、道路の寸断や渋滞によって作業車や電源車が現地に入りにくい状況が続いているといいます。
⑶「余震」1000回超
余震が発生するたびに現場の復旧作業はストップ。その連続で大きな遅れが生じている。
⑷大雪
「雪」により交通規制が一時拡大。金沢市など離れたエリアで宿泊する復旧部隊は安全に戻れるよう作業時間の見直しを迫られている。
北陸電力送配電・担当者は、「主な避難所には今日中に(電力を)供給できる見通しです。電気をお使いいただける方を何とか1人でも増やせるよう努めています」と、インフラ復旧に向け、総力戦で賢明な作業をされています。
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また現地では、液状化の被害も深刻な状況でした。電線類が地中に埋設されていた場合に液状化してしまうと、管路が寸断され、復旧に時間がかかってしまう可能性が生じることは否めません。実際に現地では、液状化や道路の寸断により水道管が破裂し、被災地の各地で断水が発生しています。現在進められている無電柱化は、ケーブルを直接埋めている訳ではなく、管路という一般的には塩ビ管やFEP 管とよばれるポリエチレン管やコンクリート桝で保護されています。災害の状況によって適材適所での管路の選択は必要になってくるかと思います。例えば地盤沈下に強い素材の選択とか。ケーブル自体も被覆されているので、簡単に断線する可能性は低いと考えられます。電線は水に弱いと考えられますが、架空線で雨に打たれても問題ないように、地中で保護されているケーブルは問題なく、火災につながる恐れや緊急車両の阻害要因にもなりづらいのではないでしょうか。NPO 法人電線のない街づくり支援ネットワーク資料より
以上のことは、私の私見なので、もっと信憑性・エビデンスがないといけないのかもしれません。ただ、倒壊した家屋に更に電柱が覆いかぶさって壊して倒れている状況を家のかたが見た時、できれば電柱は別のところに建ててほしいと思うのではないでしょうか。地震の多い地域こそ、復旧と同時に無電柱化を検討してほしい。
地震で発生してしまう大火事について対策は?
「日本三大朝市」の一つに数えられ、約1300 年の歴史がある輪島朝市。その輪島の朝市で地震発生後に火の手が上がり、密集した商店街で大規模な火災が発生しました。1995 年1月に発生した阪神・淡路大震災での神戸市の長田商店街の全焼も30 年近くたった今でも記憶に残る衝撃的な災害でした。東京新聞の1月5日付のWEB 記事では、地震発生から3 日目となる3 日朝、記者が、「朝市通り」周辺に足を踏み入れると、景色が一変、焼け落ち、瓦だけが散らばる家屋があちこちに見える。焦げたにおいが広がり、小さな火がくすぶっていた。輪島市の中心部で起きた火災は、店舗や住宅など200 棟以上を焼いたとみられる。国土地理院(茨城県つくば市)は2 日に上空から撮影した写真をもとに分析。東京ドームよりやや広い約4 万8000 平方メートルが焼失したと推定している。災害に詳しい防災システム研究所(東京)の山村武彦所長は、いくつかの要因が複合した結果、被害が拡大したと分析する。一つは津波の影響だ。朝市通りは、海から目と鼻の先に位置する。山村所長は「大津波警報が発令されたことで、海に近い現場に消防隊がすぐに出動することが難しかった」と話す。
気象庁によると、朝市通りから程近い輪島港では、地震発生直後に第1 波が到達。11 分後の午後4 時21 分には最大1.2 メートル以上の津波を観測した。気象庁は地震発生から間もなく、能登地方に大津波警報を発表している。大津波警報が津波警報に切り替わり、津波注意報がすべて解除されたのは2 日午前10 時だった。過去に何度か輪島市を訪れたことのある山村所長は、地域特有の事情もあったとみる。海に近いことから、塩害防止のため板張りの木造住宅が多く、かつ住宅が密集している上に狭い路地が多いという地域の特徴をとらえ、「延焼しやすい状況にあったのではないか」と指摘する。寒さ対策のためストーブなどに使う灯油タンクを設置する家が多いことにも触れ、「ホームタンクにも火が及んで、さらに火勢を増した可能性もある」と推測する。震度6 強の揺れに襲われた輪島市でも、断水が発生した。山村所長は、地震のため消火栓が使えなかった場所もあるとして、「消火活動に一定の制限があったと思う」と話した。
東京都での木密地域での対策をヒントに!
2023 年に関東大震災後100 年を迎える東京都では、2022(令和4)年12 月に「木密地域私道等無電柱化推進事業(木密無電柱化事業)」を策定している。木密地域(木造住宅密集地域)とは、震災時に延焼被害のおそれがある老朽木造住宅が密集している地域をさします。被災された地域におかれては、生活を取り戻すために低予算でかつ一刻も早い復旧が必須だが、それと同時に防災の観点からセットバックなどで余裕のある道路空間を確保したり、家と家との間に緩衝地帯を設けたり、景観や人にやさしい道づくり・街づくりも合わせて検討してほしい。木密地域や老朽化した店が立ち並ぶ地域の街路は、総じて狭隘な道路で構成されている。このような狭隘道路は、公道ではなく、私道である場合が多く、無電柱化で必要とする地上機器の設置場所の交渉の問題も生じてくる。木密地域に関しては、一般道と同様に考えず、大型車両の通行を基準にしている上載荷重の緩和(浅層での電線類の埋設が可能になることで、作業効率がアップする)や柔軟で優れた民間の製品・工法を駆使して、低コスト・スピーディーな無電柱化をどんどん進め、街の防災強化、環境美化を向上していかないといけないのではないでしょうか。災害の多い日本だからこそ、災害に強い、災害に立ち向かう街づくりを是非進めていきませんか。